筆折れば名無し【読書・書評】

出版業界に棲み着く犬。純文学からライトノベルまで。夢は書評家。それっぽく書いてることも…

筆折れば名無し【読書・書評】

出版業界に棲み着く犬。純文学からライトノベルまで。夢は書評家。それっぽく書いてることもありますが、面白半分で読んでください。画像は国立国会図書館所蔵。感想をご希望の書籍がございましたら、代読して記事にいたします。非アフィリエイト。

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8月読んだ本(21冊)

総合ランキング 🥇『無自覚聖女は今日も無意識に力を垂れ流す』 めちゃくちゃ良い。性別問わずオススメです。タイトルがいかにも「なろう系」ですが、蔑まれた聖女の健気な成長、家族との和解の物語として成立しています。絵柄もすごく綺麗で、手元に置いておきたいシリーズ。 🥈 『武器としての交渉思考』 早逝した経済学者で投資家の瀧本哲史の著。交渉術の本としては、個別具体論に踏み込んではいないし、数十年前に確立した‘古典的’ハーバード流交渉術を扱っている。しかし、交渉としての最低限のかつ

    • 【レポート】コミケの歩き方〜初参加でも怖くない〜(C104)

      おはようございます。筆折れば名無しです。 8月11・12日に第104回のコミックマーケット(コミケ)が開催されました。コロナ禍を乗り越えて数度目の開催。 「行ってみたい」とは思いながらも引き伸ばしにしていたコミケ。しかし私の大好きな『公務員、中田忍の悪徳』の著者がアフターストーリーをコミケで発売すると聞き、良い機会だと初めて参加してまいりました。 ちなみに私がどのように参加したかというと…… コミケ最終日(2日目)の午後に、 当日券をその場で購入して、 何の準備もせず

      • 7月読んだ本

        目的ドリブン(★☆☆☆☆) 当たり前のことをさも大発見のような言い方なのが鼻につく(完全に偏見です、すみません)。ただ言われてることは二番煎じで、この書籍を読んで新しい発見はなかった。今は否定されているバタフライエフェクトを比喩に使うのがナンセンス。論理は嫌いじゃないのに定説から外れた比喩を使ってしまったらせっかくの主張に瑕がつく。 君と宇宙を歩くために1-2(★★★★★) 竜胆の乙女(★★★★☆) 猫はしっぽでしゃべる(★★★☆☆) 人生の重みを持ったエッセイ、だけど

        • 【書籍感想】撮り鉄のための、逆説の写真術【うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真】

          タネ本 『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』(幡野広志) 著者は写真家。1児の父ながら血液系のガンを患ってもいますが、写真のハードルを下げるための活動にも精力的に取り組まれているそうです。バッサリと痛快なコメントに定評があり、『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと』『だいたい人間関係で悩まされる』などのエッセイも上梓した文筆家でもあります。 撮り鉄の皆さんへあらすじ本書は「写真を撮る」というタイトルでありながら、実は人生の道徳を解いています。〈写真〉というレン

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        • カスのエッセイ
          6本
        • 読書の手帖
          34本
        • 【感想・書評】とある書店員の感想録
          38本

        記事

          『猫はしっぽでしゃべる』

            『猫はしっぽでしゃべる』 田尻久子    ナナロク社    2018年 〈ジャンル〉書店員、エッセイ、熊本県、芸術、記憶、ノスタルジー 〈あらすじ〉 熊本県の路地で薄ぼんやりとしたオレンジ色の明かりが灯る橙書店。筆者はそのオーナーとして小さな新刊書店を営んでいる。そこには坂口恭平や石牟礼道子、地元の新聞記者、そしてお客さんがあつまり一つのコミュニティとなっている。サントリー地域文化賞を受賞した橙書店主の日常エッセイ。 〈感想〉 人生の重みを持ったエッセイ、だけどノ

          『猫はしっぽでしゃべる』

          本にまつわる本を読む【雨の日は本を読みたい】

          気に入った一節 日本も梅雨入りの季節となりました。 豪雨や線状降水帯もすでに発生しています。 こんな季節だからこそ、晴耕雨読。 雨音に包まれながら、ゆっくりと流れる時間に身を任せましょう。 ということで今月は「本にまつわる本」をテーマに書籍を読みました。 コミック本屋図鑑 コミックエッセイ 書店員の仕事を綴る書籍はたくさんある。だけどみんなが想像するチェーン店の内情を知れる機会は少ない。ノンフィクションだと古本屋や個人書店を取り上げるものが多いし、一般書店を題材にてい

          本にまつわる本を読む【雨の日は本を読みたい】

          6月読んだ本24冊紹介

          日本も梅雨入りの季節となりました。 豪雨や線状降水帯もすでに発生しています。 こんな季節だからこそ、晴耕雨読。 雨音に包まれながら、ゆっくりと流れる時間に身を任せましょう。 ということで今月は「本にまつわる本」をテーマに書籍を読みました。 今月読んだ書籍は24冊です。 本にまつわる本本屋図鑑 コミックエッセイ(★★★☆☆) 書店員の仕事を綴る書籍はたくさんある。だけどみんなが想像するチェーン店の内情を知れる機会は少ない。ノンフィクションだと古本屋や個人書店を取り上げるも

          毒書はするな! 読まなくてよかったビジネス書大全

          こちらは、有料記事になります。 金額に見合う内容ではないので購入をお控えください。 あくまでこんなビジネス書読む価値なかったじゃん!という憤りの発散のために執筆しているものです(著者や書籍を貶す意図ありません)。あくまで超絶個人的主観です。

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          毒書はするな! 読まなくてよかったビジネス書大全

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          書店振興プロジェクトは必要か?

