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目にする景色に倣う。

#20230717-169

2023年7月17日(月祝)海の日
 子どものお手本にならねば!
 そう気張りたいわけではない。むしろ重箱の隅をつつかないでほしい。
 大人は大人、子どもは子ども、ときっちりカッチリ線を引いてほしい。
 「大人はね、その場所に応じて気を付けることができるからいいの!」と叫びたい。
 本当はどうすべきなのか、知ってるの!
 知らないあなたと一緒にしないでチョーダイ!

 朝。
 ノコ(娘小4)が着替えた居間の床には、パジャマの上、下着のシャツ、パジャマのズボンが点、点、てーん、と落ちている。
 「脱いだ服は洗面所に持っていってね
 着替えたものの、まだ朝食を食べずにソファーに寝そべっていたノコは手足をバタバタさせ、立ち上がったかと思うと、憎々しげに散らばったパジャマを蹴散らす。そして、拾うことなく、またソファーへダイブ。
 せっかく立ち上がったのだから、拾うなり、食卓につくなりすればいいのに、リアクションに効率性がない。
 「パパがやんないこと、なんで私がやんなきゃいけないわけ! ズルイじゃん!
 その通りだ。
 むーくん(夫)は毎朝ではないが、脱いだパジャマをソファーの背もたれにまとめて掛けたまま出勤することがある。ノコのように脱ぎ散らかしはしないが、放置はする。確率にして……半々だろうか。
 「パパにだって帰ってきたらいいます。でも、今いない人のことをいわれてもママは困ります
 「ズルイよね、パパばっか! なんでも許されてさ! 本当大人ってズル過ぎ!
 なんでも許されているわけじゃあありません。それに、むーくんは私が苦手な家事は率先してするし、頼んだ家事も文句ひとついわず動きます。

 食卓についたものの、ノコは少量の朝食――食が細いノコの定番朝食はほんのチョッピリだ――に1時間半かけた。小さなメモ帳を開き、そこに何やら書き込んでいる。それから、天井を見上げ、フンフンと鼻歌を口ずさみながら、足でステップを踏む。ついていないTVテレビの黒い画面を凝視したかと思うと、パンをこまかくちぎり出す。
 「ノコさん、お食事中は食べることに集中して。書くのは後にしようよ」
 「これはパパのスマートフォンスマホなの。パパは食べながらスマホ見るじゃん
 ああああああ! だから、ここにいない人のことをいわれても困るって!
 「パパがスマホ見ながらご飯食べてたら、ママはパパにもちゃんというよ」
 いいわけじゃあないが、パパはスマホを見ていても朝食なんてサッと食べ終える。
 あなたの1時間半朝食と同じにしてほしくない。

 私だって、ノコが我が家に来る前は、食事中に着信音が鳴ればスマホをチラと見ることはあった。パジャマの脱ぎ散らかしはないが――洗濯は大抵私がするし――ノコに注意するいくつかのことを家でやっていたことはある。ただそれが行儀が悪いことは知っているし、他人様よそさまの前ではしない
 私がそういえば、ノコも「私だって外ではしないし」といいそうだが、まだ身についていないノコの言葉は実に怪しい。実際、外出先でもやっている。
 もう本当に「ああいえばこういう」だ。私はノコに反論されたくないから日々気を付けているため、その矛先ほこさきはむーくんを集中攻撃する。

 食事中のマナー、人との接し方、ドアの開閉にいたるまで気が抜けない
 まだノコにはキッズケータイはもちろんスマホも持たせていないが、持つようになったら本当に親側も徹底しないとならなくなる。
 テーブルの上に鍵のかかるスマホ収納箱でも置こうか。食事中は全員その箱にスマホをしまう。

 習い事の帰り道。
 バスに乗ると、ノコは2人席を目指す。ぎゅうとお尻を寄せて座る。
 私がバッグから本を出すと、ノコもリュックから自分の本を出す。電車やバスの時刻表を調べたり、むーくんと連絡を取るのにスマホを使うことはあるが、極力スマホに見入らないようにしている。どのみち私がスマホに集中すると、ノコが強引に画面を覗き込み、「これ何、それ何、ここ見たい」と結局何ひとつできない。

 開かれた本が2冊並ぶ。
 その光景に思わず目を奪われる。
 ノコには本を読むよういったことはない。本を読まない子は本当に読まないらしい。ノコは児童書、絵本、マンガとなんでも読む。あまりの読み終える速さに理解しているかはわからないが、本は好きだ。拒まない。
 それがノコ本来の性質なのか、我が家に来てから培われたものなのかはわからない。

 ただノコが自ら本を読む。
 少なくともノコにとって、大人が本を読む景色が日常であることが嬉しい。

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