見出し画像

自律神経のなかで最も大切な「迷走神経」を整えるを睡眠法を紹介!

こんにちは。
フォレスト出版・編集部の美馬です。

これまで4回にわたり9月新刊『自律神経のなかで最も大切な迷走神経の整え方』(小林弘幸・著)の「迷走神経」について詳しく解説をしました。本日は、そんな迷走神経を整える方法を、第4章「迷走神経を整える睡眠」から一部抜粋・改編してお伝えしていきます。

▼これまでの投稿はこちらから。


迷走神経を整える理想的な睡眠の条件

良い睡眠とはなんでしょう? もちろん、長時間寝れば良いということではありません。睡眠時間が長いことが、死亡率の高さやさまざまな病気を招くことはすでに知られています。

では、何時間眠れば良いのでしょうか? 睡眠時間には個人差が大きく、米・カリフォルニア大学の研究では「疲労やストレスを解消し、活動エネルギーを回復するために必要な睡眠時間は生まれつき決まっている」とされています。つまり、生まれながらにして、短い睡眠時間でも心身に影響が及ばない人もおり、年齢によっても睡眠時間は変わってきます。

ただ、2002年にアメリカで行なわれた約110万人規模の調査「睡眠時間と健康の関係」によると、もっとも死亡率が低かったのは7時間前(6・5〜7・5時間)。10万人を対象にした名古屋大学の調査でも同じような結果になっています。

つまり、「7時間前後」を一つの目安にして、今の自分に合った適切な睡眠時間を確保することが大切であると言えます。ただし、時間に神経質になりすぎるとかえって眠れなくなることもあるので気をつけてください。

時間に限らず、しっかり眠れているかどうかを判断する5つの基準があります。

①寝つきにかかる時間
②夜中に目を覚ます回数(そのあと眠れるかどうか)
③予定の時間よりも早く起きていないか(そのあと眠れるかどうか)
④寝起きの体調
⑤日中の眠気

しっかり眠れているかどうか、手っ取り早く判断する方法は、④の「寝起きの体調」をよく確認することです。朝起きたときに「すっきり感」があることが、良い睡眠がとれているかどうかの大きなポイント。

また、⑤の「日中の眠気」は、自分の「睡眠力」を振り返ることができます。起きてから4時間後の眠気に加えて、体調もチェックしてみてください。人は、起きてから4時間後くらいが、きちんと頭がはたらいている時間だとされています。たとえば朝7時に起きる人なら、11時ごろに集中力が切れたり、ドッと疲れを感じていたりする場合は、睡眠がしっかりとれていない可能性があります。

良い睡眠がとれていないのは、日中に「やや優位」になっている交感神経が、夜になっても落ちつくことなく高い状態で維持されているからです。つまり、本来は夜になると「やや優位」に傾くはずの、迷走神経をはじめとする副交感神経が十分にはたらかないまま、翌朝を迎えているということです。副交感神経が優位になるはずの夜間に、そのはたらきが行なわれず、そのまま翌日の活動に移るのは、自律神経のバランスをとるための行動としては最悪と言えるでしょう。

迷走神経が整う睡眠に誘う朝の過ごし方

それでは、いったいどのようにすれば、迷走神経が整う睡眠がとれるのでしょうか? その命運を握るのは、朝の過ごし方です。一日がスタートする朝は、迷走神経を含めた副交感神経の「お休みモード」から交感神経の「活動モード」に切り替わるタイミングです。この自律神経の切り替えをスムーズに行なうことが、夕方以降のリッラクスモードを作るカギを握っています。

バタバタと慌あわただしい朝を過ごしていると切り替えがうまくいかずに、一日中、自律神経のバランスが乱れたままになります。できれば起床時間を一定にして、心に余裕のある朝を過ごせるように心がけましょう。ここでは「よく眠れる朝の習慣」を一つ紹介します。

