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自社の独自性について考える

先日、ある企業様で経営ワークショップのファシリテーターを務める機会がありました。同社様で10年以上前から、年に複数回行われているものです。通常は終了後に懇親会があり、回によっては宿泊も伴いながら行っていますが、今回は広めの会場で距離を気にしながら、飲食はなしという設定で行われました。

今回の同ワークショップでは、自社の独自性について考えることがテーマでした。
書籍「ビジョナリーカンパニー はずみ車の法則(ジム・コリンズ著)」を課題図書として全員が読み、同書にある「弾み車」の考え方をベースに行いました。

例えば、アマゾン・ドットコムの弾み車を、同書で下記のように考察しています。下記の5つの要素が終わりなく円のように回り続けることで、弾み車のように勢いを加速し、他社の追随を許さない競争優位性になるという示唆です。このイメージで、自社にとっての弾み車を明らかにすることができれば、大きな飛躍の可能性があると説明しています。

<アマゾン・ドットコムの弾み車>
より多くの商品の価格を下げる→サイトの訪問者数が増加する→サードパーティの売り手が集まる→品ぞろえが広がり配送網が充実する→固定費あたりの売上が伸びる→(より多くの商品の価格を下げる)→(以降同様の繰り返し)

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これになぞらえて、同社様にとっての弾み車の初期案をブレーンストーミングのように検討したわけです。ここではその内容に触れませんが、いい滑り出しのアウトプットができたと感じています。上記アマゾンのような整理は、2-3時間話し合って完成するようなものではありません。相応の時間がかかるものです。他にやるべきアジェンダもあったため、今日の初期案を基にしながら、今後のワークショップ数回かけて完成させていくことになりました。

上記アマゾンの例に登場する要素で、奇抜なもの、魔法のようなものは見られません。「商品の価格を下げる」など、どれも実践している企業がありそうな要素ばかりで、個の要素自体には特に独自性があるとは言えないでしょう。しかし、これらがひとつの「システム」として成立し、習慣化され定着したときには、他社の追随を許さない強み=独自性になりえるというわけです。

同社様は、高い営業利益率を誇る超高収益企業です。しかし、何がそうさせているのか、自社の独自性=強みをきちんと定義・認識共有できていませんでした。その収益性が、コロナ禍で陰りを見せています。同社としては、まだ余裕のある今のうちに、自社の独自性=強みとは何なのかを弾み車として定義し、それを意識的・計画的に高速回転させられる状態の組織にしよう。今回のワークショップはそんな趣旨だったわけです。

自社の独自性=強みは何でしょうか。
同業他社とは何が違うのでしょうか。

この問いに明確に答えられる企業は、多くありません。

例えば上記書籍の「弾み車」に倣い、個別の要素ではなく、個別の要素が連関した「システム」の視点で考察すると、自社の独自性=強みが見えてくるかもしれません。

<まとめ>
自社の独自性=強みを、個々の要素ではなく「システム」として考えてみる。


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