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自律神経を整える、最後の切り札に!——「迷走神経」を整える方法

こんにちは。
フォレスト出版・編集部の美馬です。

「迷走神経」という言葉をご存じでしょうか?

迷走神経は、自律神経の一つです。もっと言えば、自律神経のなかでも副交感神経のはたらきを持つ神経です。じつはこの迷走神経は、自律神経の乱れを整えるための重要な役割を担っています。

抱えきれないストレスやどうしようもない不安が目の前に現れたとき、自律神経が大きく乱れることはよく知られています。このとき、体に備わっている心身の防衛システムの一つとして迷走神経が高まり、まるでスイッチを切るように活動に「ストップ」をかけたり、心と体をリラックスさせるためにはたらきかけてくれます。

なぜ、このようなはたらきができるのか? それは、迷走神経が、副交感神経系(かんたんに言うと、リラックス状態を生み出す神経)の司令塔のような役割を担っているからです。

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。自動車にたとえると、アクセルが交感神経で、ブレーキが副交感神経と考えるとわかりやすいです。副交感神経が優位になると、ブレーキを踏むことで車がゆっくり停車するように心や体を落ちつかせてくれます。

最近では、「自律神経を整える」というワードをよく聞くようになりましたが、そもそも自律神経が「整う」とはどんな状態なのか? 交感神経と副交感神経のはたらきがきれいにスイッチングすることだ、と考えてしまいがちですが、じつは、交感神経と副交感神経がどちらも高いレベルではたらいていることが重要だと言います。

しかし、ストレスフルな現代人は、圧倒的に交感神経が強くはたらいているようです。交感神経と副交感神経を乗せたシーソーを思い浮かべると、交感神経のほうに大きく傾いているような状態です。そのため、自律神経が乱れ、心身に不調を来すというわけです。

交感神経が過剰にはたらいている今、大切なことは自律神経のシーソーのバランスをとること。意図的に副交感神経のはたらきを高めて平衡を保つことが重要です。自律神経のはたらき度合いを自分でコントロールすることはできません。しかし、自律神経の微妙なバランスが整うようにうながすことは可能だと言われています。

その切り札となる手段が、冒頭でもお伝えした副交感神経を支配する「迷走神経」を意識した生活です。

その具体的な方法を、腸活、呼吸、睡眠、生活習慣、ストレスとの付き合い方から解説した書籍『自律神経のなかで最も大切な迷走神経の整え方』(小林弘幸・著)が9月12日に発売されます!(Amazonでは9月9日より)

書影をクリックするとAmazonページにとびます。

ここでは、本書の目次と「はじめに」を公開します。ぜひ、最後までお読みになってください。

はじめに——自律神経のなかで最も大切な神経がある

 心と体をつねに疲ひ 弊へいさせるストレス社会。そして、大量の情報にさらされるデジタル社会。
 そんな現代社会を全速力で走ってきたわたしたちに、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、戦争や気候変動など、自分ではコントロールできない状況が次々と襲かかってきました。
 仕事、生活、そして将来は……。先の見えない不安は、さらなる負荷となってわたしたちの心と体を確実に蝕んでいきます。
 わたしは、30年以上にわたり自律神経について研究してきましたが、今ほど、自律神経を整えることが求められている時代はありません。
 生命活動の根幹である呼吸、血管、心拍、筋肉、臓器などのはたらきを無意識にコントロールしている自律神経は「交感神経系」(以下、交感神経)と「副交感神経系」(以下、副交感神経)という、自動車でいうアクセルとブレーキのように正反対のはたらきを持った2つの神経で構成されています。
 この2つの神経はどちらも、わたしたちが生きていく上で必要不可欠なものです。
「自律神経を整えるためにはどうすれば良いか」と、いろいろな人に訊たずねられます。自律神経のバランスが良い状態とは、交感神経と副交感神経の機能がどちらも高く、そして、釣り合いがとれていることです。
 ところが、ストレスのボリュームが膨んだ現代社会では、この自律神経のバランスが大きく崩れています。とりわけ、交感神経が過剰に優位に傾いている人が急増しています。これは、アクセル全開で駆け抜けようとしている状態といえます。
 このような時代で、心も体も健かに過ごすために有効な手立てが、迷走神経を活性化させることです。
 迷走神経は自律神経のなかでも、副交感神経を支配している重要な神経です。
 迷走神経がしっかりはたらくと、ブレーキがほど良くきいているように副交感神経の機能が高まって、体は安らぎ、心は安定していきます。
 そして、交感神経の高ぶりをおさえて、自律神経のバランスが平衡を保つようになります。
 迷走神経は、脳からはじまり、さまざまな臓器をめぐっている体のなかでもっとも大きな神経。その重要なはたらきは脳からの指令を臓器に伝え、内臓の状態を脳に伝えること。言わば、脳と臓器の「直通回線」です。
 人の心臓や腸、肺などの臓器は、脳と双方向のコミュニケーションをとりながら、わたしたちの心や体の状態を「最適」な状態に保つようにしています。
 つまり、迷走神経をうまくはたらかせるためには、脳と臓器を結ぶ直通回線に、より良い情報を行き来させることです。

