突然の猫ミーム〜電波ジャック〜

急に切り替わった画面に唖然とした。

表情豊かな猫に台詞が当てられている。

イヤホンから流れる音声を止めることもできず、ただただ耳を傾ける。

つい先日、ネットで知り合った女性と食事をした光景が脳裏をよぎる。

似ている。

話し方、会話の内容が記憶しているものと、似ている。

いや、この動画はあるあるネタを猫のおもしろ画像で再現するという、猫ミームだ。
誰のことか特定できる内容ではない。

だが、聞きたくない。

イヤホンを外してスマホから顔を上げて更に目を丸くした。

画面という画面から同じ動画が流れている。
会社内のパソコン、スピーカー、外に出ると宣伝用の大画面に映し出されていた。
すれ違う人の手にあるスマホからも流れている。
大音量の台詞に、小さな笑い声が重なる。
耳障りだ。

イヤホンをつけても、同じ台詞が聞こえてくる。
そこに笑い声が重なる。

全て自分に向けられている錯覚に陥る。

「見るなー!」

悲痛な叫びが轟き、視線が集中した。

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