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留学生との25年間:初投稿に向けて

私は約25年間、留学生関係の仕事ばかりしてきた。最初は日本語教師として、次に事務職員として働いた。大学、専門学校、日本語学校などいくつかの学校を転々として、さまざまな留学生に会った。私にとっては日々留学生がいるのはあたりまえで、外国人がいない職場のイメージがつかない。

日本の「あたりまえ」は留学生にとっては未知の世界で、留学生の言動は時に理解不能だ。そんな「こっち」と「そっち」を行き来しながら仕事をしている。日本人の担当教員や関係部署に留学生の視点や考えを「代弁」したり、問題を起こした留学生には日本の仕組みや日本人が言葉にしない「意図」を解説したりしている。20代のころは、留学生の「お姉さん」みたいな関係が作れたが、今は学生の両親の年代になり、「問題が起きると出てくる(ちょっと怖い)職員」として働いている。

文化や価値観、考え方の違いは、関係する人々の個性や背景となる事象がからみあって、見えないこと、気づかないことも多い。ずいぶん長くこの仕事をしているが、今だに発見や驚きがある。特に留学生の反応や言動は、「そう来たか!」、「そんなことするか?!」と想定外のことが起きる。それがこの仕事の面白さだ。また、留学生のほとんどが10代終わりから20代で、人として大きく成長する時期を過ごしている。彼らが卒業後、進学・就職したり、結婚して家族を持ったり、人生を進んでいく様子を見ることもできる。ずいぶん手がかかった学生が就職し、結婚し、子供ができた様子を見ると、人の可能性は「目の前の現象」だけでは判断できないことを教えてくれる。人の成長にかかわり、給料ももらえる。なんて幸せな仕事なんだろう。

今まで接した留学生は何人くらいになるのだろう。1000人ぐらいになるんじゃないだろうか。国籍もさまざま。中国、韓国、スリランカ、バングラディッシュ、ベトナム、アメリカ。世界情勢や日本社会の変化とともに、留学生の様子もずいぶん変わってきた。留学生の生活やアルバイトの状況を観察すると、日本社会を覗き見ることができる。

留学生は私のエネルギーの源だ。つらいことがあったとき、留学生対応に頭を切り替えることで、ずいぶん助けられてきた。「人を助けている自分」になることで、「どうにもならない自分の人生」に意味があるように感じられた。別れを経験して本当につらかったとき、この仕事がつっかえ棒になって崩れ落ちるのを止めてくれた。

近年日本では、外国人が身近な存在になった。コンビニへ行けば外国人の店員さんがレジを打っているし、最近はご無沙汰しているけど、居酒屋やレストランなどでも働いている外国人をよく見かける。私たちが受け取る宅配便やコンビニで買うお弁当も発送センターや工場で働く外国人のおかげかもしれない。少子高齢化が進み、日本政府も数年前に方針を大きく変え、単純労働分野で外国人を受け入れる方向に大きく舵を切った。外国人はこれからますます私たちの「生活の一部」、「なくてはならない人」になるのだろう。

時代と社会の変化にともなって、留学生の母国の状況や日本の環境などもずいぶん変わってきた。でも変わらないこともある。それは多くの留学生が家族と離れて日本へ来ているということ、留学生(外国人)にとって日本での生活は日々がチャレンジだということ。

これまで縁があった留学生、私を成長させ、心の支えになってくれた留学生への感謝の気持ちを込めて、25年間の経験から学んだことや気づきを発信できたらと思っている。自己満足な投稿だけど、留学生や外国人に接して「???」となっている誰かの役に立てば望外の幸せだ。


そよそよさん、素敵なイラストをありがとうございます。


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