お返し断捨離〜黒スーツの男の話〜
新年度の時期は書類が大量に届く。
役場が送った断捨離のアンケートの返信があるのだ。
三回にわけて行われるもので、今日はその一回目の処理だ。
内容はパソコンに入力して、断捨離の要不要を選択する。
黒スーツに身を包んだ男たちだけのむさくるしい職場だ。
積み上げられた書類の一枚に目を通す。
得も言われぬ苛立ちが膨れ上がった。
首を振り感情を消す。
この仕事を始める前の記憶は一切ない。
だから、昔の知人がいたとしても感情的になることはないはずなのだが。
この送り主は断捨離が