心が疲れた夜のお供「かもめ食堂」について話すね
「海外で個人事業主」という主人公との共通点だけで「かもめ食堂」に共感してしまうのは単純すぎるのだけど。
悩んだ時、迷った時、失敗した時、この映画は心のよりどころ的存在。
フィンランドで食堂を営む主人公「さちえ」とその周りの人々の日常が淡々と流れ、特に「泣ける」とか「感動」といったシーンはありません。
それでも、ちょっとした不安があったり、気が弱くなっている時に見ると
「さちえぇぇぇぇーーーー!!!!」
と涙ぐんでしまう。
さっきも見たばかりなので、かもめ食堂について書いてみようかな、と。
(※この記事は他ブログに投稿した記事を一部加筆・修正したものです)
15秒で「かもめ食堂」のあらすじ・登場人物を説明する
舞台はフィンランド・ヘルシンキ。
港の風景から物語は始まります。
小さな食堂「かもめ食堂」を営む「さちえ」
場当たり的に一人旅にきてしまった「みどり」
ロストバゲージで荷物を待つ「まさこ」
の3人がフィンランドで出会います。
3人の日本人女性たちと、かもめ食堂に毎日コーヒーを飲みに来る日本かぶれのフィンランド人の青年・トンミ・ヒルトネン、さちえに美味しいコーヒーの淹れ方を教えるマッティとその妻、かもめ食堂に訪れる近所の人々が登場人物。
美しいフィンランドの風景とともにくりひろげられる人々との出会いの中で、取るに足らない小さな出来事が積み重なり、赤の他人の何気ない日常生活を垣間見ている感覚に。
物語の「起承転結」が限りなく小さく、しいていえばヒューマンドラマ。
でも、どこにも分類わけできない独特の世界観が繰り広げられます。
淡々とした日常の風景の中に見え隠れする「大切なもの」に気が付く、そんな物語。
「かもめ食堂」の登場人物の背景は語られない
登場人物の3人の日本人女性の過去や現在の状況についてはストーリーの中では深く追求されていません。
お互いがお互いの過去を根掘り葉掘り聞くシーンもなく、それが何とも言えない心地良さがあるんですよね。
ちょうど良い距離感でちょうど良い気遣い。
人の過去や抱えている事情にぐいぐい踏み込まない優しさ。
「生きていれば触れられたくないこといろいろあるよね」が言葉にしなくても伝わってくる空気感に安心します。
グサっと刺さる「かもめ食堂」のセリフ
さちえは自分の軸をしっかり持った凛とした女性。彼女が作中に何気なく放つ言葉に胸を刺されたり、現状を省みるきっかけになったり。
世の中には知っているようで知らないことが多いんですよね~。
「スナフキンとミーは兄弟、でも父親は違う」「ニョロニョロは電気を食べて生きている」という情報に対してのさちえの言葉。
そう、世の中は知っているようで知らないことばかり。
「たいていのことはわかっている」という態度で過ごすより「知らないことばかり」という謙虚な気持ちで好奇心を持って過ごす方が毎日楽しいに決まってる。
毎日、真面目にやってればそのうちお客さんも来るようになる。お客さんが来なければその時はその時。
みどりが「かもめ食堂」にお客さんがこないのを心配して「ガイドブックに広告をのせたら?」との提案をうけたさちえの言葉。
私もちょっと前まで「稼げないブロガー」「稼げないフリーランス」今でも「来月は稼げないかもしれない」という恐怖感と背中合わせ。
それでも、真面目にやるべきことに向き合っていけば、きっとなんとかなる、と思わせてくれる。
「その時はその時」って言葉も素敵です。
将来、起こるか起こらないかわからないことを心配しても仕方がないよ、ってことです。
明日世界が終わるとすれば何したい?
さちえがみどりに聞いた質問。
明日、世界が終わる確率は限りなく低いけれど、迷った時や悩んだ時、自分に問いたい言葉。行動を起こす勇気にもつながりますよね。
(ムダな人間関係から距離をおいたり、思い切って旅に出たり、好きな人に告白したり)
やってみたからわかったこともある
おにぎりの試作品がすべて失敗に終わった時のさちえの言葉。
やってみないとわからない。
失敗してみないとわからない。
当たり前のことなのに、準備を完璧にしないと、なかなか最初の一歩が踏み出せない、、、、そんな時にグサッときました。
物事は「見切り発車」くらいでちょうどいいのかもしれませんね。
やりたくないことはやらないだけ
まさこからの「いいわね、好きなことやってらして」のさちえの返答。
仕事も人間関係も自ら選択し、自分の人生は自分で責任を持て!というメッセージも含まれているような気がするんです。
やりたくないことはやらない、社会人にはとうてい無理、、、なんて思ってましたが、今は「やりたくないことはやらない」に近い生活になってきました。
どこにいたって悲しい人は悲しい、寂しい人は寂しい
酔っぱらって今までの人生を涙ながらに語るフィンランド人女性に対してのさちえの言葉。
環境を変えたところで、自分が変わらなければダメってことだ。
海外で暮らせば自分が変わるんじゃないか?
会社を辞めれば自分が変わるんじゃないか?
そんな期待を持っていたこともありました。
結局、自分の幸せをどこかに・誰かに委ねる「外部要因」ありきの考え方ではいつまでたっても自分の人生に納得できるはずもありません。
最後に
映画のエンディングが近づく頃は「いろいろあるけど、まぁ、なんとかなるか」と口元がゆるみます。
ゆるゆると流れるストーリーの中にちりばめられたフィンランドの風景、おいしそうな食べ物、3人の日本人女性のやりとり。
そして、海外で個人事業主として働く主人公さちえの凛とした姿勢に今夜も励まされました。
最近、テンションというかメンタルというか、ちょっと気持ちのアップダウンが激しいなぁと反省しています。(いろいろあるのさ)
今年の目標は「賢く凛とした女性」にしときましょう。
何から始めればいいのかさっぱりわかりませんが。
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