乱読後記:サクッとわかる行動経済学
読書後記
勉強しなきゃ~て思っても、またあしたやればいいか。そうやってテスト前夜にめちゃくちゃ焦る。絶対後悔すると分かっているのに仕事を後回しにしてスプラトゥーンで徹夜。そういう現象も行動経済学で説明できるらしい(よかった。怠惰な性格のせいじゃなかったんですね)。具体的に言うと、目の前の損得は過大評価して、遠くの損得は過小評価する人間の性だそうです。だからこそ、仕事をしないことによる損益よりも、目の前の生産性もない快楽を優先してしまう。なるほど、と思いました。
他にも実生活で役立つ理論が乗っていて、極端の回避効果。真ん中を選びたくなる性質のことです。私が「付き合ってください!」と告白しても断られるかも知れません。けれど、あなたには三つの選択肢がある。私と結婚するか、私と付き合うか、私とデートするか。こうして三つを提示することで「付き合う」という真ん中の選択肢に誘導できるそうです。やったね!
そういえば先週、転職サイトに登録した時に「あたなはメールマガジンを希望しますか」って☑があったのですが、これも行動経済学が利用されているそうです。オプトアウトというテクニックで、最初から☑項目に✓をデフォルトで設定しておくことによって、利用者がめんどくさがって✓を外さないように行動を誘導するそうです。1980円が値段以上に感覚として安くかんじてしまうのも、行動経済学を利用した裏ワザだと知ってましたか。
本書をよんで、自分がどれだけ企業のマーケティング戦略に踊らされているのかを痛感しました。人間の行動を支配するってどこのディストピアだよ(笑)と嘲笑してましたが、案外そんなSF世界に片足を突っ込んでいたようです。でも、これからはお買い物に出かける時に無駄な消費を抑えられることができますよね。〈今日来店した方だけがお得!〉みたいな煽り文句があっても、損失回避の法則を利用して私からお金を巻き上げようとしているのねと冷静になれたり?、本当にそれが必要なのかクールダウンして考えられるようになります。
読書の醍醐味は、知識で武装して自分を客観視できるようになることだと思います。実際、行動経済学を知ることで節約のヒントにもなりましたし。ビジネス書に限ったことでもないと思いますが、感情に名前を付与したり、衝動買いの原因を理解したり etc…することで、幽体離脱みたいに外側から見つめ直すきっかけを与えてくれる点で、書籍は重要な役割を持っていると感じました。
ちなみにめんどくさい仕事を部下に割り振るテクニックも紹介されてました。早速使ってみようと思います。悪く思わないでくれよ、これは行動経済学を学んだ情報強者の特権なのだ ワハハハハハ
次にあなたが読みたくなる本
『行動経済学 経済は「感情」で動いている』
友野典男 / 光文社 / 2006年
ISBN:9784334033545