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世界レコード

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生きることを仕事にするときに考えたこと、出会ったものたち
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2021年5月の記事一覧

なぜ僕はテレビを観ないのか

なぜ僕はテレビを観ないのか

僕は基本的にテレビを観ない。

これも一応、最初に書いておくと「テレビ」の存在を全否定したいわけじゃない。

観る観ないは自由だし、テレビに関わる人で、ほんとにすごく聡明で尊敬できる人だっている。良心的で良質な番組だってある。

ただ、それとは別の次元、僕の日常的な生活の中に「テレビ」がないのだ。

代わりにあるのは各種の音楽と自然の気配。とくに信州に移り住んでからは、余計にそうなっている。

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靴底だけ置いていく

靴底だけ置いていく

「あいつ、靴底だけ置いていったんだよ」

すれ違った、どこかの知らないリーマン二人連れの会話が不意打ちだった。

「やつは、そういうとこあるからな」

片方が同意しながら、あるあるという顔をしている。

――靴底だけ置いていく?

なんだか唐突に口の中に「おでんのちくわ」でも突っ込まれた気分になる。訳がわからない。

どこかのオフィスなのか、路上なのかに置いていかれた靴底の様子が浮かぶ。

けど、

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100%の生と死としての情報

100%の生と死としての情報

※センシティブな内容を含んでいる可能性のある記事です。

惨劇が起こる。メディアはセンセーショナルな最新映像と人々の興奮や混乱を流し続ける。そこに何の意味があるかどうかなんておざなりにして。評論家たちは惨劇の背景を探って口々に語る。そこに仕事があるからだ。

犠牲者は数万人以上。数字が増え続けても、映像が更新されても、リアリティは増すどころか希薄になっていく。新しいSFX映画のプロモーションかと思

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お金になるスピード

お金になるスピード

スピード、スピード、ヌード。

最後だけバグってるけど、まあいまはスピードが求められる。仕事をしていて「遅い」「時間がかかる」は害悪のエリート扱い。

いろんな分野で「これまで◯時間かかってたものが、1/3に短縮されました」とかいうのが評価され称賛される。

こんなこと書いてると、いまさらこいつは何言ってるんだろ感がすごい。とにかく「時間」「スピード」は絶対なのだ。

だけど、と思うところもある。

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どこまで厳密に言うか問題

どこまで厳密に言うか問題

「厳密に言うと違うんだけどね」

いろんな分野の専門家を取材してると、たいていどこかでそのフレーズにぶつかる。

一般人(マウント的なのではなく専門家ではないという意味合いで)には、えっそれの何がどう違うの? な話が多い。

わかりやすいのでは気動車と電車の違いとか。

日本気動車電車学会なら(そんな学会はない)絶対に混同は許されない。だけど一般の97%の人には見分けがつかないしどうでもいい。

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