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詩のようなもの

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#自由律俳句

ある夏の朝

澄んだ路地

光がこぼれる高架下

誰かの咳の音

カーブミラーのやつれた顔

私の歩む草履がぺったんぺったん

何も知らない風の湿度

秋はすぐそこにあるみたい

貨物列車にそよぐ穂と

ゆうべを知らない鳩の子ら

私の日

ありがとう。ごめんね。

私は大人になれないかも。

たくさんの祝福に囲まれてうれしいのです。

でも、赤いリボンはいつまでも外せなかった。

ずぅっと、ピエロにしかなれません。

私が私であるために、私はそれほど強くない。

ブルを貫く瞬間とみんなの笑顔の一瞬で必要なだけ幸せで、必要なだけ考えて

あとは、なにもできないよ。

無敵の今日が終わってく。

今日は明日、明日は明日と続いてく。

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赤線の女

視線で放った赤いバラ
思わせぶりな立ちんぼ
お兄さんわたしといいことしようよ

赤い口紅白い頬
ミニスカートの若い小娘

寂しいんだね
ここは昭和か元禄か
今宵はわっちとあそびましょう

ブラウン管で笑うアイドル
わたしの素肌は透けている
主様、わっちを見てちょうだい

8畳一間に煎餅布団
ここは赤く囲まれて
わっちは場末のひとでありんす

それでも期待に添えるなら
望まれなくても叶えましょう

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エントランス・ラヴ

シャリシャリした上着
私より背が低いんだ
ふくよかな耳たぶ

困ってないかしら?それならいいの。
子どものように手を引かれる

照明の人感センサーを切る
ダンボールの山
瞳の中には私だけ?

リビングから透ける光
小鳥のさえずり
ゴミ回収車のエンジン音

背中を這う指先
予感しなかった吐息
感電、漏電、通電

鳴るアラーム
行ってらっしゃい