見出し画像

最新学習歴を更新する(2)

前回の投稿では、「最終学歴」ではなく「最新学習歴」を更新することの重要性について取り上げました。
https://note.com/fujimotomasao/n/nb8bc9d3d5f3f

「最新学習歴」を効果的に蓄積するためにはどんな行動を心掛けるとよいか、ポイントになりそうなことについて、ここでは心理的な観点から2つ考えてみます。

1.大きいことと小さいことに同時に取り組む

例えば、教育機関やスクールに通い、新たな資格や学位を取得するための学習をすることは、とても有意義です。自身のキャリアに合致した大きな学習の取り組みをすれば、キャリアの展望は大きく開けていくでしょう。人生の所々で、各人に合った何らかの大きな学習の取り組みがあったほうが、キャリア形成は豊かになりやすいと言えます。

他方、そのような大掛かりな学習だけが、最新学習歴の対象になるわけでもありません。日常の仕事や生活の周辺にある様々なことが学習の対象になります。例えば、「どこかで農業体験をして野菜の作り方を学んだ」「異業種交流会に参加して普段接点のない職種の人から考え方のヒントを得た」なども、それらの出来事についての振り返りができていれば学習になるでしょう。

最も身近な学習は本や新聞です。ビジネス書から学んだり、新聞購読を習慣化させたり、習慣化している人は時々他紙と読み比べて視点の違いを分析するなども、学習活動になります。

大きな学習計画を掲げて取り組むだけだと、途中で挫折したり思うようにいかなかったりした時に、自己肯定感が下がります。小さな学習の取り組みも同時に行うことで、学習歴は更新され続けますし、自分の視野のバランスも取れてきます。

2.自分にとって居心地の悪い場所に身を置くようにする

私たちは、基本的にフィードバックを受けたくない生き物です。耳の痛い話も聞かなければならないからです。しかし、成長のためにはフィードバックは避けて通れません。自分以外の他者との関わりから気づきを得ることが必要だからです。

学びとなる気づきを得るには、居心地の悪い場所に身を置くことが必要です。研修への参加もそのひとつでしょう。「講師に質問されて答えられなかったら嫌だな」「他社の参加者が優秀な人ばっかりだったらどうしよう」など、そうした状況に敢えて参加してみることが気づきを引き出し、自己成長につながるはずです。「難しい本を読むのは面倒だけど、頑張って読んでみる」のも、居心地の悪い環境に身を置く行動のひとつと言えるでしょう。

逆に、何の緊張感もなく、内容も簡単で、心地よくて楽しいだけの学びの場は、おそらく本質的な学習にはなっていないでしょう。それでは、学習歴の更新にはなりません。多少の居心地の悪い環境を継続的に求めていくことも必要でしょう。

最新学習歴の更新は、一生続けることができます。もちろん、無茶な計画を立てると続かないため、無理なくできる方法にすることが大切です。その上で、特に経営幹部の階層は、「もう少し本を読んでからでないと気持ち悪くて眠れない」ぐらいの感覚をもってもよいのかもしれません。


そして、部下を統括する上長としては、気を付けておくべきことがあります。それは、学習履歴を更新する行動をしている部下に対して、それを否定するような言動をしないことです。

「そんなことやって役に立つの?」
「そんなことしている暇があったら、仕事をしろ」
これらは、相手のやる気をなくさせる魔法の言葉です。その言動を聞いた瞬間に、部下は学ばない生き物に変わってしまいます。もちろん、担当業務の進捗との兼ね合いで注意やアドバイスが必要な場面もあると思いますが、どういう状況で何をやっているのかの事実確認と、言い方に気を付けるべきです。

今年もまだ10か月あります。年末に振り返った時に、「最新学習歴がいろいろと更新された年だった」と言える状態になっているとよいですね。

<まとめ>
時には意識的に、居心地の悪い場所を求めていく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?