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後悔が成功の鍵:起業家がビジネスチャンスを生み出す反実仮想とは?


起業家が「もしあの時…」と思う理由

わたしたちはよく「もしあの時こうしていたらどうなっていただろう?」と過去の出来事を振り返ることがあります。
このような考え方は、普通なら後悔することとなりネガティブにとらえられがちですが、起業家にとっては違います。起業家は、これをきっかけにして、新しいビジネスチャンスを見つけることができるのです。

こうした考え方が起業家の意欲を引き出すことを示した研究があります。この記事では、こうした「もしあの時…」という思考が、起業家にどんな影響を与えるのかを説明します。

「もしあの時…」が生む起業家の成功のカギ

反実仮想とは、過去に起こったことについて「もしあの時こうしていたら…」と仮定して考えることです (Kahneman & Tversky, 1982)。普通は、こうした考えは反実感情、つまり後悔を生むので好ましくないと考えられています。
しかし、起業家にとっては過去の出来事から学んで、新しいアイデアや戦略を生み出すチャンスとなり、大きなプラスとなります。つまり、過去の失敗や機会を逃したことへの後悔が、新しい挑戦へのエネルギーに変わるのです。

反実仮想が起業家に与える影響

Baron (1998) は、起業家は他の人たちよりも反実仮想をよくする傾向があり、その結果、過去の失敗や「やらなかったこと」に対して強い後悔を感じやすいことを示しました。
起業家は特に悪い結果が出たときに「もしあの時こうしていたら…」と考えることが多く、その考えが新しいビジネスチャンスを探す動機になります。こうした思考によって、起業家は新しいアイデアを考え出したり、ニッチを見つけたりすることができるのです。

反実仮想思考の活用法: 起業家が成功するために必要なこと

日常生活でも、起業家は自分のビジネスに関する決断をするときに、過去の失敗から反実仮想を活かします。たとえば、ある商品が売れなかったとき、その経験をもとに「もし違うやり方をしていたらどうだっただろう」と考え、次にどうすれば成功するかを考え直します。
また、過去にビジネスチャンスを逃したと感じた起業家は、次に同じようなチャンスが来たときに素早く行動するようになります。こうして、反実仮想は、後悔という感情に着目するとマイナスにみえますが、そこから未来の成功を引き出すことができるチャンスになるのです。

反実仮想を活かし、起業家として成長する方法

起業家が反実仮想をうまく活用するためには、まず過去の失敗や後悔を冷静に振り返り、それを教訓としてポジティブに捉えることが大切です。
そして、その教訓をもとに具体的な行動計画を立てて、次のチャンスに備えましょう。また、後悔の気持ちが強すぎる場合は、それを和らげるために心のケアをすることも大切です。最後に、反実仮想をうまく活用して自分の成長につなげていくことが大事になります。

反実仮想でビジネスの成功を掴む

反実仮想は、過去の失敗を新しいビジネスチャンスに変える力を持っています。この思考をうまく活用することで、起業家はより良い決断を下すことができ、ビジネスの成功をつかむ確率が高まります。
反実仮想を理解し、その力を最大限に引き出すことで、将来のリスクに備え、成長に向かっていきましょう。

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※本記事の無断転載・二次利用はお断りします。

文献

Baron, R. A. (1998). Cognitive mechanisms in entrepreneurship: Why and when entrepreneurs think differently than other people. Journal of Business Venturing, 13(4), 275–294.

Kahneman, D., & Tversky, A. (1982). The simulation heuristics. In D. Kahneman, P. Slovic, & A. Tversky (Eds.), Judgment under uncertainty: Heuristics and biases (pp. 201–208). Cambridge University Press.


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