◆太陽の光を浴びる

朝は、体内時計がリズムを再び刻み始めるタイミングですが、この体内時計を動かすのは「光の刺激」です。目の奥には体内時計のリセットボタンである「視交叉上核(しこうさじょうかく)」があります。太陽の光がわたしたちの目に入ることで、このボタンが押されリセットされます。

また、体内時計がリズムを刻み出すと、脳内に「オレキシン」という神経伝達物質が分泌されます。このオレキシンは、言わば、頭を覚醒させる「サポーター」で、起きている状態を安定化させてくれます。

太陽が出ていない曇りや雨の日でも「自然の光」には絶大な効果がありますから、朝起きたらすぐにカーテンを開けることを習慣にしてください。通常の照明の明るさは500〜1000ルクスですが、太陽の光は、その10倍。朝日を浴びることがいかに「目覚めの刺激」になるかは一目瞭然です。体内時計がリセットされると、睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌がストップし、不思議なもので14〜16時間後に、再び分泌されるようにタイマーが動き始めます。

お風呂場は迷走神経のパワースポット

睡眠と入浴は、とても相性が良いです。一日分の興奮をおさえるリラックス効果の高い入浴は、体の汚れだけでなく、ストレスまでも洗い流してくれます。

迷走神経を整えて、良い睡眠を誘うには、入浴の仕方でもちょっとした工夫が必要です。キーワードは「深部体温の急降下」。交感神経が優位になっている日中は、脳も体も活動的になります。自動車が走りすぎるとエンジンが熱くなるように、脳と体が活発に動く昼間は、体温が上昇しています。その体温が下がったときに眠くなります。

深部体温は、脳や腸など体の内側の体温と考えてください。人は、深部体温が下がることで覚醒度が下がって自然な眠りにつくことができます。これを一時的に上昇させれば、体は「体温を急激に下げよう」とはたらき始めます。このはたらきを利用しない手はありません。つまり、お風呂の湯船で、深部体温を一度上げておき、急な下降線をたどっているタイミングで就寝すれば良いということです。

湯の温度は、39〜40度くらいのぬるめがベスト。熱いお風呂が好みの人も多いと思いますが、42度以上の入浴は交感神経を刺激するため、自律神経のバランスが乱れます。料理をたしなんでいる人なら知っていると思いますが、揚げ物を高温で揚げると、なかまでしっかり火が通っていないことがあります。熱い湯もそれと同じで、体の内側まで十分に温めてくれません。

最初の5分は肩までつかり、残りの10分はみぞおちまでつかる半身浴がおすすめです。入浴時間は、できれば15分ほどにとどめてください。これ以上は深部体温が上がりすぎてしまい、いつまでも体に熱がこもってしまい、睡眠の妨げになります。

最近では、浴室にスマホを持ち込むための防水ケースがあるようですが、入浴中は「心身のデトックスタイム」。そもそも、迷走神経をかき乱すものは禁物です。逆に入浴剤は、心も体も大歓迎です。気分に合わせて香りをセレクトします。アロマのバスオイルを使っても良いですし、血行促進を促す炭酸ガスタイプもおすすめしています。一時的に全身の血のめぐりを良くすることで迷走神経も活性化されていきます。

もう一つ気をつけてほしいのは、お風呂からあがった直後から深部体温はどんどん下がっていくということです。就寝のタイミングを知らせるサインは、手足がじんわりと熱くなったころ。深部の熱がスーと放出されている証拠です。指先や足先を流れる毛細血管が開き、車のエンジンを冷却するラジエーターのように放熱している状態です。お風呂は、迷走神経にとってはパワースポットのような場所。自律神経のバランスを整えるもっとも効果的な場所と言えるでしょう。

***

以上、迷走神経を整えることのできるとてもかんたんな睡眠法をお伝えしました。本書ではまだまだ具体的な方法が数多く掲載されています。ぜひお手にとって実践してみてください。

書影をクリックするとAmazonページに飛びます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?