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熊野古道・西国三十三所

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#西国三十三所巡礼

書写山・圓教寺 秀吉、和泉式部、弁慶、赤松満祐……人物描写が愉快な山寺

書写山・圓教寺 秀吉、和泉式部、弁慶、赤松満祐……人物描写が愉快な山寺

 西国巡礼でたずねた姫路市郊外の書写山圓教寺を、「三大特別公開」にあわせて2023年9月はじめの猛暑の日、再訪した。前回気づかなかったあらたな魅力がみえてきた。

松がしげる修験の山

 姫路駅から路線バスでふもとまでいき、前回と同様、「東坂」という登山口へ。登山口には丸石がまつられている。山梨の丸石のように道祖神の一種だろうか。
 「一丁」からはじまる丁石や地蔵さんをみながら、汗をふきふきのぼっ

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諏訪大社のわきに鎮座する岡本太郎絶賛の石仏

諏訪大社のわきに鎮座する岡本太郎絶賛の石仏

出雲系だが、自然信仰が色濃くのこる

 夕方、下諏訪駅に下車して、諏訪大社下社を参拝した。
 諏訪大社は、諏訪湖の南にある上社の本宮と前宮、湖の北側にある下社の春宮と秋宮の2社4宮で構成されている。
 祭神は、出雲大社にまつられている大国主命(おおくにぬしのみこと)の子の建御名方神(たけみなかたのかみ)とその妻の八坂刀売神(やさかとめのかみ)とされ、大国主命が天照大神へ国をゆずることに反対した建御

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西国33番・華厳寺 奥の院のヤマビルは山の神のメッセンジャー?

西国33番・華厳寺 奥の院のヤマビルは山の神のメッセンジャー?

「薬草」「しし鍋」……イベント列車の樽見鉄道

 谷汲山華厳寺は西国三十三所最後の満願の寺である。西国の札所では最東端の岐阜県揖斐川町にある。
 自動車でいくと楽だけど、最寄り駅からあるくという原則にのっとり、大阪から早朝の快速電車にのった。
 大垣で気動車1両の樽見鉄道にのりかえる。
 高校2年のとき、国鉄樽見線だったころにきたことがある。翌年の1984年には第3セクターになったが、住友大阪セメ

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西国30番・竹生島宝厳寺 秀吉の大坂城と水葬の聖地

西国30番・竹生島宝厳寺 秀吉の大坂城と水葬の聖地

 竹生島には長浜と今津と彦根から観光船がでている。
 便数が多い長浜からわたることにした(往復3200円)。
 9時半の船にのり、えり(小型定置網)とよばれる小型定置網の網をながめながら30分ほどで、こんもりした緑の島に近づいた。周囲は急斜面で浜はない。寺のあるところだけ船着き場ができている。

 上陸して、すぐに拝観料600円を徴収される。
 ちょっとのぼった右側に国宝の「唐門」がある。漆塗りの

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西国28番・成相寺 昭和の夏休みと橋立を満喫

西国28番・成相寺 昭和の夏休みと橋立を満喫

 28番成相寺は天橋立とセットだけど、できるだけふもとからあるきたい。
 丹後国分寺の遺跡に府立丹後郷土資料館があるからここを出発点とした。

 内海をへだてて天橋立の松林が横たわるのがのぞめる。風光明媚で、しかも人里からちかいところに国分寺はつくられたのだという。
 資料館(300円)にはいくつか興味深い展示があった。
 たとえば「藤織」。奈良時代からつくられ、江戸時代に木綿が普及して衰退したが

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西国29番・松尾(まつのお)寺 馬頭観音と騎馬民族がつながる修験の山

西国29番・松尾(まつのお)寺 馬頭観音と騎馬民族がつながる修験の山

 JR小浜線松尾寺駅(舞鶴市)から山に分け入る。
 緑が濃くて、カナカナとうらがなしいヒグラシの声がひびき、なつかしさにいてもたってもいられなくなって、車をおりて歩くことにする。ヒグラシは愛媛の川内町の山の集落をおもいだす。谷間の廃校に星の観察にでかけてすっかり気に入ったのだ。
「青葉山」という案内板がある。標高693メートル。「頂上からは高浜湾の展望」と書いてあり、2014年をおもいだした。
 

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