Fukushima Takeshi

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Fukushima Takeshi

ピアニストです。こちらには趣味で書いている小説を載せています。 ブログ: http://whatdisay.cocolog-nifty.com/ ツイッター:https://twitter.com/fukushimatakesi

最近の記事

小説 『Murmuration』

 JR総武線の平井駅から出るその送迎バスは、むっとするような嫌な匂いに包まれていた。  誰かがさっきまで吸っていた煙草の匂い、酒の匂い、そして男たちの身体から発せられる体臭。それらが入り混じったバスの車内に漂う空気は、お世辞にも清潔とは言い難かった。  バスは平井駅から江戸川競艇場までを結ぶ送迎バスだった。平日の昼間から競艇場に向かおうなんていう人間は大体がロクでもない。やることがないのか、やるべきことから逃げているのか、あるいは何もやりたくないのか。  生を謳歌している連

    • 【ライブ動画公開】Takeshi Fukushima solo piano live 2021 11.8 at Back in time Tokyo Koiwa (2nd set) Guest:Tomoki Kajikawa (guitar) on 5

      先日の11月8日(月)に小岩「Back in time」で行いましたソロピアノライブの様子を小沢一人さんが録画してくださいましたので、それを公開してみます。後半戦です。 この日はジャズスタンダードばっかりやりました。 合間のトークは全体的にしょーもないので全てカットしました。 BACK IN TIME http://www.bqrecords.net/backintime.htm 撮影:小沢 一人 Takeshi Fukushima solo piano live 2

      • 【ライブ動画公開】Takeshi Fukushima solo piano live 2021 11.8 at Back in time Tokyo Koiwa (1st set)

        先日の11月8日(月)に小岩「Back in time」で行いましたソロピアノライブの様子を小沢一人さんが録画してくださいましたので、それを公開してみます。前半戦です。後半戦は明日以降にアップします。 この日はジャズスタンダードばっかりやりました。 合間のトークは全体的にしょーもないので全てカットしました。 Takeshi Fukushima solo piano live 2021 11.8 at Back in time Tokyo Koiwa (1st set) 0

        • Piano For Train (最終話) 復路:富士~熱海~東京~千葉

          ここまでの話 Piano For Train (1) 旅の始まり~往路:京成小岩~上野~熱海 Piano For Train (2) 往路:熱海~沼津~島田~浜松 Piano For Train (3) 往路:浜松~豊橋~大垣~米原~京都 Piano For Train (4) 復路:京都~米原~豊橋~浜松 Piano For Train (5) 復路:浜松~静岡~興津~富士 [復路:富士~熱海~東京]  富士を出発した電車は、50分ほどをかけて熱海に到着した。このエリア

        小説 『Murmuration』

        • 【ライブ動画公開】Takeshi Fukushima solo piano live 2021 11.8 at Back in time Tokyo Koiwa (2nd set) Guest:Tomoki Kajikawa (guitar) on 5

        • 【ライブ動画公開】Takeshi Fukushima solo piano live 2021 11.8 at Back in time Tokyo Koiwa (1st set)

        • Piano For Train (最終話) 復路:富士~熱海~東京~千葉

          Piano For Train (5) 復路:浜松~静岡~興津~富士

          ここまでの話 Piano For Train (1) 旅の始まり~往路:京成小岩~上野~熱海 Piano For Train (2) 往路:熱海~沼津~島田~浜松 Piano For Train (3) 往路:浜松~豊橋~大垣~米原~京都 Piano For Train (4) 復路:京都~米原~豊橋~浜松 [復路:浜松~静岡]  電車が浜松へついた。ここから本格的に地獄の静岡県がスタートする。  乗り換え時間はそんなになかった。  ぼくはやって来た電車に乗り込んで座席

          Piano For Train (5) 復路:浜松~静岡~興津~富士

          Piano For Train (4) 復路:京都~米原~豊橋~浜松

          ここまでの話 Piano For Train (1) 旅の始まり~往路:京成小岩~上野~熱海 Piano For Train (2) 往路:熱海~沼津~島田~浜松 Piano For Train (3) 往路:浜松~豊橋~大垣~米原~京都 [復路:京都~米原~豊橋]  片山さんの家を出るのが朝の6時を回ってしまって、京都駅に着いたのは7時の少し前だった。    朝飯はやはり駅そばだろう、と思っていた。  京都駅の琵琶湖線ホームにある駅そばは以前に一度食べたことがあったのだ

          Piano For Train (4) 復路:京都~米原~豊橋~浜松

          Piano For Train (3) 往路:浜松~豊橋~大垣~米原~京都

          ここまでの話 Piano For Train (1) 旅の始まり~往路:京成小岩~上野~熱海 Piano For Train (2) 往路:熱海~沼津~島田~浜松 [往路:浜松~豊橋~大垣]  スマホの乗り換え案内を眺めていたら、浜松では15分ほどの乗り換え時間があることがわかった。  15分もあるとなると「駅そばチャンス」だ。  幸い沼津で食べた駅そばから随分時間も経っていたので、今なら食べられる。ぼくは更にスマホで浜松駅の駅そば情報を調べた。  浜松には駅そばがあった

          Piano For Train (3) 往路:浜松~豊橋~大垣~米原~京都

          Piano For Train (2) 往路:熱海~沼津~島田~浜松

          ここまでの話 Piano For Train (1) 旅の始まり~往路:京成小岩~上野~熱海 [往路:熱海~沼津]  上野東京ラインが終点の熱海についた。ここで東海道線に乗り換えて、次は沼津を目指す。  熱海は実は静岡県に属するのだけれど、ぼくの意識の中ではまだ何となく「神奈川の続き」というような気持ちがある。あるいはそれは「ここが静岡県の入り口なのだ」という感覚なのだろうか。  その感覚は、まるで強大な高い山に登る前の登山家のような心境である。これは決して大げさな物言

