風魔忍

小田原生まれ。牡牛座。O型。 著書『ハチャハチャ神との対話』(碧天舎)『スポチャン妖魔…

風魔忍

小田原生まれ。牡牛座。O型。 著書『ハチャハチャ神との対話』(碧天舎)『スポチャン妖魔陣』(牧歌舎)。 アニメ映画『スポチャン対決〜妖怪大決戦〜』原作。 趣味:スポーツチャンバラ、ロックバンドヴォーカル、料理。 好きなもの:狼、ネコ、カラス、妖怪、星座、ビール、ラーメンなど。

最近の記事

光合成

植物が 光と二酸化炭素と水から 酸素を作り出すように 詩人は 光と言葉と水から 詩を作り出す 詩は 酸素のように ある生物には毒だったりもするが 確かに多くを生かしている 呼吸をするように 詩をこの世に送り出す

    • 「永遠のタップ」

      電車の座席に少年が座っている 膝の上にリュックを乗せ スマートフォンを胸につけるようにして ゲームをやっている 少年の隣に座った主婦の バッグからはみ出た長ネギが 少年のリュックの上に もたれ掛かっている 少年は気づかない ひたすら画面を 連打連打連打 やがて主婦は降り 隣に女学生が座った 女学生のラクロスのスティックが 少年のリュックの上に もたれ掛かっている 少年は気づかない ひたすら画面を 連打連打連打 やがて女学生は降り 隣に鬼が座った 鬼の大きな金棒が 少

      • 「咲いている」(お題……山茶花の写真を見て)

        この場所は 宇宙のどの辺りなのだろう 途方もない空間の 極微の1点 けれども確かにこの場所は あなたの場所で あなたはちゃんと 咲いている

        • 「磁石」(お題「磁石」)

          あなたは南の果てにいて ぼくは北の果てにいる だから 二人は合わないのだと 思っていた 正反対なのだと 思っていた むしろ 正反対だからこそ こんなにピッタリ合うのかも 南の果ても 北の果てと同じに 極寒だと知ったとき 魂の片割れを見つけた気がした 地球の厚さが 二人を惹き寄せる

          「アノネとエトネ」(お題「あのね」)

          アノネとエトネは双子の妖精 楽しいことを 見つけては こっそり 報告し合ってる あのね…… アリクイの怒ったポーズは とても可愛いんだよ えとね…… エイの裏側は 笑った顔なんだよ あのね…… えとね…… あはは えへへ

          「アノネとエトネ」(お題「あのね」)

          「RUN」(お題「走っていく」)

          地球が走っていく 宇宙の深淵に向かって あなたは気づかない なぜなら 火星も 金星も 木星も 太陽までもが 一緒に走っているからだ あなたはこの地球の上で コタツに寝転がって You Tubeを見て ご飯を食べながら 楽しく笑って 死んでゆく 土に還ったあなたを乗せて 宇宙の深淵へと 走っていく

          「RUN」(お題「走っていく」)

          ネコたち

          飼い始めて12年 河原で悪童たちに水に浸けられていた おまえたち いわゆる保護猫 出自なんてどうでも良い 共に暮らす家族 だけどオレは知っている おまえたちの寿命が あと10年もないことを 他に家族がいない俺にとって おまえたちの死を考えることが とてつもなく恐い その寂寥と孤独を思うと 恐怖に打ちひしがれる どうすれば オレはどうすれば良いのだろう だが  おまえたちとの別ればかりを考えて ビクビクしながら人生を生きるのは いやだ 確実にやって来る別れ どうしようもない 

          ネコたち

          詩「天と地の間に」

          天と地の間に 君は何を置こうというのか 手に入れても 手に入れても なお欲しがる 餓鬼のような欲望か それとも 向上心に見せかけ 他の全てを踏みつけにする バベルの塔のような驕慢か 何を置くのか 天と地の間に 地より生まれ出で 天空の光を映す 水晶のような心か それとも 天翔け上り 地に降り注ぎ 山塊を滑り降り 大海へと還る 水のような生き様か 天と地の間に 君は何を置くのか

