藤田政博

関西大学社会学部心理学専攻教授。法と心理学会理事長、法社会学会理事。東京大学大学院博士…

藤田政博

関西大学社会学部心理学専攻教授。法と心理学会理事長、法社会学会理事。東京大学大学院博士課程修了。Udemy講座 認知バイアス https://x.gd/THFHd 書籍『リーダーのための【最新】認知バイアスの科学』https://x.gd/xv5J2

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後知恵バイアスを克服する方法: ビジネスリーダーが知っておくべき心理学的対策

ビジネスリーダーが陥りやすい後知恵バイアスとは? ビジネスの現場では、重要な意思決定を日々求められる中で、過去の判断を振り返ることも多いでしょう。 しかし、振り返りの際に「後知恵バイアス」という心理的な罠に陥る可能性があります。たとえば、プロジェクトが期待通りに進まなかった後に、「あの時もっとリスクを見抜けたはずだ」と後悔することがあるかもしれません。 このような感覚は、結果を知った後に過去を振り返ることで生じるバイアスであり、今後の意思決定において誤った判断を招く危

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    • 保守的な管理者が選ぶリーダーシップスタイルと認知バイアスの影響

      保守的なリーダーが好むスタイルとは?バイアスの影響を考える 企業においてリーダーシップの大切さは常に意識されています。 どのようなリーダーシップがあれば、組織がスムーズに回り、組織の士気が上がり、生産性が向上するのでしょうか? よくないリーダーシップの例としてよくあがるのが、過去の成功体験や会社の永年の文化からくる「直感的な判断」を重視することです。 組織の伝統を作り、それをまもり、安定的に運営することは、組織を維持する上で大事なことです。 しかし、変化の激しい時

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        ビジネスの現場では、人のパフォーマンスを評価しフィードバックをすることが必要です。このとき、管理職やリーダーが知らないうちにおちいるバイアスに「ネガティビティバイアス」があります。 一般にはこのようなバイアスについて「ネガティブバイアス」と呼ばれることがありますが、これですと「悪いバイアス」「否定的なバイアス」といった意味になり、バイアス自体の良し悪しを言うことになります。 しかし、このバイアスは否定的に人を評価するバイアスという意味で「ネガティビティバイアス(negati

        • 認知バイアスはいくつある?:認知バイアスのおよその数と分類法

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          敵意帰属バイアスの発見:心理学的背景と攻撃行動との関連性

          以前「敵意帰属バイアスとは?ビジネスシーンでの影響と対策ガイド」という記事を公開しました。 今回の記事では、敵意帰属バイアスのごく初期の研究を紹介し、最初にどのような文脈で敵意帰属バイアスという概念が作られたかをみていきます。 敵意帰属バイアスの発見と心理学的意義 敵意帰属バイアス(Hostile Attribution Bias)は、他者の行動や意図を解釈する際に、特に曖昧な状況で敵意があると判断してしまう認知バイアスです。このバイアスは、子供から大人まで幅広い年齢層

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          後悔が成功の鍵:起業家がビジネスチャンスを生み出す反実仮想とは?

          起業家が「もしあの時…」と思う理由 わたしたちはよく「もしあの時こうしていたらどうなっていただろう?」と過去の出来事を振り返ることがあります。 このような考え方は、普通なら後悔することとなりネガティブにとらえられがちですが、起業家にとっては違います。起業家は、これをきっかけにして、新しいビジネスチャンスを見つけることができるのです。 こうした考え方が起業家の意欲を引き出すことを示した研究があります。この記事では、こうした「もしあの時…」という思考が、起業家にどんな影響を

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          敵意帰属バイアスとは?ビジネスシーンでの影響と対策ガイド

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          起業家の自信過剰バイアスが招くリスクとは?成功を妨げる心理の罠

          起業家の自信過剰バイアスが招くビジネスリスク 起業家たちは自分のビジネスがうまくいくと考えすぎてしまうことが多いようです。これは普通の自信とは少し違って、「自信過剰(過信, overconfidence)」と呼ばれるものです。 過信してしまうと、本当は注意しなければいけないリスクを見逃してしまうことがあります。 起業家は、どのようにに自分に自信を持ちすぎて、ビジネスの判断を間違えてしまうのでしょうか。 自信過剰バイアスとは?起業家が陥る認知の罠を解説 「自信過剰バイアス

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          裁判官にも認知バイアスが存在する理由

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          確証バイアスとは?:由来となった論文を含めて心理学者がわかりやすく解説

          この記事についてこの記事は、認知バイアスのうち「確証バイアス」について解説します。 私は2021年に『バイアスとは何か』(ちくま新書)(藤田, 2021)という本を 出しました。このブログは、その本の説明を簡単にしたものです。 この記事でバイアスについて知っていきましょう。 なお、

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          【5分で読める】『バイアスとは何か』(藤田政博著、2021年)を著者自身が要約

          この記事は、『バイアスとは何か』でお伝えしたかったエッセンスを損なうことなく、ポイントを絞って5分程度で読めるように作成した要約です。 著者なので、この本で重点的に言いたかったことは何なのかを一番理解しています。その観点から作成した要約です。 お忙しい方が、本当のポイントを把握できるようにしています。 第1章 バイアスとは何か認知バイアスとは、認知の偏りのことで、私たちの認知能力に内在しているものです。 私たちの認知は、五感から得られる情報を、脳内で処理・推論されてでき

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          バイアスと偏見、先入観、思い込みの違い

          認知バイアスと偏見・先入観・思い込みの違い 私は2021年に『バイアスとは何か』(ちくま新書)(藤田, 2021)という本 を出しました。それを下敷きに認知バイアスとは何かを解説した記事として、「バイアスとは何か?」という記事を公開しました。  この記事では、バイアスについてより深く知るために、バイアスとは似ているけれど違うもの、「バイアスとは何ではないか?」について簡単に解説します。  バイアスと、偏見・先入観・思い込みとの違いについて説明します。  この記事でとり上

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          バイアス(bias)とは?: 認知バイアスとは何かについて心理学者が簡単に解説

          この記事についてこの記事では、バイアスとは何かについて簡単に解説します。 この記事でとり上げるのは、人間が周囲の物事を見たり聞いたりするときに起こる、認知バイアスです。 近年、とくに話題になることが増えたバイアスですが、なんとなくモヤッとしている人も多いのではないでしょうか。 私は2021年に『バイアスとは何か』(ちくま新書)(藤田, 2021)という本を 出しました。このブログは、その本の説明を簡単にしたものです。 この記事でバイアスについて知っていきましょう。

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