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海士町「島まるごと図書館」とは?

海士町「島まるごと図書館」とは?

海士町中央図書館は、離島で暮らす人たちにとって大切な学びの場、憩いの場であると同時に、もう一つの大切な役割を担っています。それは、海士町で行っている「島まるごと図書館」の拠点という役割です。

まだ島に図書館がなかった頃に作られた構想が、「島まるごと図書館構想」でした。海士町では、持続可能な地域社会の実現を目指して、2007年より人間力溢れる人づくりの推進に取組んでおり、その中で「読書活動」が重点

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非生産性にたじろがない人/圧倒的成長を志す人 『本の読める場所を求めて』全文公開(28)

非生産性にたじろがない人/圧倒的成長を志す人 『本の読める場所を求めて』全文公開(28)

第4章 長居するおひとりさまとしての本を読む客
㉘非生産性にたじろがない人/圧倒的成長を志す人
今、僕は、とても生産的なことをしている(「凄惨敵」とまず変換されてぎょっとした。どういうことなんだろう……)。パソコンを前にして、文章を書いている。言葉をひとつずつ、文字通り、生産している。最後までしっかりがんばることができたら、本になるはずだ。本になれば、印税も発生する。がんばり通すことができたら、そ

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火葬場で本を読む人 『本の読める場所を求めて』全文公開(26)

火葬場で本を読む人 『本の読める場所を求めて』全文公開(26)

第5章 読書という不気味な行為
㉖火葬場で本を読む人
家以外の場でおこなわれるパソコン作業も読書も、ともに、パブリックなスペースを自分の居場所化する行為だ。連れ立っておしゃべりをしている人たちと比べると、ずっと外に開かれていない、内に閉じられている、という感じがある。そして、パソコンよりも読書のほうがその閉じられ度合いがずっと深刻なのではないか。

ふたつの特性が、読書という行為に不気味さをまとわ

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いつも一人でべつな場所に行ってしまう 『本の読める場所を求めて』全文公開(27)

いつも一人でべつな場所に行ってしまう 『本の読める場所を求めて』全文公開(27)

第4章 長居するおひとりさまとしての本を読む客
㉗いつも一人でべつな場所に行ってしまう
現存する日本最古の印刷物は「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」というお経で、これは西暦770年に完成したそうだ。一瞬「日本最古、そんなものか?」とも思ったが、グーテンベルクの活版印刷技術の発明が15世紀だから、やはりたいしたものだ。1200年以上ものあいだ、この印刷物は同じ文字を映し続けているわけで、歳月の

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