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鉄道が船で海を渡る 渡り鳥ライン乗車記 【デンマーク〜ドイツ】

鉄道が船に格納されて海を渡る様子を見たことがあるでしょうか?

これは車両航送といい、車両を船に乗せて海や川を渡るというというもので、一般的にはカーフェリーを指しますが、鉄道を船に積み込み輸送する場合もあります。

かつての日本でも、函館と青森を結ぶ青函連絡船や、玉野(岡山)と高松を結ぶ宇高連絡線において鉄道の車両航送は行われていました。

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現在でも地図上でその名残を発見できます。


日本の鉄道車両航送は青函トンネルの開通や瀬戸大橋の開通と共に役目を終えはしましたが、現在でも鉄道車両航送を行っている場所があります。

それがデンマーク〜ドイツ間とイタリア半島〜シチリア間そして期間限定ですがスウェーデン〜ドイツ間です。
世界で3箇所だけなのです。

今回は渡り鳥ライン(The Bird Flight Line)と呼ばれる、デンマークの首都コペンハーゲンからドイツ北部の都市ハンブルクまでの乗車体験記をご紹介したいと思います。


※追記
このnoteで紹介しているドイツ〜デンマーク間の鉄道車両航送は2019年12月で休止となりました。


ルート

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Google Mapのタイムラインより

コペンハーゲンを出発し、ロービュ駅(Rødby)にて鉄道が船に積まれ、船が海を渡ります。
そして、その対岸にあるプットガルデン駅(Puttgarden)に着岸、そこからまた鉄道が陸地を走るというルートです。

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コペンハーゲンからハンブルクへの所要時間はおよそ5時間です。

渡り鳥ラインにわざわざ乗りたい人でもない限り、あまり進められない所要時間ではありますが、私にとっては二つ大きなメリットがありました。
一つはもちろん、渡り鳥ラインを体験できるということ。
これは鉄道オタク(乗り鉄)にとってはかけがえのない利点です。

もう一つは疲労した足を休められるということです。
この前日にストックホルムを歩き回り疲労を蓄積し、さらに午前中はコペンハーゲン市街を歩き回ったため、いくらアミノバイタルと鎮痛剤を飲んでも足腰の痛みは増していきました。
そのような状況で5時間もほとんど歩かなくて済む環境を用意できたのは僥倖でした。

休息&趣味&移動の時間として捉えれば、渡り鳥ラインは決して非効率な体験ではないでしょう。


乗車体験記

2019年5月、私はデンマークの首都コペンハーゲンにいました。
ストックホルムから寝台列車を乗り継いで、午前中だけコペンハーゲン市街を観光し、次の目的地ハンブルクへと向かいます。

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コペンハーゲン中央駅

本来ならばここから鉄道に乗りたかったのですが、工事か何かの影響でコペンハーゲン中央駅から船に乗る直前のロービュ駅(Rødby)までは、代替バスでの移動でした。

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駅の看板はReplacement Bus(代替輸送バス)とは書いてありますが、原因は英語では書いてありません。
まあ、おそらく工事でしょう。

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矢印の方向に進んで駅を出るとすぐ目の前にバスが2台並んで停まっていました。
Togbusとはデンマーク語で代行バスを意味します。

オレンジ色のベストを着ている人にチケットを見せると、自分でキャリーケースをバスに積むように言われ、バスに乗り込みました。

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バスはまさかの満席でした。
暑苦しさを感じながら2時間少々バスに揺られていました。

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コペンハーゲン中央駅からノンストップでロービュ駅につくと、すぐに鉄道(IC3)がやってきました。
皆が鉄道に向かって歩き出すので、私もそれについていきました。

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このIC3という列車、とてもユニークな顔立ちをしています。
顔の周りがゴムで覆われていますが、これは中に空気が入っており、車両を連結した際の幌とショックアブソーバーの役割を果たしています。

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車内に乗り込むと飲料の自販機がありました。
自販機でさえクレジットカード決済なのがすごいですね、

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窓側の席を予約していたのですが、既に同い年くらいの男性が座っていました。
「そこ自分の席なんだけども」というとその隣に座っていた女性が、
「彼氏と一緒に旅行に来てて、並んで座りたいから譲ってくれないかしら?もちろん私の席に座ってもらって構わないから…」というので、譲ってあげました。

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ちなみに座席上の網棚(今はそういう表現が適切なのかな…?)には予約者の情報が表示されています。
先ほどの女性は43番でロービュからハンブルク中央駅まで向かう、つまり私と行き先は同じのようです。

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ロービュ駅を出発すると鉄道はゆっくり進み出しました。

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桟橋でトラックのすぐ真横を進みます。

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徐々に船に格納されていきます。

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船に完全に格納されて停車すると、船から出るように促されます。
船で事故があった時に逃げ遅れないように、乗客は全員船から出ることを必ず要求されます。
また次のアナウンスがあるまで(対岸に近くまで)、乗車ができないよう扉が閉められます。
よって貴重品は必ず持って車外へ出ましょう。

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車掌さんが全員が降りることを見届けています。

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通路は結構狭いです。

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トラックの横に積まれている鉄道。
その後ろにはすぐトラックが。
日本では路面電車以外ではまず見られない光景に興奮していました。

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船が格納されている部屋から階段を登り、客室スペースに移動します。

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知らない人が見たらなんのピクトグラムかと思うでしょう。

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船内には売店やレストランがありました。

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ゲームコーナー(しかも日本製!)もありました。

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船が出航し、ゆっくり陸から離れていきます。

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朝から何も食べていなかったので食事をします。
ビュッフェ形式で20.8ユーロ(約2,600円)お酒別。

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一番窓に近い席に座りました!

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お酒のメニュー。とりあえずビールを。

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いただきまーす!!

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夢の渡り鳥ラインに乗りながら、ご飯を食べ、お酒を飲むという最高の体験をしました。


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食後、潮風に当たっていると、「間も無く接岸するよー」というアナウンスが流れたので、車内に戻ります。

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車掌さんが乗客全員が乗ったことを確認すると鉄道は出発しました。

プットガルデン以降の景色はとても幻想的でした。

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そして鉄道はようやく5時間の旅を経て、ドイツ第2の都市ハンブルクに到着しました。

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ここからまた新たな旅が始まります。



最後までお読みいただきありがとうございました。

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