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読書記録。~アイデアの宝庫と自己肯定感~

『仕事、人間関係の悩みがスーッと軽くなる!「繊細さん」の知恵袋』
武田 友紀・著
マガジンハウス

繊細な気質HSPを持ちながら、それを生きづらさの原因としてではなく、幸せに生きるためのものにする。
そのための助けになる、日常生活のちょっとした困りごとを解決するヒントがこの本には書かれています。

HSPを親しみを込めて「繊細さん」と呼び、繊細さんが幸せに暮らせるためのアドバイスをくださる武田さんが、たくさんの繊細さんと共に集めたアイデア集です。

この本で私は、最近よく耳にする自己肯定感について、目から鱗が落ちるような発見をしました。

他者からではなく、自分から

武田さんの説明によると、自己肯定感とは「私は私でいいんだ」と自分を肯定する気持ちだそうです。
一方、自己効力感は、「私には、○○をやる力がある」というもので、特定の物事についての自信です。

自分に自信がないと思いながら生きてきて、周囲に認められたいがために色々な努力をする。
それはもちろん大事だけれど、それでも自信を持てない時。

その時、私は「自己肯定感」を高めるような行動を本当にとっているのだろうか?
この本は、自己肯定感を高めようと努力しても、自己肯定感ではなく自己効力感ばかりが上がっていることを私に教えてくれます。

「まわりに認めてもらいたい」という思いから資格をとったり、仕事で結果を出したりすると、自己効力感は増すのですが、自己肯定感のほうはなかなか回復しません。本当にほしいのは「何かができてもできなくても、そんなことには関係なく、私が生きてていいんだ」という安心感ですから、いくら「できること」を積み重ねても、「できないことや、ダメな部分があっても大丈夫」と自分で自分を受け止められないうちは、安心できないのです。
『仕事、人間関係の悩みがスーッと軽くなる!「繊細さん」の知恵袋』
p.142-143

なるほど、そうだったのか。
確かに私は、自分にOKを出しながら生きることがまるでできていないように思います。

学生にそんなことはぜいたくが過ぎる。
自立するためには決して周囲に甘えちゃいけない。何事も自分の力で。
それができないのならもっとスキルアップして、できるようにならないといけない。
自信がほしいのなら努力して、周囲から認められないといけない。

前回も書いたように、社会の価値観も自分の持つ価値観も、どこか自分を苦しめるものになっているということに気がつかないまま、ただ自分自身を傷つけていたのかも。

方向さえ少し変えればもっと幸せに頑張れる。
SOSを出して、しかるべき対応をしてもらって、もっと健康的に頑張ることができたのなら…
自傷的に、病的にまで努力することによって、そうして自分の命が削れて行くことで快感を得るような、そんな生き方にはならなかったはずなのに。

ある繊細さんは、そんな時こそ自分をケアしてあげることに重きを置いています。

私が自分に自信が持てないときは「自分のケアが足りないとき」です。…自分で選択していると自信がでるので、選択ができるくらい自分の中を整えます。…一見無駄だけど、自分が好きなことに時間をかけると少しずつ整った気がします。
『仕事、人間関係の悩みがスーッと軽くなる!「繊細さん」の知恵袋』
p.141

生きづらさを少しでも克服している人、その途上にある人というのは、大抵同じことを考えているのかもしれません。
私もこれまでの読書記録で、自分へのご褒美なんてハードルが高すぎてできない!という話をしてきました。

とはいっても今はそれが少しずつできつつあるのも事実
1年前に比べたら、今はきっと成長しているとさえ思っています。

好きなことをしながら、自分の気が済むまで勉強に徹する日々。
大変だけど、大変すぎて死にたくなることもあるけれど、そうやって自分に負荷がかかっている時は、少なくともそれに気がつくことができる

そんな日々の中でも、気になるベーカリーに足を運ぶ許可を出せている。

Instagramで自炊 兼 パン記録をするようになりました。
美味しいものの発見をアピールしつつ、美味しいという
気持ちをアウトプットする役割もあります。

気になったベーカリーに向かうワクワク感。
ある時はかわいくておしゃれなお店の見た目に、ある時は温かみのある雰囲気に、気分が落ち着きます。
お店に入った瞬間のパンの香りに包まれながら、色々な種類のパンから自分の好きなものを探す時間。
迷いに迷って買った時の、店員さんとのやり取り。
そして、買ったパンを食べる瞬間。
パンの香りと温度、手触り、食感、素材本来の香りと甘味…丁寧に作られているからこそ、美味しく食べられるのです。

その1つ1つを感じているとき、必ず心は穏やかです。

最初は勇気のいることだったけれども今では、自分の「~したい」を叶えながら生きることが、少しずつではありますが、できているように見えます。
勉強で忙しいと、そんなことも全然できなくなるけれども…
そんなとき、「あ、今の自分は『~したい』を叶えられていないから、心が荒んできたな…」と感じ取ることができるといいなと思います。

生きづらさから入り、幸せに飛び立つ

HSPを知るきっかけとして、悩みが出発点なのです。…どうしてもHSP=生きづらい、というイメージに偏りやすくなっています。
『仕事、人間関係の悩みがスーッと軽くなる!「繊細さん」の知恵袋』
p.182

私がHSPを知ったのも、Instagramのとあるコミックエッセイでした。
そこに描かれていたのも、刺激への敏感さや「ひとり反省会」で、そこに私は共感してHSPを調べるように。

でもHSPには良い面もある。
そのことも同時に、HSPについて調べる中で知っていくにつれて、
どうしたらHSPを良い方向に用いて行けるのだろうと考えるようになりました。

そんな風に思ったとき、繊細さを何かの道具として用いようとしていないだろうか。
そう自分に問いかけたいと思います。

繊細さは仕事やプライベートで活かしていける力ですが、それ以上に、幸せを味わうための大切な感性です。
『仕事、人間関係の悩みがスーッと軽くなる!「繊細さん」の知恵袋』
p.196

私が繊細で良かったと思える瞬間は、どのような時だろうか。
「繊細さが活かされた」とはまた違った、繊細さゆえに味わえた純粋な楽しみや喜びの感覚。

大学に入学してから1年間、ほとんどそうした感性を閉ざしてきたからあまり思い出せないけれど…

今は、美味しいものを心から「美味しい!」と思えること。
その感性が、拒食症になって一旦失われたからこそ徐々に復活していって、そして改めて以前以上に楽しめるようになりつつある。
それが、繊細で良かったと思える瞬間です。

未だ怖くて食べられないものは多くあります。
妹や父親あてに買ったスナック菓子や揚げ物のお惣菜を見る度に、「もう私に気を遣わなくても良くなったんだな」と安心しつつも「私は食べられないというのに…この意気地なし」という思いも。

でもそれでいいと思います。私は私が美味しいと思えるものを食べるだけ。
食べたいのに怖くて食べられなくなってしまったものを、再び心から美味しいと思える日は、
いつか必ず来るということを信じて、気長に待っているのですから。

繊細だから周囲からのプレッシャーを鵜呑みにして、自分を傷つけて感性を閉ざして、心身共に弱って。
そうして改めて自分の繊細な気質が、「こういう風に付き合っていけば幸せに生きられるんだ!」という発見をさせてくれる。

これからは、そんな繊細さとの共存をしていきたいと思うものです。

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