育児休業事例を考える
先日、アシザワ・ファインテック株式会社様の事例について芦澤社長からお話をお聞きする機会がありました。人材育成、社員の働き方支援を積極的に進められている企業です。
先日の投稿「正社員増加を考える」では、女性の正社員が増えていることについて取り上げました。正社員という形態に対して依然として働く側からの高いニーズがあり、正社員志向者の女性人材の正社員化が進んだことについて考えました。
女性人材の正社員化を難しくしてきたこと、まだ正社員化を妨げているもの、あるいは仕事の継続を難しくしていることの大きな要因は、子育ての負担が大きいことです。近年、働き方改革とも称され、社会全体でも子育て支援の環境づくりは進んできましたが、この問題が抜本的に解消されたとは言えないのが現状です。男性より女性のほうが子育ての負担が大きい、各国と比較して日本はよりその傾向が強いということは、各所で指摘されている通りです。
アシザワ・ファインテック株式会社様は、「微粒子技術で "新しい可能性の共創"」をコーポレートスローガンに掲げる、微粉砕・分散機メーカーです。一言で形容すると、粉にかかわる製造業というイメージです。創業100年を超える千葉県本社の有力企業です。従業員は約150名となっています。(同社様HPを参照)
https://www.ashizawa.com/
同社様の育児と仕事の両立支援の取り組みが、ちばテレビで2月5日放送された番組でも取り上げられました。千葉県公式PRチャンネルで紹介されています。大変参考になると思いますので、ご興味ある方はご覧くだされば幸いです。(数分の時間です)
https://www.youtube.com/watch?v=ZsxN4t3UhyA&t=145s
ウィークリー千葉県 「育児と仕事の両立支援~積極的な企業の取り組み~」R4/2/5
千葉県男女共同参画推進事業所として表彰された企業を取材し、働きやすい環境づくりの取り組みを紹介します。
取り組みの主な内容をざっとまとめてみると、次の通りです。
・育児休業に関して法定に準拠するルールづくりと実行はもちろん、法定を超える支援もする。例えば、有給休暇を1時間単位でとれるようにした。
・女性はもちろん、男性に対しても育児休業取得を社をあげて促している。
・人事ローテーションを行い、人材の多能工化を図った。多能工化も、同部署内の複数業務を担当するという範囲を超えて、「1人の人材が人事と営業どちらもできる」など職種間での多能工化を進めている。これによって、「だれか1人が抜けても、その業務を別の誰かが担当できる」体制づくりを行っている。
以前、同業で働く会社の営業部長がいきなり工場長の名刺になっていたという出来事が、きっかけのひとつだったと言います。営業部門と製造部門はまったく異なる畑でありながら、責任者が両者をまたいで異動したという話を聞いて、同社様としてもやればできると思ったそうです。
また、同社様としては、この取り組みをSDGsの一環として位置付けているそうです。SDGsについて、改めて外務省のサイトを参照すると、次のように説明されています。
~~持続可能な開発目標SDGsエス・ディー・ジーズとは
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。~~
このうち、上記の取り組みは、17のうち「目標 8 働きがいも経済成長も:すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する」に向けて自社としてできることを行っていく、という位置づけということです。
国際連合広報センターのサイトには、同目標に関する現状として次のように説明されています。
・全世界の失業率は 2017 年に 5.6%と、2000 年の 6.4%から低下しています。
・2016年の時点で、全世界の労働者の 61%がインフォーマル・セクター(その経済活動が行政の指導の下で行われておらず、国家の統計や記録に含まれていないようなもの)で雇用されています。農業部門を除けば、労働者の51%がこの雇用類型に当てはまります。
・データが入手できる 45 カ国中 40 カ国で、男性の賃金は女性を 12.5%上回っています。
・全世界的な男女の賃金格差は 23%であり、決定的な対策を取らなければ、賃金平等の達成にはさらに68年を要する計算になります。男性の就労率 94%に対し、女性の就労率は 63%に止まっています。
・女性の社会進出は進んでいるものの、女性による無償の育児・家事労働は依然として男性の 2.6 倍に当たります。
・2016 年から2030年にかけ、全世界で新たに労働市場に参入する4億7,000万人に雇用を提供する必要があります。
改めてこれらの事実を見てみると、雇用に関する課題はまだまだ大きいことが確認できます。その中でも、女性の就業可能な環境づくりは大きなテーマであることが挙げられます。女性の継続的な就業を難しくする大きな要因は、育児との両立が難しいことです。
同社様では、「地球上の1人として、未来に対して責任のあるバトンタッチが必要」という認識のもとで、社員の育児支援を行っているとお聞きしました。上記で挙げた内容も含めて、この取り組みについて次回以降のコラムで引き続き考えてみたいと思います。
<まとめ>
SDGsの一環からも、育児休業支援は重要な取り組み。
よろしければ、下記リンクで続きもご覧ください。
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