海外の大学、何科に進む?文系の末路
文系の末路って何ですか。普通に明るいですよ。
ガチガチの文系にだって明るく楽しい未来が待っています。
はじめに
海外の大学に行きたいけれど、実際に何を勉強しようか迷っている人は少ないんじゃないかと思います。何せ「これは日本じゃ本格的に学べないから海外へ行こう!」と意気込んでいますから。
しかし、文系で将来お金にならなさそうな学科がたくさんあるのもまた事実。
神学、哲学、美術史学、教育学、言語学、コミュニケーション学、文学、◯◯語学など、博士号を取って教授や講師、研究者になるかしか将来の稼ぎ口がない、俗に言う「市場価値の低い」学部に興味がある場合はどうすればいいのでしょうか。
アカデミックな業界を目指すにしても、何かあったときのリスクを考えて食いつなげる術を持っていると安心です。研究はある程度職務経験を積んで、生活を安定させてからでも遅くはないと思います。(そんなことは百も承知でこの道に進むんですよね、私だってそうです。)
私自身も純文系人間として就活には苦労しました。
大学では専攻と副専攻が選べるのですが、専攻に哲学、副専攻に宗教学と中国語を入れたのでもう詰み。興味と情熱があったからしゃーないです。
修士号取得後も博士課程を目指す度胸はなかったし、貧乏な学生生活からとりあえず抜け出してまずはお金を稼ぐことと、社会の仕組みを学んでみたいと思いました。
意識低い系なので営業職や総合職でバリバリ働くことや、大人向けの教育機関でフリーランス講師として不安定な収入を得ながら働くのも考えませんでした。
私の理想は会社に所属して、いざというときには守ってもらい、パソコンを使って仕事して、定時に即帰宅→ゲームという生活サイクルでした。もう事務職一択です。
ちなみに同じ学科のドイツ人たちでさえなかなか就職先が決まらず、卒業後何年もアルバイトをしていたり職業訓練校に新しく通い始めたりしていました。
やってることは国が違うだけでおんなじです。
文系一本にしたのはそこそこ後悔しました。と言っても他学部でやっていける頭があるのか自信はありません。
私がこういった現実を身をもって経験した上でもう一度大学生からやり直すとしたら、以下の選択をします。
文系×教員課程
現地の文系学生に圧倒的人気なのは、「自分の興味のある学科×教員課程」の組み合わせです。日本でも私の通っていた大学では2万円で教員課程を修めることができたので、友人の何人かは履修していました。
ただ、ドイツの教員課程は2つの専門学科を取らなければならず、(大学にもよりますが)学士3年に2年間の教員課程を追加で履修する必要があります。レベルで言うと修士課程にあたります。
また、EU以外の外国人は公務員にはなれないので、いわゆる雇われ公務員として採用されることになります。月給は公務員と比較して、約600ユーロほど下がるようです。
雇われ公務員というのは、ドイツ人でも疾患などの健康問題があったり、規程の公務員試験を受けていなかったりすると正規の公務員として雇用されないことをいいます。
外国人としてドイツの学校で教える、というのはなかなか勇気がいることですが、教員の数はどこも足りていないようなので就職には困ることはないようです。
文系×経済・経営学
突然ですが、ドイツにもウェーイ系のパリピはたくさんいます。彼らが行くのは経済学科・経営学科が多いです。新入生向けのオリエンテーションでも一際盛り上がっていたのはやはり経済・経営学科でした。
パリピではなくても、「とりあえず進学しとくか」系の人にも人気のある学科で、学生の数もやはり多いです。
経済学部をなんだと思っているのか、と言われそうですがもちろん真面目な人もたくさんいます。なんならウェイ系・とりあえず系と言ったカテゴリーを越えてみんなもれなくめちゃくちゃ真面目に勉強しています。
その理由は、就活の際圧倒的に有利だからです。
新卒向け(といっても新卒の概念はないですが、Einsteiger(未経験者)向けの)求人情報を見ると、この学科卒を条件にしている企業がたくさんあります。やはりそれなりに即戦力になる知識を身につけることができるからでしょう。
経済・経営学にそこまで興味が無くても、本命の学科と組み合わせることで新しい発見もあるかもしれません。経済・経営学科は歴史が浅く、ヨーロッパの産業発展に伴って18世紀ごろから発達したと言われてますが、本元を辿れば古代ギリシャまで遡ることもできます。なので、古い学問と組み合わせても噛み合わない、ということは全くありません。
例えば個人的に面白そうだと思うのは、
・経済学的な視点から見た宗教の役割
・経済学の哲学(そういう学問も確立されています。Wiki)
・言語の変化と経済の関係性
キーワードでザッと検索すると面白そうな論文は日本語でもたくさんヒットします。
言語学・コミュニケーション学を専攻していた私の友人は、スローガンとマーケティングについて修論を書いていました。面白そうですよね。
就職の際も経済修士を修了していれば、事務職でも初任給で3000ユーロ以上(約36万円)もらえるそうです。また、経済学の修士課程はほぼ確実に英語で行われるので、現地語が不安な人も安心して講義を受けることができます。
ちなみに私の給料はこれです↓転職1回しています。
経済・経営学部を履修する際気をつけなければならない点は、落第です。実際に難関だからなのか、単に母数が多いのかは分かりませんが落第率は50%ほどです。どの学科も同じですが2回同じ試験に落ちたら、ドイツ全国でその学科は一生勉強することはできません。厳しい…。
この学問が自分にあっているか、学期末テストを受ける前に考えることが大切です。
文系×職務経験
海外の大学に進む前に日本でもどこでも職務経験が数年ある、社会人上がりの学生は最強です。好きな学問を好きなだけ研究できます。
大学でもインターンシップはできますが、精々良くて半年です。それ以上やることも可能ですが、ビザの関係で長期インターンに参加できないこともあります。
そのため、海外に来る前に留学資金集めを兼ねて、社会経験を積んでおくのが一番効率的且つ、精神衛生も保てると思います。本命の学問を気兼ねなく研究できるのは幸せですよね。
この場合、必ずしも正社員での職務経験でなければならない、ということはないと思います。例えば、派遣社員でも職務経験は職務経験です。海外大学卒業後に就活する際、派遣社員であったことをわざわざ言う必要はないし、培った能力は正社員と同じではないでしょうか。その能力と経験をさらにブラッシュアップして次に生かすことも充分可能です。
以上、文系向け就活の難航に対するリスクヘッジとしてこんな選択肢があるよ、という紹介でした。
番外編:文系のみでもなんとかなる
じゃあ何で私は普通に就職できているのか、を考えてみると以下の点が思い浮かびます。
・プロ(雇用斡旋会社)に丸投げ(別で詳しい記事を書きました)
・パソコンがそこそこ得意
・3カ国語が必要なポジションにうまくハマった
・修士号(ドイツは学歴社会の記事はこちら)
・面接でコミュ障じゃないです感を出してハキハキと笑顔で受け答え
雇用斡旋会社についての記事はこちら↓
学歴社会についてはこれ↓
外面と運ですね。正直1回就職できればこっちのものです。就活が厳しくなるのは頭では分かっていたので覚悟はしていました。
タイムマシンがあるなら個人的には経済学を学びたいです。もうそんな気力ないですが。