 本書では、迷走神経と腸、呼吸、睡眠、生活習慣、ストレスとのかかわりから、
「なぜ、今迷走神経に頼ることが必要なのか」
「迷走神経をはたらかせると、どのような効果があるのか」
「迷走神経が整うためにはどうすれば良いのか」
 をまとめています。
 心と体を乱すさまざまなものに囲まれているわたしたちが、自律神経の微妙なバランスを整えるためには、迷走神経を意識することがたいへん重要です。
 これによって豊かな人生を手に入れることができると信じています。

▼目次

はじめに——自律神経のなかで最も大切な神経がある

第1章 自律神経を整える切り札「迷走神経」のはたらき

◎人間が古代に身につけた心身の防衛システム
◎自律神経が「整う」とは、どんな状態か?
◎交感神経のはたらき、副交感神経のはたらき
◎自律神経のバランスが乱れると、心身に何が起こるのか?
◎わたしたちは自律神経が乱れやすい社会に生きている
◎日常に潜む迷走神経を乱すワナ
◎迷走神経の乱れを加速させるもの
◎「迷走神経」がなぜ副交感神の主役なのか?
◎迷走神経は体の情報伝達を担う高速道路

第2章 迷走神経を整える腸活

◎脳に頼らず、みずから考えてはたらく腸
◎腸と脳の情報伝達のカギを握る迷走神経
◎迷走神経が免疫力維持を支えている
◎腸の個性を決める腸内細菌の生態系
◎腸内細菌と自律神経の「バランス」という共通点
◎迷走神経の強力な助っ人、幸せホルモン「セロトニン」
◎脳を気にするよりも迷走神経を意識した腸活を
◎食べる量は増えているのに便量が減っている理由
◎迷走神経を活性化させる食物繊維の力
◎善玉菌の活躍をサポートする食品とは?
◎この刺激を与えると、腸も迷走神経も動きだす
◎迷走神経を活性化させる腸まわりトレーニング3選
◎腸がよろこぶ環境づくりが迷走神経を活性化させる

第3章 迷走神経を整える呼吸法

◎いくら栄養を吸収しても、これがなければエネルギーにならない!?
◎呼吸は自分の意識でコントロールできる
◎「深呼吸」と「心が整う」のメカニズム
◎現代人は呼吸が浅く、速くなりすぎている
◎マスク習慣によって生じた口呼吸による健康被害
◎プチ不調の原因は迷走神経の不活性化
◎腰痛や冷え性に悩む人に共通している呼吸の仕方
◎「肺を鍛える」の本当の意味
◎「肺を鍛える」体操——肋骨ゴシゴシ体操
◎迷走神経を刺激する呼吸筋の使い方
◎迷走神経を整える「1:2呼吸法」
◎「ため息」は心身を回復させる最高の呼吸法
◎迷走神経の刺激を利用した生理現象の数々

第4章 迷走神経を整える睡眠

◎迷走神経のはたらきぶりは「睡眠力」で決まる
◎自律神経と生活リズムの深い関係
◎迷走神経を整える理想的な睡眠の条件
◎「やっぱり睡眠力は大事」と思える健康被害の数々
◎睡眠不足は、脳と心の障害をも引き起こす
◎迷走神経が整う睡眠に誘う朝の過ごし方
◎良い睡眠のために注意したい日中の過ごし方
◎良い睡眠を邪魔する、寝る直前のNG行動
◎お風呂場は迷走神経のパワースポット
◎迷走神経を身近に感じられる唯一の体の部位
◎迷走神経がよろこぶ「枕」の使い方

第5章 迷走神経を整える生活習慣

◎すぐに行動して、ゆっくり丁寧にこなす
◎疲れたときこそ手と体を動かす
◎迷走神経を整える正しい体の使い方
◎五感を刺激して心を癒す
◎ガムや水を使って迷走神経を整える方法
◎最高の心の安寧とリラックス状態をつくる方法

第6章 迷走するストレスとの付き合い方

◎過剰なストレスで「防御システム」が失われる?
◎人によって異なるストレス耐性
◎自律神経に責任を転嫁する
◎ストレスの背景には何があるのか?
◎やりきれないほどのストレスを感じたときの対処法
◎強いストレスを和らげるかんたんな方法
◎自分が自分の感情をコントロールするコーチになる
◎がんばらないで、いさぎよく「あきらめる」という選択肢
◎適度なストレスは、なぜ必要なのか?

おわりに

気になった方はぜひ、本書を手に取っていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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