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CIってなに? ロゴやマークの制作で大事な話

こんにちは。株式会社 form and craft です。
今回は、弊社内で実施している学びのプログラム「フォームアカデミー」から少し展開して
実際の業務に関係するお話もさせていただきます。(アカデミーの目的や今までの活動についてはこちらをご覧ください)


はじめに

本質を見つけて、会社の未来をビジュアルに落としていくこと。
それが、私たち form and craft の仕事のひとつです。
これまで、アカデミーではタイポグラフィを中心に授業を行ってきました。それは、会社の未来をビジュアルに落とし込むために必要なデザイン能力だからです。
そもそも、form and craft のタイポグラフィの考え方は、ヤン・チヒョルトとヨゼフ・ミュラー=ブロックマンに基づいています。

この二人の思想を軸に、デザイン能力を身につけ企業活動に適用していくこと。これをformアカデミーの展望のひとつとして設定しています。

さて、「本質を見つけて、会社の未来をビジュアルに落としていく」ためにタイポグラフィも重要ですが…ここまでは前段です!
今回は、もうひとつ重要なCIのお話をしたいと思います。

CIとは

CIとは「コーポレート アイデンティティ」の略で、直訳すると企業の独自性・特性、という意味になります。 CIは、企業の特徴やイメージを、社内外に浸透させる目的で存在します。
CIと聞くと、ロゴマークなどのビジュアル分野をイメージすることが多いかと思いますが、それだけではありません。
「こういう思想を大切に企業活動を行おう!」といった、社員ひとりひとりのマインドや行動までもCIに含まれます。
1つ大きな旗を立てて、それを表現するために、あらゆる部分で統合的に形にしていくことが、企業のイメージをつくるのです。
そしてそうやって作られたイメージこそが、他企業との違いをつくり、「ブランド」として確立していくのだと思います。

日本最初のCI

さて、そんなCIを体系立てることをCIS(コーポレート アイデンティティ システム)と呼びますが
日本で最初のCISは自動車メーカーの「マツダ」だそうです。
書籍『Mazda Corporate Identification System 』にその全体像が載っています。

『Mazda Corporate Identification System 』(1975)


著作権の都合でぼかして載せますが
見ると、コーポレートカラーはブルーだったようです。マツダを象徴する車がレッドなので、勝手に赤だと思っていました。
また、近年はこのブルーも少し存在感が薄くなって、より上質なイメージを強めるためにシルバーが基調となるようにリニューアルしています。
時代の変化とともに、CIもアップデートしていくんですね。

左が旧ロゴで、右が現在のロゴ

近年のブランディング事例

CIという視点の延長で、近年のリブランディングで印象的だった事例を2つ紹介します。 今後、企業のCI(特にロゴやマーク)を考えるとなった時に、とても参考になる内容です。

メルカリ

まず1つ目がフリマアプリで有名な「メルカリ」。
リブランディングするにあたって、ロゴもリニューアルしたのですが
制作の過程を丁寧にnoteの記事で紹介されているので、ぜひご覧ください。

引用元:note「メルカリロゴリニューアルの裏側、見せます。」

どんな思いを新しいロゴに込めたのか、このシンプルなデザインの中にも、たくさんの紆余曲折があったことが伺えます。


ヤマト運輸

2つ目は「ヤマト運輸」です。
日本に住む人ならおなじみの、クロネコマークのリニューアルです。
こちらの制作過程も、デザイナーの原研哉さんが動画で紹介しているのでぜひご覧ください。(26:40からスタートです)

クロネコのマークだけで、本当に多くの検証をしています。親しみのあるマークなだけに、少し変えるだけで印象が大きく変わったと感じます。
また、マークだけでなく、コーポレートカラーやロゴタイプも刷新していますが、どれもアウトプットはシンプルです。
ただ、最初からシンプルなのではなく、賑やかな方向も含め多くの検証をしながら
最終的にこれだけシンプルに削ぎ落としたという過程がとても勉強になる内容です。

おわりに:デザイナーがロゴを作るにあたって

今回は、CIに関する基礎的な部分と事例の紹介でした。

記事でも紹介した、CIのひとつであるロゴは、アウトプットだけを見るとシンプルなものが多いので 「誰でもできるじゃん」と思いがちですが、そうではないと思います。
“なんかいい感じ”のデザインは簡単に作れますが、果たしてそれは企業の顔として機能するでしょうか。
その企業の組織やブランドを表現できているのか、 何度も問い続けて膨大な時間と労力がかかったロゴこそ、企業の顔にふさわしいと思います。
だからこそ、デザイナーである私たちは、誰よりも多くの検証を重ねないといけません。
そういう粘り強さのあるデザイナーに、なっていきたいものです!(頑張ろう)

それでは、次回の投稿もお楽しみに!

text:A.K

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