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#4 外資系企業で活躍するための環境の選び方 ー Vol.1 会社選び編 ー 自分はどのような環境なら成果が出せるか?

私は今までに10回の転職を経て現在は11社目の大手外資系グローバル企業のディレクター(部長)をしています。
勤務してきた企業は国別では日系、蘭系、米系、独系、英系、仏系の6カ国の企業、規模別では、大手グローバル企業から中小企業、スタートアップまでの大・中・小規模の企業で、勤務してきた企業の業界は、金融機関、IT企業、ラグジュアリー企業、ファッション/ライフスタイル企業、FMCG企業、そして担当してきた業種はシステム開発、管理部門、営業、マーケティングと、これまでに様々な会社と業界&業種を経験してきました。

これだけさまざまな種類の会社に勤めると、どのような会社のどのような業種が自分に合っていて大きな成果を出せる可能性が高いかが分かってきます。これは私の個人的な意見なのですが、やはり自分の人生の大部分の時間を投じて仕事をする以上、早く成果を出して会社に認められ昇進や昇給をして、さらに裁量の大きな仕事を任せてもらえる、といった正のスパイラルに乗った方が仕事も人生も楽しくなると思っています。そのためには、自分に合っていて、ある程度のプレッシャーやストレスはあるにせよ苦痛でなくて(どちらかというと好きで)、自分が活躍できる(=成果を出せる)環境を自分で考えて選択しなくてはなりません。転職は、自分のフィールドやステージを自分で設定して選ぶという主体的な活動なのです。

勝てる環境選び その1 - 自分の興味関心のある業界を選ぶ

私が最初に、自分が活躍できそうな(=勝てそうな)職場を選ぶことを意識したのは、今から14年前、留学先からの帰国後に日本で就職活動を開始しようとした時でした。留学する前は外資系の金融機関に勤めていましたが、お金で買えるものには興味がありましたが、そもそもお金そのものにはあまり興味がなかった。そんな状態で次も似たような外資系金融に就職してもおそらく平均、いわゆる人並み、普通の業績しか上げられずに終わるでしょうし、そこであまり活躍できるとは思えませんでした。

留学先のヨーロッパでは、(勉強も多少はしましたが)毎日のように美術館やファッション、ライフスタイル雑貨のお店に通って店内を眺めては幸せに浸っていましたので、この機に自分が好きな商材を扱う業界、ピンとくる業界への就職を目指すことにしました。その商材や業界に自分の興味や情熱があれば仕事にも情熱を持って取り組んで成果を出すことができるだろう、自分は買い物が大好きで今までにファッションやインテリア雑貨にとんでもない金額を自腹で使ってきたのだから消費者感覚は人一倍鋭いはずだ、などと何となく信じていました。(今思えばあまり根拠のない自信だったのですが)
前職が金融であったため、リクルーターが紹介する案件は外資系金融ばかりでしたが、ある消費財専門のリクルーターから紹介された2社の外資系消費財企業案件のうち1社から見事内定をいただき、何とか憧れの外資系ラグジュアリーのコンシューマー業界に滑り込むことができました。(どのようにして中途で年収も下げずに前職と全く異なる業界で働くことができたかについてはまた別途お話しすることにしますね。)
結果としてこの業界チェンジは成功で、以降現在までずっと(会社や商材は変われど)、自分の興味関心のある消費財業界というフィールドで満足のいく成果を出しながらキャリアを積むこととなりました。

勝てる環境選び その2 - 自分の性格に合った規模や社風の会社を選ぶ

さて、この外資系消費財企業に勤務して5年ほど経ったある日、あるリクルーターの方からお電話をいただきました。お話を聞くと、とある欧州系グローバル企業の日本法人のマーケティングのお仕事案件の紹介でした。海外でのシェアは大きく日本でも一定の知名度がある企業でしたが、日本法人は小規模で80名程度とのことでした。
当時私は大手外資系企業のマーケティング部でデジタルマーケティングやEコマースを担当するチームのマネジャーをしていました。大企業に勤める人なら誰でも一度は経験したことがあるかと思いますが、大企業は仕事が非常に細分化されており(別に高度な専門性に分かれている、という訳でもありません。単に人が潤沢なだけなのです。)、いち社員が担当する業務も非常に限定された範囲のものになります。中小企業の社員1人が担当する仕事を大企業の社員3、4人で行なっているイメージです。例に漏れず、当時の若かりし頃の私も「このままでは自分は本当に一人では何もできない使えない人間になる」と本気で信じていました。

