企画担当の必須技能!「問題解決」の手順を学ぼう~銀行の「マーケティング」と「営業企画」の教科書~
ある銀行営業店のよくある光景、奥の部屋ではこんな会話が・・・
さて、A君はなぜ仕事ができそうで、B君はダメそうなんでしょうか?
今回は、そこを紐解いてみたいと思います。
問題解決の基本的なステップ
Step① 問題解決の第1歩は「あるべき姿」「ありたい姿」の把握
自己啓発書を読むと、「目標は紙に書きだすと、達成できる!」と書いてありますね。紙に書きだすことで、目標を潜在意識に刷り込むことができるからです。
みなさんは「目標(=あるべき姿)」を、しっかり認識できていますか?
営業のみなさんは、「そりゃ目標くらい・・・」って反応でしょうか。
では、企画のみなさんはいかがですか?
「いつまでに、何を、どういう状態したいのか」しっかりイメージはできていますか?ちゃんと答えられない方も多いのではないでしょうか。
企画担当のゴールは、具体的な数字になっていないケースも多く、イメージしにくい場合がありますよね。
しかし、この「ゴールを定める」というプロセスなくして、がむしゃらに走るだけでは路頭に迷ってしまうのです。
Step② 「現状」と「あるべき姿」のギャップを把握
次にすべきことは、「現状」の正しい認識です。
営業担当は、計数で「現状」を把握できるのでわかりやすいですね。
企画担当が把握すべき「現状」はやや複雑になります。任されたプロジェクトについて「時間」「コスト」「資源」「リスク」等の「現状」を常に把握しておかなければなりません。
そして、「現状」と「あるべき姿」のギャップこそが「問題」なのです。
Step③ 問題の「原因」を明らかにする
問題を特定できたら、次は「原因」を考えます。
よく「なぜなぜなぜ」を5回繰り返せ!などと言われますよね。
表層的ではなく、本質的な原因は何かを深く考える必要があります。
また、通常、問題の「原因」は1つとは限りません。
まずは思いつく限り、多くの「原因」を箇条書きにしてみましょう。
Step④ もっとも効果的な「原因」を特定する
箇条書きにした、「原因」を眺め、どの「原因」を潰していけば、解決につながりやすいかを考えます。
箇条書きの中から、1~3つ程度選んでみましょう。
Step⑤ 「原因」をつぶすための「対策」を10個以上考える
さて、ここからが脳で汗をかく時間です。
「原因」を潰すために何ができるのか、必死に考えます。
かつて、私の上司からは、「頭から血が出るほど考えろ!」とパワハラを受けながら訓練されたものです・・・
今は、GPTさまにお尋ねするだけで、たくさんヒントもらえます。
Step⑥ 「対策」の中から、効果が高そうなものを選ぶ
ここまで来たら、ゴールはもうすぐです。
考えた「対策」の中から、もっとも解決につながる効果が高そうな対策を選びます。
Step⑦ ⑥で選んだ施策を実践する
さあ、あとは実践あるのみ!計画を立てて、実践していきましょう!
B君の問題を解決しよう!
ここからは実践編です。
B君の実績がどうすれば向上するのか、一緒に考えましょう!
Step① 問題解決の第1歩は「あるべき姿」「ありたい姿」の把握
販売目標の達成もさることながら、B君の「あるべき姿」は「1週間で見込みのあるお客さまを10件訪問する」ことでした。
Step② 「現状」と「あるべき姿」のギャップを把握
訪問できたのは4件でしたね。この場合、+6件が解決すべき「問題」ということになります。
Step③ 問題の「原因」を明らかにする
営業の実績を向上させるにはキーは「スキル×マインド」です。B君の場合は、なんとなくマインドは高そうですので、主にスキルに問題がありそうですね。
では、スキルに照射してどんな問題があるのか、仮説をたててみましょう。
稟議書の作成スキル
時間管理のスキル
お客さまとの交渉スキル
問題解決のスキル
上司とのコミュニケーションスキル etc
Step④ もっとも効果的な「原因」を特定する
いずれにも課題はありそうです。
仮にB君が言っている通り、稟議書の作成に時間がかかりすぎているとしたら、そこを全力で潰しに行く必要があります。
当社でも新人の営業担当が、30分でできそうな稟議書に4時間も時間をかけている事象が散見されます。お客さまを訪問できなくなるのはあたりまえです。
Step⑤ 「原因」をつぶすための「対策」を10個以上考える
では、稟議書作成スキルを向上させるための打ち手を、考えてみましょう。
融資マニュアルを持ち帰り、1週間で全部読み返す
融資部の推薦図書(3冊)を1ヵ月で読み込む
融資部や社外の研修に参加する
財務分析の資格試験を受験する
融資部の先輩と仲良くなる(飲みに行く)
先輩行員が過去に作成したよくできた稟議を読み込む
稟議作成スキルの高い先輩に弟子入りする
稟議作成前に、作成方針を支店長・課長と話し合い、レベル感を合わせる
稟議書を作成する集中時間を設ける
誰にも邪魔されないカフェで稟議の構想を練る
まだまだ出てきそうですが、今日はこれくらいにしておきます・・
Step⑥ 「対策」の中から、効果が高そうなものを選ぶ
Bくんは、すぐに取り組める1,5,9からはじめてみることにしました。
やることを決めたら、期限(いつまでに)を決めることが大切です。
Step⑦ ⑥で選んだ施策を実践する
あとは実践のみ!今すぐ、融資部の先輩を飲みに誘うのだ!
本部の企画こそ「問題解決」が必要
さて、今回は営業担当のA君とB君を事例に「問題解決」の手法を説明しました。「時間がなくてお客さま訪問ができなかった」を解決する手法が「気合を入れてがんばる」ではないことは明らかですよね(笑)
企画担当の問題解決は、もう少し難易度があがります。なぜなら、直接自分のことではない問題を解決する必要があるからです。
例えば、人材育成担当のあなた!きっと、営業店では優秀だったことでしょう。しかし、あなたの人材育成企画は、上位20%くらいの行員を対象にしたものになっていませんか?
そもそも、モチベーションがそれほど高くない行員がついてこれますか?
彼らの課題・問題を明らかにし、どう解決していくかが、本部行員には求められるのです。
問題解決はPDCAをいかに高速に回し続け、成功パターンに辿り着くかがポイントです!
失敗を恐れず、ぜひ「気合を入れて」がんばってください!
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