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なぜ、現代人は「迷走神経」に意識を向ける必要があるのか?

こんにちは。
フォレスト出版・編集部の美馬です。

先日の投稿では、9月新刊『自律神経のなかで最も大切な迷走神経の整え方』(小林弘幸・著)の概要とあわせて、「はじめに」と目次を公開しました。

▼まだお読みになっていない方はこちらからどうぞ。

本日は、「迷走神経」がいかに重要な役割を担っているのか、本書から一部抜粋して詳しくご説明していきます。

血管迷走神経反射(起立性調節障害)というやっかいな症状

もしかしたら、「迷走神経」という単語をコロナ禍で初めて聞いた、という方も多いかもしれません。新型コロナウイルスワクチンの副反応の一つとして、ワクチンを接種したあとに気を失ったり、気分が悪くなる「血管迷走神経反射」が、一時話題になりました。

血管迷走神経反射は、注射の痛みや強い恐怖により血圧が低下、脈も遅くなり、脳への血流が滞ってしまうことで起こります。もっと言うと、血管迷走神経反射は「起立性調節障害」の変形版と考えて良い、と著者の小林先生は言います。学校の朝礼のときに、具合が悪くなって、立っていられなくなってしまう生徒がいたと思いますが、これはこの障害によるものです。

起立性調節障害には「朝起きられない」「めまい」「頭痛」「腹痛」「食欲不振」などの症状もあるそうで、まわりからやる気がないと思われてしまったり、仮病を使っていると勘違いされたりと、誤解を受けやすいということですので、本当にやっかいですよね。

ストレス社会に生きる現代人の防衛システム

小林先生曰く、子どもから大人へと成長していく過程には、受験、進学、クラス替え、友人関係など不安やストレスが少なくありません。しかし、多感な時期には、そのような不安やストレスを受け流したり、気持ちを切り替えたりするなどの「防衛術」を身につけていません。

これは大人になってからでも同じことが言えます。現代に生きる私たちは、つらい症状を我慢し、不安やストレスを胸に抱えながら、それでも弱音を吐かずにがんばることが美徳だと考えている人が多いようです。ちなみに私もそのうちの一人。根性でなんとかしようと考えているタイプです(笑)

こんな人は、じつは自分が思っている以上に心も体も擦り切れているようです。通勤中に気分が悪くなったり、突然めまいがしたりと、起立性調節障害の症状が出ているかもしれません。これは、自律神経が乱れているサインだと言います。心と体に限界を感じて、みずから警鐘を鳴らしているのです。

抱えきれないストレスやどうしようもない不安が目の前に現れたとき、自律神経が大きく乱れます。このとき、体に備わっている心身の防衛システムの一つとして迷走神経が強くはたらき、まるでスイッチを切るように活動に「ストップ」をかけてくれると言うのです。

迷走神経は心身にブレーキをかけてくれる

そもそも、自律神経には、交感神経と副交感神経があります。自動車にたとえると、アクセルが交感神経で、ブレーキが副交感神経と考えるとわかりやすいかもしれません。

交感神経は「昼の神経」と呼ばれ、アクセルを踏み込むと車が加速するように体や心を緊張させて動きを活発にさせます。一方、心身にリラックスをもたらす「夜の神経」と呼ばれているのが副交感神経です。副交感神経が優位になると、ブレーキを踏むことで車がゆっくり停車するように心や体を落ちつかせます。

自律神経が「整う」とは、いったいどんな状態?

そもそも、自律神経が「整う」とはどんな状態なのか? 意外に詳しくはわからないという方も多いのではないでしょうか。私も、小林先生にお話を伺う前は、交感神経と副交感神経のはたらきが、きれいにスイッチングすることだと考えていました。

じつは、これは間違いです。心と体が良い状態で機能するには、交感神経と副交感神経がどちらも高いレベルではたらいていることが重要であるため、活動的なときには「交感神経がやや優位」、リッラクスしているときは「副交感神経がやや優位」というように、絶妙なバランスで保たれる必要がある
と言います。

この、「やや優位」というのがポイント。あきらかに一方に大きく偏ってしまってはいけません。シーソーをイメージしたとき、同じ体重の人が乗れば平行な状態を維持します。ところが、片方に体重の重い人が乗れば、たちまち均衡が崩れて、大きく傾きピクリとも動かなくなってしまいますよね。この状態=自律神経が乱れていると考えて良いとのこと。

つまり、”自律神経が整っている”状態は、交感神経と副交感神経がどちらも高いレベルではたらいていながら、どちらかが「やや優位」の状態でつねに釣り合っている状態というわけです。

なぜ、迷走神経が整うと、自律神経が整うことになるのか?

ただ、残念ながら、自律神経のはたらき度合いを自分でコントロールすることはできません。しかし、自律神経の絶妙なバランスが整うように、うながすことは可能だと言います。

その切り札となる手段が、本書のキーワード、「迷走神経」を意識した生活です。

迷走神経は、脳の「延髄」からはじまり、耳や目のまわり、首元を通って心臓や胃や腸など、ほぼすべての内臓に達しています。そして、驚くべきことに、迷走神経が脳と内臓の連絡役を担っていると言うのです。迷走神経は、内臓の状態を脳に伝えて、脳からの指令を内臓に届ける、言わば、脳と体を結ぶ「直通回線」というわけです。

さらに、この迷走神経は副交感神経系を支配する力を持っているため、副交感神経の主な担い手として心と体を安息に導いてくれる、とても重要な神経ということがよくわかります。

つまり、迷走神経をしっかりはたらかせることで、過剰に高ぶっている交感神経がおさえられ、自律神経のバランスの均衡が保たれるということ。ストレスや不安にも強い心と体を手に入れられると言っても過言ではありません。

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ここまで、迷走神経がいかに重要な役割を担っているのかをご紹介しました。副交感神経の主役としてはたらいている迷走神経を意識して暮らすことが、現代社会で健康に生きるためのカギとなります。

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ぜひ、お手に取ってその具体的な方法を実践してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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