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理解度の違いなのか、それともすり替えなのか。

#20231106-280

2023年11月6日(月)
 ノコ(娘小4)に物の大切さお金の有限さを理解してほしいが、なかなかうまくいかない。

 小学校の連絡帳は1行書いたら、次のページに書いてしまう。
 スーパーでの買い物時にノコが「食べたい食べたい」とねだって、買ったものでも1~2回食べたら「もう食べない」。
 消しゴムはまだ少ししか使っていないのに、「買って」という。

 空白だらけの連絡帳は、日付順ではなく、空いているところに書いてしまい、最新の連絡事項がどこだかわからなくなってしまう。
 冷蔵庫やお菓子置き場には、ノコが食べたいといった――でも、私もむーくん(夫)も好まない嗜好品がいつまでも残っている。
 ノコの机には使いかけの消しゴムがいくつも転がっている。

 ノコが「買って」という度に、必要であれば買い、買わない場合は理由も説明してきたが、疲れているとそれすら億劫になってしまう。
 「ママママ、ママママ、これじゃない消しゴム買って!」
 「まだ使いかけの消しゴムがいくつもあるでしょ。使い切ったら、買うよ」
 「もー、これ、ヤ!」
 ブンッとノコが消しゴムを放り投げる。
 「よく消えないの?」
 「そういうわけじゃないけどさ、もう飽ぁきぃたぁー」
 飽きたからといって、そう買っていられない。ちりも積もればなんとやら、だ。
 「お金はいくらでもあるわけじゃないんだからね。使ったらなくなるの。大切に使わないと、本当に必要で、本当に欲しいものが買えなくなっちゃうんだよ」
 ノコに通じないと思いつつもいわずにはいられない。
 「で、消しゴム買ってくれるの、くれないの」
 ほら、通じていない。

 このところ、本当に物価が高騰している。
 同じ物がちょっと前まで買えていた金額でまず買えない。食材もそうだが、ノコの文具類も軒並み値上がっている。もちろん消しゴムだ。
 夕飯の準備に追われている時刻に、「買って買って」と連呼されると、説明するのが億劫になってしまう。
 「今月は、文房具を買うお金はもうありません

 夕飯後、洗面所でむーくんがノコの髪を乾かしている。
 ドライヤーの音に負けじとノコが大声で歌っている。
 私は台所に立ち、後片付けをしているので、2人のやりとりは聞こえない。
 賑やかに、狭い廊下を競うように居間に戻ってきた。
 「なぁ、はっちゃん、ノコに『いつ髪切るんだ』っていったら、ママに『お金ない』っていわれたっていうんだけどさ」
 ノコの髪を切るお金がないなんていっていない。
 突拍子もないむーくんの言葉にきょとんとしてしまう。
 「そんなこと、いってないよ」
 というか、髪を切る話をノコとしていない。
 「あ……」
 お金のことならば、口にした。
 「使い終わってないのに、また消しゴム買って買っていったから、『お金がありません』とはいった」
 むーくんが苦笑する。意外過ぎて、ではない。あまりにもノコらし過ぎてだ。

 最近、この手の言葉のすり替えが多発している。
 ある理由がまったく違うことの理由になって、ノコの口から飛び出す。
 理解しているのか、理解していないのか。
 わざとなのか、わざとじゃないのか。
 まだわからない。

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