大凶さんいらっしゃい~【オンガク猫団コラムvol.6】
日暮れの時間なのに、八幡宮は凄く混雑していた。女性ポリスが拡声器を通して参拝客に注意を促す。
「危ないので、走らないでください。神様は逃げませんから」
足を棒にして順番待ちをしている群衆がクスクス笑う。ポリスは続ける。
「そろそろお賽銭の準備をして、願い事を決めておいてください」
突然、オイラの近くにいた背の高いケバいお姉さんが、不平そうな声を出す。
「初詣は、自分がこうして生きていることのお礼を神様にする日でしょ。お賽銭でお願いをするって、意味わかんない」
そのお姉さんの連れの男性が、まあまあ、そう難しいこと言わずにというデスチャーをして、やんわりたしなめる。
オイラは、俗気にまみれた人間なので、神様仏様に対して、私利私欲のお願いしかしたことがない。大体、神様仏様がきちんとお願いを聞いてくださるか、実はあまり期待していないのさ。こういうのは、宝くじに当たる程度のものだと思って、願い事は、99%自力で達成するように努力することが、人生の滋味だと思うから。
参拝を済ませると、恒例の御神籤をした。案の定、御宣託は「中吉」。オイラは、初詣の御神籤で大吉を出したことはない。凶を出したこともあるし、大凶だってある。不運自慢にも程があるけど、全部ホントさ。
中吉かぁ。いつものことだな、と多少腐りかけていたら、御神籤の脇に有り難いメッセージを発見。そこには、おおよそこんなことが書いてあった。吉凶というのは、常に巡っているらしい。開運を祈り心を強くすること。心を強くして、強く生きることが大事である、と。
どうやらオイラは、いつも運気が下降の時期に初詣に行って、御神籤を引いているようである。違うか? いずれにせよ、今度から御神籤を引いて微妙な御宣託だったとしても、腐る必要はないことが分かった。それでもね、来年こそは大吉を出してみたいな。つーか、もう来年かよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?