見出し画像

【フォレスト出版チャンネル#155】ゲスト/放送作家|「サイコロトーク」の生みの親! 人気放送作家の仕事術

このnoteは2021年6月17日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

 一度は観たことがある番組ばかり! ゲストは、人気放送作家・鶴間政行さん

渡部:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティの渡部洋平です。今日も編集部の森上さんとともにお伝えしていきたいと思います。森上さん、よろしくお願いします。

森上:よろしくお願いします。

渡部:さて、今日も森上さんとすばらしいゲストをお迎えしてお話ししていくんですけれども、実は本当にすごい方なんですよね。僕、プロフィールを確認させていただいてちょっと驚きました。ちょっと緊張してます(笑)。

森上:そうですよね。サイコロトークってご存じですか? サイコロって6面あるじゃないですか。その出た面の(トークをする)。

渡部:わかりました、わかりました。

森上:そう。それで「何が出るかな? 何が出るかな?」って言って、トークする人が回して、その出た目に書かれているテーマでトークするという番組、「ごきげんよう」っていう番組があったんですよ。お昼の番組で。

渡部:はい。僕ら世代は本当によく知ってますし、テレビでよく見たものですね。

森上:そうですよね。タレントの小堺一機さんがMCで二十数年間やっていたトーク番組、そのサイコロトークって、たぶん、我々の世代だとみんな知ってると思うんですけど、その「サイコロトーク」を発案した、張本人が今日のゲストです。

渡部:はい。ということで、日本のテレビというか、文化をつくってきたような方なんですけれども、本当にすばらしいゲストの方に今日は来ていただいております。本日のゲストは放送作家の鶴間政行さんです。
まず最初に、私からプロフィールをご紹介させていただいて、ご登場いただきたいと思います。鶴間政行さんは1954年、埼玉県熊谷市に生まれます。1976年、東洋大学在学中に放送作家を志して、欽ちゃん、萩本欽一さんに師事されます。5年間居候を経てデビュー、以後「欽ドン!良い子悪い子普通の子」「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」「笑っていいとも!」「オレたちひょうきん族」「SMAP×SMAP」「王様のブランチ」など、多くの人気テレビ、ラジオ番組を構成されてきました。現在もフジテレビ系「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」、TBS系「キニナル金曜日」などの構成を担当されている、まさに現役バリバリの人気放送作家さんでいらっしゃいます。
本当にこのプロフィールを読み上げてみても、見たことがある番組、知ってる番組しかなくて、皆さん一度は聞いたことあるんじゃないかなと思うんですよね。そんな国民的人気番組に放送作家としてかかわってきた鶴間さんに、今日は「そもそも放送作家というのはどんなお仕事なんだろう」っていうところも含めて、具体的にお話をうかがいたいと思います。それでは、本日はよろしくお願いいたします。

鶴間:はい。はじめまして。放送作家を45年やってます。鶴間政行です。

森上:ありがとうございます。よろしくお願いします。

鶴間:お願いします。

森上:45年ですよ、渡部さん。

渡部:そうですね。本当に、日本の文化、テレビをつくってきたといっても過言ではない。

森上:だって、渡部さん、まだ生まれてないんじゃない?

渡部:そうですね。僕、まだ生まれてない。

鶴間:(笑)。

森上:その間ずっと放送作家をされているんですもん。すごいですよね。

渡部:「欽ちゃんの仮装大賞」なんて、本当に子供で記憶がないようなときから、ずっと見てるっていうイメージがあって、まさかその担当されていた方と、こうしてお話をさせていただけるなんて、すごく驚きと光栄ですね。森上さんありがとうございます。

「サイコロトーク」誕生秘話 ~放送作家という仕事~

森上:こちらこそありがとうございます。さっそく、放送作家のお仕事についてお聞きしたいんですけど、具体的に放送作家ってどんなお仕事なのか、教えていただいてもよろしいですか?

