見出し画像

資質を活かす

先週木曜~金曜にかけては、ある企業様で「ストレングスファインダー」を活用したストレングスコーチング、そして所属先の小宮コンサルタンツにて企画した「ストレングスセミナー」を実施しました。そして夜には、知人の主催するストレングスファインダー勉強会にも参加していました。2日間集中して、強みの発見・活用というテーマで経営・組織マネジメント・セルフマネジメントについて考える、貴重な機会でした。

本コラムでも時々取り上げる「ストレングスファインダー(ギャラップ社)」は、34の資質を手掛かりに個人の強み・弱みを発見し、能力開発やチームビルディングに活かすものです。

その34の資質の中に、「指令性」があります。指令性の高い方は、カリスマ性が高く、主導権を握りたがり、相手を説き伏せるのが好き、などの特徴があります。関連書籍「さあ、才能に目覚めよう」では、指令性について次のような説明があります。

「指令性という資質によって、あなたは主導権を握ります。他の人と違い、あなたは自分の考えを他人に強く主張することを苦痛とは感じません。それどころか、ひとたび考えが固まると、あなたはそれを他の人に伝えずにはいられません。そしてひとたび目標が定まると、あなたは他の人をそれに同調させるまで安心できません。あなたは対立に怯えることはありません。あなたには強い存在感があります。」

この指令性資質は、上位に出る人がとても少ないようです。全34資質のうち、日本人でこの資質が上位トップ5に入る可能性は、33番目(=下から2番目)だそうです(ギャラップ社データ参照)。ちなみに、世界全体でも33位ということで、限られた人がトップ5に持ち合わせている資質と言えそうです。

上記セミナーでお会いした方の中で、ある会社の社長であるAさんはこの指令性資質が26位でした。しかし、10年前に受けた時は、3位だったという記録があるそうです。34の資質の順位は基本的に変わりにくいものです。複数回受験すると、その時々によって順位が多少上下する変動はありますが、一般的にはあまり大きく変わりません。3位が26位になるというのは、大きな変化です。これまでお会いした方の中でも、トップクラスの変動幅です。

Aさんに、その変化の背景について思い当たることはないか聞いたところ、次のようなお話が聞けました。

「10年前の頃は、トップダウン経営に徹していた。リーマンショック直後、そして震災後の環境への対応など、自分が経営者として会社を導く立場になってからの大きな試練となった。当時は、危機的環境に対して、強いトップダウン統治でやるべきことをすべて自分で定義し社員に一丸となって実行させて、乗り切ろうとしていた。なぜなら、当時は自分以外にそうしたことを共に考えられる人材がいなかったからである。しかし、それ以降経営・事業に一定のめどがつき、人材がそろってきたことで、次のステージを目指してボトムアップの要素も積極的に取り入れていき、統治のやり方をがらっと変えていった。今では、執行の多くのことを幹部に任せ、経営についても意見を提案させるようにしている。自分としては、もともと今のスタイルでの統治を目指していた。それをやろうにも10年前は人材がいなかったし、環境がそうさせなかったのである。」

Aさんの会社は、この間業容を拡大し、増収増益を実現させてきました。確かに、Aさんの会社は、その事業内容・ビジネスモデル・当座の戦略からも、ボトムアップ型の経営スタイルが相性がよいように見受けられます。トップダウン時代もボトムアップ時代も、置かれた環境に合ったリーダーシップの発揮により成果を上げ続けてきたと言えるでしょう。

その上で、次のようなことも言われました。
「もともと自分は人に強く指示命令するのが好きなので、それを自然と発揮しながら強いトップダウンを実現させていたのだろう。その後ボトムアップスタイルを取り入れようとしてきたが、ずいぶんストレスもあり、言いたいことも言わないよう我慢しながら苦労して今に至った気がする。今ではある程度自然体でできるようになった自覚もある。だから26位なのだろう。この「資質」の概念、発揮の仕方、そして自分の特徴を知っていれば、もっと自分なりのやり方を工夫し、あるいは周りの理解やサポートを求めながら、もっとうまく移行できたに違いないと思う。」

ここに、「資質」を理解することの意義や活用方法のエッセンスが、凝縮されているように思いました。

・自身の置かれた環境も踏まえて、あるべき姿や目指したいことを描く。
・そして、それを実現させるために使える武器としての自身の資質の特徴を理解する。
・その資質をどのように使うとよいか、及び自分が持ち合わせていない武器はどのような方法で調達するとよいかを整理して実行する。
・それにより、あるべき姿や目指したいことが実現しやすくなる。

仕事や私生活で何かを成し遂げようと思ったときに、自分としてはどのようにやるとやりやすいのか、自己理解を深めておくのは有効です。また、何を成し遂げるのが自分にとってはよいと思うのか自体を考える上でも、自己理解は有効です。ストレングスファインダーに限らず、自己理解のための方法とその結果の活用は、こうした意義があると思います。

<まとめ>
自身の資質を理解し自分なりの活用方法を実行することで、物事がより進めやすくなる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?