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お金になるスピード

スピード、スピード、ヌード。

最後だけバグってるけど、まあいまはスピードが求められる。仕事をしていて「遅い」「時間がかかる」は害悪のエリート扱い。

いろんな分野で「これまで◯時間かかってたものが、1/3に短縮されました」とかいうのが評価され称賛される。

こんなこと書いてると、いまさらこいつは何言ってるんだろ感がすごい。とにかく「時間」「スピード」は絶対なのだ。

だけど、と思うところもある。

僕は時間の専門家(そういう学術分野もある)でもないので、ここで書いてるのは戯言でしかないのだけど、時間とかスピードっていつの間に「神」になったんだっけ? と素朴な疑問が浮かぶ。

なんだろう。物理的存在にはそれぞれ固有の時間とかスピードがある。

昔流行ったゾウの時間、ネズミの時間みたいなものかもしれない。ゾウは時速100Kmで移動しないし、ネズミは1日に何百kgも草を食べない。それぞれの個体の大きさとそのなかに流れる生命のスピードで生きている。

じゃあ、本質的な意味で人間のスピードって何なんだろう。

たぶん、現代の時間とスピードを操ってるのは結局「お金になるならない」なんだろう。

これもあまりにもそのまますぎるのか、表立って誰も言及しないけど。

他より早く速く動いて商品化したり、トレンドになったりしないと置いていかれる。遅いとお金にならない。

だから僕らは「お金になるスピード」で生きている。否応なく。

とくに何も思わない人もいるし、ちょっとだけ違和感を感じる人もいるし、むしろそれが楽しい人もいる。そこはいろいろだ。どっちが正しいとかもない。

でも、スピード=速さだけじゃない。真逆もあるんじゃないか。

時速40Kmでのんびり浮かぶように飛ぶ飛行機。1年かけていろんな職業の人が履いて洗濯を繰り返して完成するユーズドジーンズ。1週間もかけて焼き上げるパン。

どれも時間はかかるしスピードはまるでないけれど、そこに何か「宿るもの」がある。ベタな言葉で言えば「時間が生んだ豊かさ」。

時速40Kmでのんびり浮かぶ飛行機は物理的に難しいけど、あとのふたつは現実的。というか実際にある。尾道デニムプロジェクトとか。1週間かけて焼き上げるパンは、僕らももうすぐ届けたいと準備してる。

多様性の時代って飽きるほど言われてるんだから、時間やスピードだって多様性があっていいんじゃないかと思うんだ。