鶴間:基本的に、広い意味で言うと、脚本家も放送作家なんですよね。テレビの脚本家ね。

森上:あー、なるほど、なるほど。

鶴間:脚本家と言うと、皆さんわかりやすいですよね。ドラマや映画の脚本、ストーリーを考える人ということですよね。私の放送作家のジャンルで言うと、バラエティーとか情報番組の構成をしている、と。構成作家とも言うんですね。放送作家の中の構成作家っていう担当ですね。で、先ほど出ましたけども、サイコロトークで、じゃあゲストを呼びましょうと、司会者が小堺さんです。じゃあ、ゲストにどんな話を聞こうかって。まあ、一番オーソドックスなのが「徹子の部屋」ですよね。ゲストを呼んでフリートークをするっていうのが。基本的には、そこには何の企画もない。もう徹子さん自体が企画なので。

森上:なるほど。

鶴間:徹子さん自身が人間的な企画なんですよね。その人が聞くっていうことで、企画がもう成立しちゃったんですよね。で、「徹子の部屋」はあるけども、あれがベースとなるわけですよね。基本形として。では、徹子さんまではいかないんだけど、司会者を連れてきて、司会者に何か仕組みが必要だと、企画が。で、どんなかたちで聞こうかっていうので、「テレホンショッキング」っていうのが一つのかたち、「笑っていいとも!」でありましたよね。

森上:ありましたね。タモリさんがゲストとお話するやつですよね。

鶴間:あれもトークコーナーなんですけども、15分から20分の。あれは実はトークのゲストを呼んで、企画としては「お友達を紹介してください」と。

森上:はい、はい。

鶴間:お友達がまたそのお友達を紹介するってことで、順番にリレーして回るっていうのが企画なんですよ。その仕組みを考えたりするのが、放送作家の仕事。

森上:なるほど。

鶴間:そうすると、「笑っていいとも!」はもうやっていたから、違うかたちがいいなと。1人ずつ紹介するんじゃなくて。で、考えたのが「サイコロトーク」で、サイコロって今まで1から6しか印がついてなかったんですよね。あるときに「あれにテーマを書いたらおもしろいんじゃないかな」って、ふと思ったわけです。

森上:その発想がおもしろいですよね。なるほど。

鶴間:それで企画会議で、「こういうのはどうですか?」って提案したら、三宅(恵介)ディレクターっていう方が「それ、おもしろいね」って言ってくれたんですよ。その三宅ディレクターは「オレたちひょうきん族」のタケちゃんマンのディレクターをやっていた方なんですよ。有名な方なんですけどね。で、その方がそれはありだと。ピンときたわけですよ。で、僕は小堺さんありきで考えたんですよ。

森上:なるほど、なるほど。

鶴間:小堺さんっていうのは、欽ちゃん(萩本欽一)にも似てて、司会者としてゲストによく気を使える方なんですよね。だから、いろいろな引き出し方ができる。余計なことは喋らず、邪魔もしないと。邪魔もしないっていうことは、サイコロのテーマがはっきりすると、ゲストの方で女優さんとかが来たときに、「情けない話。私ないわー。あるかしらー」って言うわけですよ。そうすると、小堺さんが「何でもいいんですよ」って、例題を挙げて「昨日つまずいた話でも、台所ですっころんだ話でも構いませんから」って。それで、「そういう話でいいの? そういう話も情けない話よねー」って。要するに、ちゃんとサンプルを横で言える人なんですよね。

森上:なるほど。もうそれは放送中に言っちゃうんですね、あえて。

鶴間:そうです、そうです。話が浮かばない人に対しては、ヒントって言うか、ちゃんと入り口を教えてあげられる人なんですよ。だから、小堺さんありきでその企画が浮かんだんですよ。

森上:なるほど。それは、逆にタモリさんとか徹子さんとはまた違う特徴と言うか。

鶴間:そうなんです。しかも、毎日あるわけですよ。月曜から金曜まで。週に一回となると企画がまたちょっと変わるんですよね。毎日、人が1人ずつ入れ替わるっていうシステムも三宅ディレクターと一緒に考えたわけですよ。「これは1人ずつ入れ替わって、ずれていくのがいいね」って。そうすると、テレホンショッキングは1日1人だけど、こっちは3人いて、1人がずれると。マネにはなってないぞと。ちゃんと「サイコロトーク」っていう企画があるから。

