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深水千世/くさなぎ秋良
2020年6月12日 23:49
6月のある日、5歳の息子をこども園に迎えに行ったときのことだ。先生が長方形に切った色画用紙を手渡し、「七夕の短冊です。お願いごとを書いてきてください」と仰った。私のお願いごとの裏面に息子がお願いごとを書くのだという。「わかりました」と持って帰ってから思い出す。そういえば昨年の短冊は息子のお願いごとを私が書いて終わりだった。今年はコロナのために七夕祭りが中止になってしまった。園内で短冊を笹
2019年9月13日 13:44
昔、ある男がこう愚痴を漏らした。「奥さんがさ、子どもたちにヒステリックに怒るんだよ。怒ると叱るは違うでしょ? 自分が辛いから怒ってるようで本当嫌だ。朝から菓子パンだけとか手抜きでさ。子どものご飯なのにさ」私は「そうか。ずっと怒鳴られてたらそりゃ嫌だね」と返したと思う。当時、私は最初の結婚をしていたが、子どもはいなかった。おまけに夫婦ともに朝食をとらない習慣だったので、他人事だったのだ。
2019年5月3日 22:50
バイオリンを習い続けて20年目のことだった。実家で練習しているとすこぶる調子が良く、満足のいく演奏になった。早めに練習を切り上げ、浮かれながら楽器をしまう私に母がこう言ったのだ。「へぇ、聞けるようになったね」つまり『いつのまにか、聞くに堪えない演奏ではなくなったね』と言ったのだ。20年も弾いてきたというのに、母が私の演奏に何か言ってきたのはこれが初めてだった。練習がうまくいって天狗になり