聞けばその紹介案件の企業は、社内に誰もデジタルの専門性を持つ人材はおらず、専門性を活かして自由に手腕を振るってほしい、と言っているとのことでした。誰もが知るような外資系大企業にはその知名度に惹かれ非常に優秀な人材が山ほど集まってきますし、そのハイレベルな競争の中で目立った成果を出して活躍し続けるのは非常に難しいことです。中小企業ならば比較的そのような生き馬の目を抜く激しい競争も少ないでしょうし、何よりも人材の層が薄く、そのスキルを持つ人材が社内には自分しかいないこと、またライフスタイル商材でも少し毛色の違った面白い商材で、今までの知見を生かして何か新しい試みができるかもしれないという可能性に大きな魅力を感じ、この環境ならば仕事の幅を広げて大活躍できるかもしれない、(今思えばこれも思い込みで根拠のない自信だったのですが)と確信して転職することにしました。(結局年収は下がらず逆に50万円ほどアップしました。)

結果として、この転職は私にとって成功でした。中小企業で他に人材がいないので、あの大企業からデジタルに詳しい人が来てくれた(大企業で狭い分野の担当をしていたので本当は別にそれほど詳しくない)、というだけで、その企業を代表するデジタル分野の第一人者(だって私しかいないからね)として社内で持ち上げられ、理解のある上司にも恵まれました(自分は詳しくないから全部任せると自由にやらせてくれました)。
前職の大企業時代での知見を使って施策を行なったところ、異業種であるその業界では画期的な試みだったとかで、業界の同業他社から話を聞きたいと多くの人が列をなして私に会いにきて、XX業界でのXX分野の第一人者?として今度は業界内で持ち上げられ、と成り行きで目立って活躍することになってしまいました。そうして何気に目立っていったので、社内外から様々な魅力的な仕事の案件(もちろん面倒なものも多数ありましたが)を頂くことができました。また何か新しいことを始めたいと思っても自分が第一人者なせいで社内にいても何も情報が得られないので、自分で積極的に業界の新技術のセミナーや展示会に出向いて情報収集し勉強しました。そのため、前職の大企業にいた頃よりもずっとデジタルやマーケティング分野に詳しくなりましたし、他企業との合同プロジェクトなど先進的で面白い仕事の機会もありました。また、中小企業なので、大企業のようなステークホルダーが多すぎることで発生する煩雑な根回し作業や承認プロセスが少なく、次々とスピーディーに新しい技術や試みを導入してマーケディングやセールスの実験をして実績につなげることができたりと、この中小企業での経験は、私にとってその後のキャリアを築いていく上で大きな転機となりました。この経験から、私は自分がどのような環境なら大活躍できるかを知り、転職によってその環境(=ステージ)を戦略的に選び取ることを知りました。

この時期からしばらく、以下の6つの条件が私の働く環境選びのこだわりとなりました。その会社で早く成果を出して第一人者として認められると(社内で目立って)上司に引き上げてもらえたり、社内外から新しい仕事の案件をもらえたりするので仕事も楽しくキャリアにもプラスに働きます。

  1. 自分が興味、関心のある業界、ピンとくる業界であること。

  2. 外資のグローバル企業で日本でも一定の知名度があるけれど、日本法人は小規模で人材の層が薄いこと。

  3. (日本の売上シェアが小さいので)海外本社もさほど日本を最重要視しておらず海外本社のコントロールや介入が少ないこと。

  4. 自分を信用してくれそうな上位者の上司(社長、役員など)がいて自由にやらせてくれそうな雰囲気が感じられること。

  5. 自分がその担当分野の第一人者になれそうなこと。(その分野に詳しい人が社内にたくさんいないこと。)

  6. 自分の担当する仕事の範囲が狭すぎないこと、ある程度の裁量があって上流から下流まで一貫して仕事がコントロールできること。(細分化された途端に仕事は面白くなくなるので。)

単に有名企業、人気企業というだけで転職してしまうと結局環境が自分に合わず、活躍できないまま非常に限定された狭い範囲の業務に押し込められキャリアが停滞してしまうのが怖い、そしてそれよりも怖いのは仕事がつまらなくなって苦痛になることですね。

結局この企業には2年ほど在籍し、その後にまた上記の6条件を求めて別の外資系企業に移りましたが、この転職もまた私のキャリア上の重要な転機となりました。
そんな私も、その何年も後に諸事情でまた大企業に戻ることとなりますが、その話はまたどこか別の回にてお話しすることにしましょう。

次回では、自分はどのような上司だったら成果が出せるのかを知り、活躍するためにはどのような上司を面接でどのように見極めるか、転職先での上司となるヒトの選び方についてお話しします。


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