          詩「天と地の間に」

          詩「離脱」

          ベッドに横たわり 目を瞑り 心の目を開く 天井が見える 意識を軽く上昇させる 天井が目の前に見える さらに上昇 建物を抜け出し 眼前に広がるのは 美しい月夜 どんどん昇ってゆく 振り返れば マンションの屋上が見える 屋上はだんだん小さくなり 街明かりが宝石のようだ あ これは地図で見たのと同じ地形だ 無数の星を背景にして 青い地球が遠のいてゆく 後ろから木星が追い越して行く あたりいちめんの星 もう どれがどの星かもわからない やがて 僕は温かい何かに包まれる 温かい何

          詩「離脱」

          詩「迎春」

          正月の早朝 見上げれば 牛飼い座のアルクトゥールスの赤 北斗は天頂にあり 大熊の尻尾は アルクトゥールスを通り 乙女座のスピカに連なる 乙女の穂先の真珠色 静かなる季節の移ろい 春はもう来ている 迎春とは 暦の上の絵空事ではなく 天空にしっかりと刻まれた言葉なのだと 星たちが教えてくれる

          詩「迎春」

          詩「ハビタブル」

          宇宙の中の点にも満たない ちっぽけな地球に なまじ80億もの 人間とやらがいるものだから 目が見えなくなるのも道理だ やれ 「オレはヤツより金持ち」だとか 「ワタシはあのコよりキレイ」だとか 「ワシは巨大な権力を持ってる」だとか そこいらのことで満足している それを得ることに汲々としている 何も持たなくても 宇宙に思いを馳せること 宇宙には 兆を軽く凌駕する星があるのだから その中には 太陽のような穏やかな星もあるだろう そこから丁度良い距離の 青い惑星もあるだろう そこ

          詩「ハビタブル」

          詩「戦士の帰還」

          仕事を終え帰途につく いつもと違う乗客たち 楽しい休日は過ごせたかな? 通勤者とはあきらかに異なる 明るいおしゃべりに満ちた車内 今日の業を成し終え まどろみながら彼らの声を聞く 戦い終えた密かな満足感と 戦い抜いた静かな達成感の中 電車は進む 僕のオアシスに向けて 帰ったら酒坏を干そう その時に働いている 戦士たちに感謝をしながら

          詩「戦士の帰還」

          詩「粛々と」

          粛々と日々を送る 粛々と出勤し 粛々と仕事をする 他人が休んでいる時にも 粛々と働く 粛々と オレだって 他人が働いている時に休んでいるぢゃないか 粛々と休む 嬉嬉として 粛々と遊ぶ 粛々と歩む オレの人生を オレがオレであるために 粛々と

          詩「粛々と」

           全ては「•」から始まった。  「•」は唯一無二だった。  「•」は自分が完璧であることを体験     として知りたかった。  「•」はあらゆる方向、時間、次元から自分を見つめるために、あらゆる場所に広がった。(ビッグ・バン)  だから「•」は広がった自分が本来一つであることを知っている。  争いも競争も優劣もない。  かりそめの分裂は幻想にすぎない。  だから大丈夫。  大丈夫。

          食べものエッセイ12「牛丼紅生姜てんこ盛り」

           牛丼屋で紅生姜を器いっぱいに乗せているヒトをたまに見かける。  牛丼に紅生姜は本当によく合う。  自分も牛丼屋に入った時には、これでもか、というくらい紅生姜を盛ってしまう。牛丼の甘辛い味付けにしょっぱくて酸っぱい紅生姜が、食欲をモリモリとかきたてる。  そんな皆を見ていると、牛丼が運ばれるやいなや、おもむろにテーブル備え付けの紅生姜のフタをガッと開け、わしわしと紅生姜を肉の上に盛っていく。その姿は、もはや牛丼というより紅生姜丼だ。  そして牛丼を食べ始めるのだが、なかなか牛

          食べものエッセイ12「牛丼紅生姜てんこ盛り」

          ウメ子が死んだ日(2009.9.17)

          ゾウのウメ子が 死んだとさ ぼくは その場に立ち尽くし しずかに 涙をながすでしょう くだもの やさいも おくりましょう カラスは喪服で よちよちと 城の見回り するでしょう すずしい 残暑の 昼ひなた セミはいよいよ 鳴くでしょう つくづくおしい と 鳴くでしょう 城の石垣 ひび割れて 白か黒かで 迷いましょう 象舎の門は 閉ざされて さびしい客を 迎えましょう 象舎の横の アロエたち そっと 聖歌を歌うでしょう 黒いアゲハも 舞いましょう 天はこちらと 誘いまし

          ウメ子が死んだ日(2009.9.17)