体幹筋群の機能解剖学と臨床実践【サブスク】
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腹筋群の機能解剖と臨床実践
腹直筋
1)2)3)を参考に作成
腹直筋は、骨盤が固定されたときには胸郭を引き下げ体幹を屈曲し、胸郭が固定されたときには骨盤を後傾させる⁴⁾とされています。また、腹直筋の弱化は腰椎の前腕を増強し、慢性腰痛の原因となる⁴⁾とされています。
腹直筋は、臍より上方を腹直筋上部繊維、臍より下方を腹直筋下部繊維に分けられます⁵⁾⁶⁾。
上部腹直筋は垂直方向に走行し、下部腹直筋は垂直より約8°傾斜している⁵⁾と報告されています(図1)。
図1 腹直筋の繊維と走行
ヒトの腱画は通常3本(稀に4本)あり、主に前面に著明に発達し、後面では不著明または存在しないことがある⁷⁾と報告されています(図2)。
図2 腹直筋の腱画
腹直筋は、結合組織の薄い層である腹直筋鞘に包み込まれています。
腹直筋鞘は前葉と後葉に分けられます。
腹直筋前葉は、外腹斜筋と内腹斜筋の結合組織で形成されます⁸⁾(図3)。
腹直筋後葉は、内腹斜筋と腹横筋の結合組織で形成されます⁸⁾(図3)。
図3 臍より上部腹壁前面の水平断
9)より画像引用
腹直筋は、腱膜を介して長内転筋との連続性がある¹⁰⁾と報告されています(図4)。
図4 腹直筋と長内転筋の連続性
(RA:腹直筋、Ap:腱膜、AL:長内転筋)
10)より画像引用
腹直筋と長内転筋の連続性については、著書「アナトミー・トレイン」の中で、フロント・ファンクショナル・ライン(FFL)¹¹⁾として挙げられ、テニスのサーブ動作や野球の投球動作等における力の伝達時に機能すると考えられています。
【触診】
腹直筋は、腹部中央で臍を指標にそのすぐ左右に確認ができ、上部では腹直筋上部繊維、下部では腹直筋下部繊維に触れることができます。
背臥位で臍を覗き込むように頸部・体幹屈曲することで筋収縮を触知することができます。
【ストレッチング】
腹臥位で上肢を使って上体を起こすことで腹直筋を伸長することができます¹²⁾(図5)。
図5 腹直筋のセルフストレッチング
伸展型腰痛では疼痛の出現や増強を認める場合があるため目的に応じて行いましょう。また、腹部引き込み運動(ドローイン)を同時に行うことで、腰痛を抑制できる場合があります。
【トレーニング】
腹直筋上部繊維のトレーニング方法として、カールアップ¹³⁾¹⁴⁾¹⁵⁾が挙げられています(図6)。
図6 カールアップ
13)より画像引用
カールアップ¹³⁾は、背中をマットにつけた状態で仰向けになり、膝を曲げて足を床に平らに置きます。この位置から、肩を床から持ち上げるようにして、腹部に力を入れて上半身を屈曲させます。首や頭を手で支えることが多いですが、これは首に負担をかけないために重要とされています。
腹直筋下部繊維のトレーニング方法として、骨盤後傾運動(Posterior Pelvic Tilt Exercise)¹³⁾が挙げられています。
図7 骨盤後傾運動
13)より画像引用
骨盤後傾運動は、仰向けになり、両足を床から持ち上げます。股関節と膝関節を90度に曲げ、太ももは運動中動かさないように保持します。腹部を収縮させ、骨盤を後方に転がすように動かします。同時に恥骨結合を胸に向かって引き上げます。腰部はマットに触れたまま仙骨、腸骨稜、殿部はマットから持ち上げます。
骨盤後傾運動は、高い身体活動レベルの群において、腹直筋下部繊維により高い筋活動がみられた¹³⁾と報告されています。
外腹斜筋
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