森上:なるほど。

鶴間:それで昔、関西のほうで、でかいサイコロを転がすコーナーがあったんですよ。

森上:ほう、ほう。それは普通の目があるやつ。1から6までの。

鶴間:それは普通の1から6までのものなんですけど、それを2つ転がすんですよ。水色のサイコロとピンクのサイコロを。「愛ラブ! 爆笑クリニック」だったかな? 女の人がピンクのサイコロを転がして、1が出たとしますよね。で、男の人がサイコロを転がして3が出たとしますよね。そうすると、6個ずつのマス目があって、1と3のところを開くわけですよ。回転させる。1の3とかね。それで、裏に書いてある商品をもらえるんですよ。

森上:ああ、なるほど。

鶴間:それで、そのサイコロが見事にグラグラしてたんですよ。

森上:ドキドキしますね、それ。

鶴間:そうなんですよ。だから、そのサイコロを美術発注するときに、三宅ディレクターに「グラグラするサイコロを作ってください」と。

森上:そのときの経験があったから。

鶴間:ぺたーんって決まっちゃうと、あっけないんですよ。あれ、1回戻ったりをよくしてたじゃないですか。

森上:はい、はい。ぶつかってね。

鶴間:美術さんが一生懸命丁寧に作ってくれたんですよ。だから、1個30万円ぐらいかかったとかいう話で。それくらい精巧なので、噂であの中にリモコンが入ってるんじゃないかと。

森上:(笑)。

鶴間:あまりにもコロコロ転がるから、そういう都市伝説もあったんですよ。

森上:なるほど。そういう「ハラハラドキドキさせるサイコロにしましょう」とか、その辺の発想まで放送作家、ディレクターの仕事であるという感じなんですね?

鶴間:それで、ディレクターが「じゃあ、情けない話とか、恋の話って会場の人に言わせよう」って言うわけですよ。「言わせたほうが盛り上がるね」って。小堺さんが出た目を「情けない話―!」って振ると。でも、情けない話だと長いと。で、ディレクターが「じゃあ、小堺さんは情けない話だけども、お客さんは“なさばな“って呼ばせよう」と。

森上:なるほど。

鶴間:だから、そうやって小堺さんが「恋の話―!」って言うと、「恋ばな」って返ってくるんですよ。それを前説で練習するんですよ。そういう流行語になるような、みんなが言いやすくて、耳馴染みが良いような、そういう信号、シグナル、暗号とか、そういうものをどうやってブームにするかっていうことも考えながら番組をつくるんですよ。

森上:なるほどね。それは、放送作家である鶴間さんがアイデアを出す場合もあるし、それを広げるのがディレクターだったりとか。

鶴間:そうです。

森上:その逆の場合もあったりとかするんですか?

鶴間:そうですね。お互いがアイデアを出して揉むわけですよね。

森上:なるほどね。じゃあ、言い方が合っているかどうかはわからないですけど、ディレクターさんのブレーンって感じですかね?

鶴間:そうですね。サポーターですよね。

森上:サポーター。なるほどね。

鶴間:まあ、ある種、バディですよね。

森上:うん、うん。じゃあ結構、三宅さんとご一緒されていることも多かった感じですか? フジテレビだと。

鶴間:三宅さんと本格的にやるようになったのは、「ごきげんよう」の前に「いただきます」っていう、おばさんたちが言いたい放題の悩み相談をやっていた番組があって。

森上:小森のおばちゃまとかが出てくるやつ。

鶴間:そうです、そうです。塩沢ときさんとか、そういう人たちが悩みに対して、「そんなの悩みのうちに入らないわよ」って言って、「ケツの小っちゃい男だなー」とかね。そういう、言いたい放題の女性ならでの豪快さ。そのときに初めて三宅さんとタッグを組んだんですけれども、その流れで企画変更で、スポンサーはライオンさんで一緒なんだけども、違う企画でいこうということで、また三宅さんとずっと一緒で、それが続いてたっていう。

森上:なるほど。相当長寿番組だと思うんですけど、あれは何年くらい続いたんですか?