          Piano For Train (2) 往路:熱海~沼津~島田~浜松

          Piano For Train (1) 旅の始まり~往路:京成小岩~上野~熱海

          [旅の始まり]  ひんやりとした朝の独特の空気がマスク越しからでも頬に感じられた。  夏が名残惜しそうにその姿を過去へと消していったのと入れ替わって、秋が自分の出番をはっきりと主張し始めていた。  朝日が昇るのも少し遅くなったなと感じる早朝に、ぼくは自宅から最寄りの京成小岩駅のホームにいた。 本当は始発の電車に乗るつもりだったが、寝坊をしたので始発から二本遅い電車を待っていた。  時刻は6時40分、これから約十時間をかけて普通電車、いわゆる鈍行列車を乗り継いで東京か

          Piano For Train (1) 旅の始まり~往路:京成小岩~上野~熱海

          Orion 〈小説〉

           十二月にだけ夜空を眺める、という奇妙な女性がいた。  それは見事に十二月「だけ」だった。  一月一日から十一月三十日までは、全く眺めないらしい。日付が十二月一日に変わったあたりから少しずつ夜空のことが気になりだし、十二月の一週目の途中ぐらいから頻繁に夜空を見に外に出かける。  二週目から大晦日までは、雨の降っていない日にはほとんど毎日夜空を見るために厚手のコートを羽織って手袋をして夜の世界に現れるのだが、年が変わって一月一日になったら、彼女は世界からぱったりと姿を消す。

          Orion 〈小説〉

          家にこもってジャズやろう vol.2 ~ジャズジャイアントたちのアドリブ~

          前回公開しました「家にこもってジャズピアノやろう」ですが、まあまあ反響がありまして、調子に乗って第二弾やります。 譜面作成業務「譜面屋ふくしま」のコロナ撲滅キャンペーンとして、ジャズジャイアントたちの珠玉のアドリブソロを採譜したものを無料配布いたします。 今回は「管楽器編」です。 お品書きは以下の3曲です。 それぞれ「ゆっくり練習用」のマイナスワン動画も作りましたので添えておきます。よろしければお使いください。 ・『St. Thomas / Sonny Rollins

          家にこもってジャズやろう vol.2 ~ジャズジャイアントたちのアドリブ~

          家にこもってジャズピアノやろう~レジェンドピアニストたちのアドリブ~

          とんでもない事態になっています。昨今の新型コロナウイルスによって。 私もほとんど全ての仕事がなくなり、家におります。 家にいる、ぐらいしか頑張りようがないというのも事実。家にいましょう。 しかし、何もせずに家にいると鬱々としてきます。家の中で楽しめる遊びを見つけるべきです。 ということで、私が副業でやっております譜面作成業務「譜面屋ふくしま」のコロナ撲滅キャンペーンとして、レジェンドジャズピアニストたちの珠玉のアドリブソロを採譜したものを無料配布しようと思います。 私がや

          家にこもってジャズピアノやろう~レジェンドピアニストたちのアドリブ~

          投げ銭ページ

          アドリブソロ譜面配布に関しての投げ銭ページです。 基本的には無料でやってますのでこちらは気にして頂かなくても結構なのですが、現在無収入ですので投げ銭を頂けるととても嬉しいです。 こちらのページは500円にしております。 もしよろしければ。 *このページはここで終わりです。

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          500

          投げ銭ページ

          ダウン・バイ・ザ・リバーサイド(3)

          15 うなぎ  奥戸の向かいの立石方面に、今まさに夕日が沈んでいくところだった。 偉大な作曲家であり有能なバンドリーダーであり、そして稀有な天才ピアニストでもあったデューク・エリントンの佳曲「シングル・ペタル・オブ・ア・ローズ」がぼくの頭の中で流れていた。半ば眠り、半ば覚醒しているかのような夢見心地にさせられるメロディから、エキゾチックな音階の下降によって作られるサビのメロディへの展開が本当に美しいこの曲は、数あるエリントンの曲の中でもぼくの大のお気に入りの一つだ。

          有料
          300

          ダウン・バイ・ザ・リバーサイド(3)

          ダウン・バイ・ザ・リバーサイド(2)

          7 うなぎ  いつまで経ってもうなぎが釣れない。そして前回の中川スメルに満ちあふれたシーバスを食べてから、ぼくの中で「仮に釣れたとして中川のうなぎは美味いのか?」という疑念が頭をもたげ始めた。 いやしかし、うなぎを釣らないことには話は始まらない。 美味いに決まってる。 ミミズ、行ってこい。 うなぎに食べられてこい。 ぼくはペットボトル仕掛けの針を懲りずに投げ続けた。   8 さくま  還暦を越えてから、何を思ったか「車の免許が取りたい」と佐久間さんが

          ダウン・バイ・ザ・リバーサイド(2)

          ダウン・バイ・ザ・リバーサイド (1)

          1 うなぎ  水の入ったペットボトルが乱暴に倒される。 地面に打ち付けられたその際に発するゴトンという鈍い音が聞こえると、ぼくの脳内は軽いお祭り騒ぎとなる。 さあ、始めようか。 そんなことを呟いてぼくは倒れたペットボトルにいそいそと駆け寄る。 うなぎのペットボトル釣法の話である。 誰が編み出したのかは知らないが、うなぎ釣りにはペットボトル釣法という釣り方がある。 釣り竿を使わずにペットボトルを使用する釣り方だ。 五〇〇ミリリットル前後のペットボトルの首の部分に釣り糸

          ダウン・バイ・ザ・リバーサイド (1)