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憧れに触れてゆきながら

しばらく晴れ渡った日々が続いています。

そんな時ほど、ついつい小舟の上で
空想におもいを巡らせてしまいます。

この海の先には、
どのような世界が広がっているのだろう。

もしかしたら見知らぬ大陸がその先に広がっていたり、
この孤島のように小さな島々が
点在しているのかもしれません。

近々、この孤島から少し離れて、
ゆっくりと海の果てを進んでゆきたい。
そんな微かな願望を抱いていたりもします。笑

こうして舟に揺られながらも、
舟を形にしてきた人の知恵はすごいなと。

昨日は「空に憧れた人々」について触れましたが、
同じように、いつの時代も
海を渡りたいという人々の想いがあってこそ
その願望がいつしか形になってきたのだと実感しています。


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形にしたいことがあるのに、
どうしても形にすることができない。

そうした思いを抱えながら、
時に立ち止まってしまうということがあります。

勉強でも仕事でも、
夢を実現することでも、
何かを表現するということでも。

そんな中で大切なことは、
ゼロからなにかを表現しようと苦しまないことです。

例えば、自分にとっての憧れの存在があるのであれば、
そうした世の中に溢れた「優れたもの」に触れ続けていくことで、
自然とその内面にある秘密が見えてくることがあります。

そうしてその秘密を自分も活用しながら
同じように何かを形作ればいい。
焦る必要はありません。

魅力あるものは常に解き明かされていきながら
その知恵を伝え続け
時代は進化してきたのですから。


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大切なのは「憧れ」を持つということと
それを追い求め、解明していくこと。

1930代の日本。

広島の地に、機械好きの少年がいました。
幼い頃から自分でカメラを分解するのが好きだったようで、
元祖「カメラ小僧」のような存在だったのかもしれません。

カメラという、小さな機械の中に埋め込まれた部品の数々、
そうした一つ一つが関係し、機能する仕組み。
彼にとってカメラはまるで小宇宙のような存在でした。

彼は、カメラに熱中し過ぎるあまり、
途中で学業を放棄して故郷広島を出たいと考えるようになり、
その思いのままに上京してしまうことに。

そして念願叶って、
映画関係の会社で働くことになります。

当時の日本は精密機械では後進国でした。
そういう事情もあり、撮影の仕事をするには、海外から機械を取り寄せなければいけませんでしたし、壊れたら部品の交換のために海外に出向くことも必要でした。

映像作品を撮影するというだけで、
その道具を海外で工面することは、
彼にとっては面倒以外のなにものでもありませんでした。

そんな中である時、
海外で取引していた商人からこんなことを言われるんですね。

「お前の国(日本)には素晴らしい軍艦がある。
あれだけの軍艦をつくるんだったら、
このカメラだってつくれないことはないだろう」

半ば冷やかしのような言葉だったのかもしれませんが、
当時、まだ若かった彼は思わずその言葉に納得してしまいます。
たしかに日本には技術があるのだから、
カメラを作れないはずがない。
そう真剣に考えるようになるんですね。

彼には、
カメラに夢中になるという繊細な一面を持ちながらも、
広い視野で世界を眺める事業感というものもありました。

日本は世界に比べれば資源の面では劣るけれど、
緻密な技術や科学技術であれば世界とも渡り歩いてゆける。
それがこの国の産業の強みになっていくのではないか。

そんな彼の想いが周囲にも広がり、
やがて出資者や応援者からの援助も得られることになります。

そうして都内の一室を借りて、そこを研究所とし、
仲間と共に大きな一歩をあゆみ始めてゆくのでした。


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彼らがまずはじめたこと、
それは「憧れの存在」を解明していくことでした。

彼らにとっての憧れの存在。
それはドイツから輸入されたカメラでした。
ドイツの精密技術を結集してつくられたそのカメラは、
彼らにとっては憧れの存在でもありましたが、
どうしてもその存在を越えていきたいとも考えていました。

「どうしたら、自分たちも、
これを造ることができるだろうか」

彼らには、ドイツに行って勉強をし直す時間もありませんし、
技術者を雇う余裕もありません。
そこで彼らは、精密につくられたカメラを細かく研究していきます。

そして、彼らの新しいアイデアと品質によって、それを乗り越えようとします。

周りからすれば、日本人がカメラをつくることなど馬鹿げたことをしているように
見えていたのかもしれません。

それでも当時のドイツの精密技術の最先端に追いつくために
彼らは必死に研究を重ねて、やがて日本で初めての国産の小型カメラを造り上げることに成功するんです。

日本産初の精密小型カメラの試作機は
「KWANON」(カンノン)と名づけられました。

観音菩薩の慈悲にあやかりたいという想いの裏には、
当時最先端だった西洋の技術文明に対する、
東洋人としての強い対抗意識が込められていたのかもしれません。

幼き頃からカメラへ思いを持ち続け、
絶やすことのなかったその人物の名前は、
吉田五郎さん。

仲間と共に創設した精機光学研究所は、
後に「キャノン」とという世界企業として発展していくことに。

今日も世界の至る所で、
多くの人々がそのレンズを通じて、
美しい日常を捉えていることでしょう。


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自分の憧れを追い続けること。
目標を強く意識すること。

どこまでも近くで向き合い続けることで、
自分もその存在に近づいてゆけることがあります。

なぜうまくいっているのか。
なぜ美しく感じるのか。
なぜ利益をあげられているのか。

日常の「なぜ」には、
いつも明確な秘密が隠れているものですし、
物事をよく観察し、解明していくことで、
そうした魅力は自分のものにもしていけます。

これは僕自身も社会人経験の中で学んだことですが、
例えば、気になるビジネスがあるのであれば、
どうして利益があがり、人気があるのかをひたすら分析してみる。

また、いつまでも心に残る物語があるのであれば、
その文章を何度も読み込んで
言葉の裏側にあるものを読もうとしてみる。
憧れの人物が居たならば、いつでも側にいて、
その人のファションや仕草、言葉の使い方に注意を注いでいたこともあります。

自分が心地よいと感じるもの、素敵だなと憧れるものには、
目に見えないエッセンスや秘密のようなものが
必ず隠れているんですね。

カメラを分解するほどの情熱はなくとも、
人にはそれぞの憧れの存在があると思います。

そうしたことの魅力を解き明かしていくことで
大切な何かを学び、
自分自身を磨き変えていくことだってできます。


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みなさんの目の周りを眺めてみてください。

おそらく心動かされるものや、
感動するもので溢れていることでしょう。

そうしたものはプロが作ったものもあるだろうし、
もしかしたらいつかの時代の天才が
生涯をかけて発明したものかもしれませんね。

でもそうした一つ一つには、
すべて見えない秘密があります。

どうか、そんな数々の秘密に
触れてみてください。


それでは今日も素敵な一日を。


遥か孤島から感謝を込めて。


いつもありがとうございます。


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自分の理想へと飛び立つために
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