記事一覧
「咲いている」(お題……山茶花の写真を見て)
この場所は
宇宙のどの辺りなのだろう
途方もない空間の
極微の1点
けれども確かにこの場所は
あなたの場所で
あなたはちゃんと
咲いている
「磁石」(お題「磁石」)
あなたは南の果てにいて
ぼくは北の果てにいる
だから
二人は合わないのだと
思っていた
正反対なのだと
思っていた
むしろ
正反対だからこそ
こんなにピッタリ合うのかも
南の果ても
北の果てと同じに
極寒だと知ったとき
魂の片割れを見つけた気がした
地球の厚さが
二人を惹き寄せる
「アノネとエトネ」(お題「あのね」)
アノネとエトネは双子の妖精
楽しいことを 見つけては
こっそり 報告し合ってる
あのね……
アリクイの怒ったポーズは
とても可愛いんだよ
えとね……
エイの裏側は
笑った顔なんだよ
あのね……
えとね……
あはは
えへへ
「RUN」(お題「走っていく」)
地球が走っていく
宇宙の深淵に向かって
あなたは気づかない
なぜなら
火星も 金星も 木星も
太陽までもが
一緒に走っているからだ
あなたはこの地球の上で
コタツに寝転がって
You Tubeを見て
ご飯を食べながら
楽しく笑って
死んでゆく
土に還ったあなたを乗せて
宇宙の深淵へと
走っていく
食べものエッセイ12「牛丼紅生姜てんこ盛り」
牛丼屋で紅生姜を器いっぱいに乗せているヒトをたまに見かける。
牛丼に紅生姜は本当によく合う。
自分も牛丼屋に入った時には、これでもか、というくらい紅生姜を盛ってしまう。牛丼の甘辛い味付けにしょっぱくて酸っぱい紅生姜が、食欲をモリモリとかきたてる。
そんな皆を見ていると、牛丼が運ばれるやいなや、おもむろにテーブル備え付けの紅生姜のフタをガッと開け、わしわしと紅生姜を肉の上に盛っていく。その姿
ウメ子が死んだ日(2009.9.17)
ゾウのウメ子が 死んだとさ
ぼくは その場に立ち尽くし
しずかに 涙をながすでしょう
くだもの やさいも おくりましょう
カラスは喪服で よちよちと
城の見回り するでしょう
すずしい 残暑の 昼ひなた
セミはいよいよ 鳴くでしょう
つくづくおしい と 鳴くでしょう
城の石垣 ひび割れて
白か黒かで 迷いましょう
象舎の門は 閉ざされて
さびしい客を 迎えましょう
象舎の横の アロエたち