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企画担当の必須技能!「問題解決」の手順を学ぼう~銀行の「マーケティング」と「営業企画」の教科書~

ある銀行営業店のよくある光景、奥の部屋ではこんな会話が・・・

<できる営業A君の場合>
課長:「Aさん、今月の投資信託の目標、大丈夫?」
A君:「はい、目標は30百万円ですが、20百万円まで固まっています。残り10百万円は、今週、○○様から、相続資金の運用相談がありますので、その結果で見えてきます。万一に備えて、◇◇様と△△様にもアポイントをいれてます。」

<できない営業B君の場合>
課長:「Bさん、今月の投資信託の目標、大丈夫?」
B君:「はい、正直苦戦してます。」
課長:「先週10件お客さま訪問するって約束したけど、どうだったの?」
B君:「稟議書の作成に時間をとられて、4件しかまわれませんでした」
課長:「今週はどうするの?」
B君:「気合を入れて、がんばります!」

さて、A君はなぜ仕事ができそうで、B君はダメそうなんでしょうか?
今回は、そこを紐解いてみたいと思います。


問題解決の基本的なステップ

Step① 問題解決の第1歩は「あるべき姿」「ありたい姿」の把握

自己啓発書を読むと、「目標は紙に書きだすと、達成できる!」と書いてありますね。紙に書きだすことで、目標を潜在意識に刷り込むことができるからです。

みなさんは「目標(=あるべき姿)」を、しっかり認識できていますか?
営業のみなさんは、「そりゃ目標くらい・・・」って反応でしょうか。

では、企画のみなさんはいかがですか?
「いつまでに、何を、どういう状態したいのか」しっかりイメージはできていますか?ちゃんと答えられない方も多いのではないでしょうか。

企画担当のゴールは、具体的な数字になっていないケースも多く、イメージしにくい場合がありますよね。

しかし、この「ゴールを定める」というプロセスなくして、がむしゃらに走るだけでは路頭に迷ってしまうのです。

Step② 「現状」と「あるべき姿」のギャップを把握

次にすべきことは、「現状」の正しい認識です。
営業担当は、計数で「現状」を把握できるのでわかりやすいですね。
企画担当が把握すべき「現状」はやや複雑になります。任されたプロジェクトについて「時間」「コスト」「資源」「リスク」等の「現状」を常に把握しておかなければなりません。
そして、「現状」と「あるべき姿」のギャップこそが「問題」なのです。

「現状」と「あるべき姿」のギャップが「問題」

Step③ 問題の「原因」を明らかにする

問題を特定できたら、次は「原因」を考えます。
よく「なぜなぜなぜ」を5回繰り返せ!などと言われますよね。
表層的ではなく、本質的な原因は何かを深く考える必要があります。

また、通常、問題の「原因」は1つとは限りません。
まずは思いつく限り、多くの「原因」を箇条書きにしてみましょう。

Step④ もっとも効果的な「原因」を特定する

箇条書きにした、「原因」を眺め、どの「原因」を潰していけば、解決につながりやすいかを考えます。
箇条書きの中から、1~3つ程度選んでみましょう。

Step⑤ 「原因」をつぶすための「対策」を10個以上考える

さて、ここからが脳で汗をかく時間です。
「原因」を潰すために何ができるのか、必死に考えます。
かつて、私の上司からは、「頭から血が出るほど考えろ!」とパワハラを受けながら訓練されたものです・・・
今は、GPTさまにお尋ねするだけで、たくさんヒントもらえます。

Step⑥ 「対策」の中から、効果が高そうなものを選ぶ

ここまで来たら、ゴールはもうすぐです。
考えた「対策」の中から、もっとも解決につながる効果が高そうな対策を選びます。

Step⑦ ⑥で選んだ施策を実践する

さあ、あとは実践あるのみ!計画を立てて、実践していきましょう!

B君の問題を解決しよう!

ここからは実践編です。
B君の実績がどうすれば向上するのか、一緒に考えましょう!

Step① 問題解決の第1歩は「あるべき姿」「ありたい姿」の把握

販売目標の達成もさることながら、B君の「あるべき姿」は「1週間で見込みのあるお客さまを10件訪問する」ことでした。

Step② 「現状」と「あるべき姿」のギャップを把握

訪問できたのは4件でしたね。この場合、+6件が解決すべき「問題」ということになります。

Step③ 問題の「原因」を明らかにする

営業の実績を向上させるにはキーは「スキル×マインド」です。B君の場合は、なんとなくマインドは高そうですので、主にスキルに問題がありそうですね。
では、スキルに照射してどんな問題があるのか、仮説をたててみましょう。

  • 稟議書の作成スキル

  • 時間管理のスキル

  • お客さまとの交渉スキル

  • 問題解決のスキル

  • 上司とのコミュニケーションスキル etc

Step④ もっとも効果的な「原因」を特定する

いずれにも課題はありそうです。
仮にB君が言っている通り、稟議書の作成に時間がかかりすぎているとしたら、そこを全力で潰しに行く必要があります。

当社でも新人の営業担当が、30分でできそうな稟議書に4時間も時間をかけている事象が散見されます。お客さまを訪問できなくなるのはあたりまえです。

Step⑤ 「原因」をつぶすための「対策」を10個以上考える

では、稟議書作成スキルを向上させるための打ち手を、考えてみましょう。

  1. 融資マニュアルを持ち帰り、1週間で全部読み返す

  2. 融資部の推薦図書(3冊)を1ヵ月で読み込む

  3. 融資部や社外の研修に参加する

  4. 財務分析の資格試験を受験する

  5. 融資部の先輩と仲良くなる(飲みに行く)

  6. 先輩行員が過去に作成したよくできた稟議を読み込む

  7. 稟議作成スキルの高い先輩に弟子入りする

  8. 稟議作成前に、作成方針を支店長・課長と話し合い、レベル感を合わせる

  9. 稟議書を作成する集中時間を設ける

  10. 誰にも邪魔されないカフェで稟議の構想を練る

まだまだ出てきそうですが、今日はこれくらいにしておきます・・

Step⑥ 「対策」の中から、効果が高そうなものを選ぶ

Bくんは、すぐに取り組める1,5,9からはじめてみることにしました。
やることを決めたら、期限(いつまでに)を決めることが大切です。

Step⑦ ⑥で選んだ施策を実践する

あとは実践のみ!今すぐ、融資部の先輩を飲みに誘うのだ!

本部の企画こそ「問題解決」が必要

さて、今回は営業担当のA君とB君を事例に「問題解決」の手法を説明しました。「時間がなくてお客さま訪問ができなかった」を解決する手法が「気合を入れてがんばる」ではないことは明らかですよね(笑)

企画担当の問題解決は、もう少し難易度があがります。なぜなら、直接自分のことではない問題を解決する必要があるからです。

例えば、人材育成担当のあなた!きっと、営業店では優秀だったことでしょう。しかし、あなたの人材育成企画は、上位20%くらいの行員を対象にしたものになっていませんか?
そもそも、モチベーションがそれほど高くない行員がついてこれますか?

彼らの課題・問題を明らかにし、どう解決していくかが、本部行員には求められるのです。

問題解決はPDCAをいかに高速に回し続け、成功パターンに辿り着くかがポイントです!
失敗を恐れず、ぜひ「気合を入れて」がんばってください!

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