          本日のタネ本はこちら👇️どんな内容?「仕事」を銘打っているが、実業務を記述するものではありません(そういう書籍が少ないので、あれば嬉しいのですが…)。 書店員には扱うジャンルを割り振られておりまして、児童書担当、コミック担当、小説担当…とあります。 本書は全国書店の人文書担当の人たちのエッセイのようなものです。 感想どれも、書店員としての哲学や昔懐かしむ記憶、これからの書店など思うことを書いています。 全国の小さな書店からチェーン書店、元書店員や現役書店員の文章はどれをとっ

          書店振興プロジェクトは必要か?

          感想『本屋という仕事』

          町から消えゆく書店。 無書店地域という言葉も耳にするようになった。 Amazonが日本全国に本を届けてくれる。 「おすすめの本」をアルゴリズムが教えてくれて、 そしてそれで大抵、満足できる。 では、本屋という空間は誰のためのものなのだろう? そもそも、本屋とは何だろうか。 本を売る場所?  その通りだ。 ほんと人を繋ぐ場所?  その通りだ。 文化を育む場所?  その通りである。 では、書店員から見た本屋とはどのようなものなのだろう。 その問いに答えをくれる

          5月読んだ本

          悪役令嬢はしゃべりません(★★★★☆) 人望が集まる人の考え方(★☆☆☆☆) 具体的な方法論が書かれており実践するのが容易なのは良。ただ自信満々に著者が主張している割に、客観的証拠を提示していない。元のソースも怪しそうな場面もあった。論理的・合理的な説明を求めている人には向かない。一方でそういった理論はすっ飛ばしても著者の主張を受け入れられるなら良書になる。 ジョイランド(★☆☆☆☆) 人は聞き方が9割(★★★☆☆) ヤニねこ4(★★☆☆☆) 神時間力(★★☆☆☆)

          【文学フリマ】遺産と希望と、戦果報告

          筆折れば名無しです。 文学フリマ東京38に、初めて参加しました。 そのときの興奮や驚きは以前記事にてご紹介しましたが、 今回は、「文学フリマ」というイベントそのものにたいする所感をだらだら書いていきます。 (⇩ 文学フリマの歩き方を初参加目線で説明しました) さっそく本題に入ります。 私が文学フリマに参加して感じたことは、 ① 90年代のオタク文化のレガシーがここにあったという興奮と懸念  (入場の有料化について) ② それでも同人の未来は明るいという希望 という

          【文学フリマ】遺産と希望と、戦果報告

          【レポート】文学フリマの歩き方

          はじめて文学フリマに行ってきましたー! めちゃくちゃ遠いし、人で溢れかえっていました 文学フリマ処女を喪失した私がド素人ならではの視点から、 「これだけわかれば安心! 文学フリマの歩き方」を説明していきます 次の文学フリマに行きたいと思っている方のご参考になれば幸いです。 ⇩〈文学フリマ〉観についてはこちらの記事もあります。 「1日で周りきるのは無理!」 文学フリマ初体験のわたしが一番伝えたいことです。 今回は2000超のブースがあったらしいですが、一つ一つのブースを

          【レポート】文学フリマの歩き方

          4月に読んだ本をオススメ度でまとめてみた

          ⚠️:Not アフィリエイト。アマゾンリンクは書影の代替措置です。 4月! 新生活、新社会人、新しい職場! ということで新しい環境の人にも役立てられるようにビジネス書を気持ち多めに読みました。もちろんラノベ・小説・コミックもたくさん読みました。 総合部門BEST5小説部門今月はライトノベルが多めです(なんせKADOKAWAの還元祭りがあったものですから……)。けど、以前から気になっていた本を消化したのでKADOKAWA作品はあまり読めませんでした。 1位:魔女と傭兵1-

          4月に読んだ本をオススメ度でまとめてみた

          2024年3月読んだ本

          ・下町ロケット ・下町ロケット ガウディ計画 ・下町ロケット ゴースト ・下町ロケット ヤタガラス ・オレたちバブル入行組 ・オレたち花のバブル組 ・ロスジェネの逆襲 ・銀翼のイカロス ・銀行総務部特命 ・不祥事 ・かばん屋の相続 ・花咲舞が黙ってない ・ルーズヴェルト・ゲーム ・ノーサイド・ゲーム ・心に、光を。 ・これが恋だというのなら、誰か好きの定義を教えてくれ。 ・君と笑顔が見たいだけ ・依存したがる彼女は僕の部屋に入り浸る

          読んだ本 2024年2月

          先生も小説を書くんですよね? 非科学的な犯罪事件を解決するために必要なものは何ですか? ブラジャーで天下をとった男 ひげを剃る。そして女子高生を拾う 1-5 巨大生物ばかりの異世界をパルクールと足場スキルで無双する これ描いて死ね 1-4 僕の心のヤバイやつ 1-9 『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 2.5次元の誘惑 1-5 その淑女は偶像となる 1-4(再読) 龍とカメレオン 1-3(再読) ひかる・イン・ザ・ライト 1-4(再読) スサノオの