見えない価値をみつめて
海を眺めるのもいいですが、
たまには、木々に囲まれながら、
新鮮な空気に触れるのも、わるくはありません。
優しく光差し込む木漏れ日に、
心地よく響く鳥のさえずりと
その奥に重なる波の音。
いつの時代も変わらずに、
こうして癒しと安らぎを与え続けてきた
自然にこそ、現代の人々にとっては
価値あるものなのではないか。
そんなことを考えながら
静かなこの時間を過ごしています。
本当の価値とはなんだろうか。
誰でも、
そうした判断に迷うことがあると思います。
例えば、勉強。
進学を考えるにしても、自分の学びたいことと、
その職業で食べ続けていけるのかということは、
どちらが価値あることだろうか。
また、仕事をするにしても、
その業界で働くことは、
今の世の中にとってどれほどの価値があるものか。
人は同じ24時間を与えられています。
同じだけの時間と労力を使いながらも、
何に価値を置き、向き合ってゆくかで全くその結果が
変わって来ることがあるんですね。
経済的にも混乱していく現代。
お金という一つの価値に
縛られてしまいそうな今だからこそ。
本当の価値はなんなのか。
そうしたことも考えていきながら、
毎日を歩んでいきたいといつも考えています。
今回は、そんな「見えない価値」を追い求め続け、
人生を捧げてきた人のお話です。
いまから数十年前。
アメリカはネブラスカ州の田舎町で、
幼い頃から商売をすることが大好きな少年がいました。
彼は祖父からコーラを安い価格で購入し、
それを友人や、必要とする人に少しだけ手間賃を上乗せして
売ってあげたり、ゴルフボール場でのボール拾いや、
新聞配達をしながらお金を少しづつ稼いでいました。
幼い頃から、そうした様々な商売を経験していく中で、
お金を稼ぐためあくせくと働き続ける大人たちを
見続けて感じていたことがあったのかもしれません。
世の中にはお金持ちとそうでない人がいることも
なんとなく気がついていました。
そして、
彼の中で一つの疑問が湧き上がりました。
「世の中の価値あるものとはなんだろうか」と。
それまで彼にとって「お金」こそ価値があるもので、
生きて行くためになくてはならないものだと
認識していました。
そんな中で彼は、大人の世界には
「株券」と言われるものがあることを知ります。
なんの実態もないただの紙切れに
大人たちはお金を投じていく。
これは一体なんなのだろうか、、、、。
この世の中には、
お金のように「今価値あるもの」以外にも、
株券のように「未来の価値」を取引する世界もあるのだと
いうことを知ることになります。
初めて知った、別の価値。
彼にとっては、今までにはない、
新しい社会との関わり方でした。
彼は、株券と出会い、
なんと11歳のころに初めて株券を購入します。
ですが、はじめは株についてなにも知らず、
初めて買ったその株券は、
買ったとたんに3割近くも価値が下落してしまうことに。
そうした株取引を通じて、
彼は世の中には「絶対的な価値」などなく、
常に時間や信用とともに「価値は変動」していることを
身を以て知ることになります。
また同時に学んだこともありました。
それは、お金儲けをしようと、
感情的な目線だけで株券を買うことは
結局お金を失うことになるということ。
常にものの価値は「長期の視点」で眺めるべきだということです。
幼い頃にすでに、お金や投資のことについて多くのことを学び、
やがて彼も成長し、大人の世界へと飛び込んで行くことになります。
彼は幼い頃から磨いた商売の感性や株取引での失敗を活かしながら、
物事の本質を眺め、多くの企業に投資していきます。
ある時代には、
まだ新興企業だったコカコーラ社の株を買います。
それは、やはり儲けようというよりは、
実際に彼がコーラを飲んで、
未来の飲み物だと確信したからです。
彼にとってコカコーラ社の株券以上に、
コーラそのものが毎日の渇きを潤す不可欠な存在になっていました。
また、
はじめてウォルト・ディズニーに出会ったとき、
彼の語る「夢の国」構想に惹かれて、
未来の子供たちや多くの家族が喜ぶ姿が目に浮かんだのかもしれません。
彼はディズニー株にも投資することになるのです。
そうして、世の中の様々な価値の本質を見定めては
数々の株に、自分の資金と未来への想いを投じていきます。
そんなある時、
戦後の石油価格の下落の影響で
潰れそうになっていた会社がありました。
彼の地元にあった、小さな繊維会社です。
彼はこの会社の株が
本当の価値よりも安値で取引されていると感じていました。
そしてその会社の株をコツコツと買い始め、
やがて彼はその繊維会社の経営権を手にすることに。
やがて、時代の変化に合わせて業態転換をし
投資会社として成長してゆくことになるんです。
会社の代表となった彼が、
大切にしていたことがあります。
それは自分の会社へ投資してくれた
「株主」に対して年次報告書として
「自らの想い」を伝えることでした。
「物事は短期ではなく、
長期的な目線でその本質を捉えること」
株主への手紙の中で、
彼は目先の損得ではなく、常に数年先の目線で
世の中の本質を見抜くことの大切さを伝えて続けてきました。
その人物の名前は、
世界的にも有名な大投資家
ウォーレン・バフェットさんです。
彼は常に世の中を本質を眺め続け利益をあげながらも、
けっして派手な生活をするわけでもなく、
故郷の街で、今でも質素な生活を続け
「オマハの賢人」として多くの人びとに慕われています。
価値を見失いそうな現代。
激変する今の世の中を
彼はどのように眺めているでしょうか。
昔から、父からよく言われたことは
物事は表面的に見るな、
常にその先の視点で考えろということでした。
これは経済やビジネスだけでもなく
人間関係もそう。
今うまくいってそうな人だけを讃え、
そうでない人を軽蔑してはいないだろうか。
今は苦しんでもがいている人でも、
実は将来への大きな飛躍のために
深くしゃがんんで、バネを蓄えているだけなのかもしれません。
僕はよく、ここでの投稿では
「夢や希望」をというお話をさせてもらっていますが、
例えば、今は能力がなくても、
夢や希望をもっているというだけで
その人の数年後は今とは違う未来が用意されているわけですね。
なにも考えていなければ、
その人の5年後はなにも変わらない。
だからこそ、現時点の資産の蓄えや、能力以上に
そうした先を見据えた「夢や希望」というものに
大きな価値があるとも思っているんです。
一銭もなくても、なにも特技がなくても、
その想いを持つことが財産になる。
バフェットさんは、
そうした人びとを信じ、投資をしてきました。
物事の価値の本質とは、
そうした長期的な目線で眺めた先の
ところにこそ常に隠れているのだと思います。
僕がこの孤島に身を置いているのも、
実は、ここにいることの価値を僕なりに見抜いているからです。
不確実性が高く、変化の激しい現代の中で、
穏やかで静かなこの場所で、自分と向き合う時間こそ、
僕にとっては大切な自己投資でもあるんです。
日常に目に触れるもの、触れる人、
流れる時間、使うお金。
その一つひとつの価値の本質を、
どうか見失わないように。
今日も確かに歩んでいけたら。
それでは今日も素敵な一日を。
遥か孤島から感謝を込めて。
いつもありがとうございます。
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