鶴間:「いただきます」が始まったのは1984年ですね。それで、サイコロトークが始まったのが1991年です。7年やって。

森上:じゃあ、25年くらい?

渡部:30年前。

鶴間:30年ですね。

森上:すごいですね。その前身の「いただきます」を含めるともう30年近くライオンの提供で。

鶴間:ライオンの提供はトータルで32年やったんですよ。32年半。

森上:すごいですね。やっぱり、サイコロトークが本当に鉄板企画になったっていうのは、長寿番組としての肝になったことは間違いなさそうですね。

鶴間:そうですね。だから、ずっと考え続けていたわけですよ。いきなり思いついたわけじゃなくて、考える練習というか、考えることを続けて、そこにたどり着いたってことですよね。

森上:なるほどねー。

鶴間:「いきなり閃く」って言いますけど、何も考えてないのに、いきなり閃くことはないんですよ。

放送作家になった経緯

森上:いや、これは勉強になる話ですね。かなり戻っちゃうんですけど、鶴間さんが放送作家になった経緯を簡単に教えていただけますか?

鶴間:高校時代に僕はコント55号のファンで、欽ちゃんがピンで仕事するようになって、昭和47年、僕が高校3年のときに「欽ドン!」っていう、「欽ちゃんのドンといってみよう!」っていうラジオ番組がスタートするんですよ。そこでコントだったり、おもしろネタを募集していて、それの常連になるわけです。

森上:いわゆる「ハガキ職人」っていう。

鶴間:そうですね。そのときは「ハガキ職人」っていう言葉はなかったんですけども。

森上:そうなんですね。

鶴間:それで、たまに読まれるわけですよ。そうすると、「お! また鶴間から来たよ」って欽ちゃんが言ってくれて、それがうれしくて投稿が続くわけですよね。読まれたりして、欽ドン賞とかもらったりするわけですよ。賞金をもらったりするわけですよ。

森上:番組内でそういう制度があるわけですね。

鶴間:集英社が提供だったんで、1番賞金をもらえるのは「ジャンプ賞」なんですよ。「non・no賞」とかね、「Myojo賞」とかね。集英社の本(雑誌)の名前が付いているんですよ。そういう賞をもらうわけですよ。それで、「欽ドン!」のハガキを読んでいるスタジオに「パジャマ党」っていう4人の先輩の作家がいて、ハガキを選んだりして、欽ちゃんの横で笑ってるんですよ。

森上:なるほど。放送作家の「パジャマ党」というグループがあったんですね。

鶴間:ブレーンとして、その空間にいるわけですよ。それで、あそこに行きたいなあとか思いながら、投稿してるわけです。それであるとき、それがテレビの企画になるわけです。「良い子 悪い子 普通の子」よりも前の昭和50年にテレビの「欽ドン!」がフジテレビの土曜日の夜7時半から9時まで、90分番組として大ヒットするんですよ。それで、次の世代の作家集団をまた育てよう、と。

森上:なるほど。先輩集団、後輩集団みたいな感じでもう1つ。

鶴間:先輩が当てたんで、また世代の若い作家グループを作ろうと。それで、「欽ドン!」で投稿している常連から1人、僕が選ばれたわけですよ。

森上:すごいですねー。

鶴間:それが、すごくないんですよ。実は当時、僕が大学3年から4年になるときにラジオの「欽ドン!」は続いていて、テレビの「欽ドン!」は大当たりしているわけですよ。両輪が動いてるんですよ。それで、当時、ランキングってやっていて、番付表ですね。読まれると番付が上がるわけですよ。「これおもしろかったね」って。それで僕はいつも10位ぐらいをウロウロしていたんですよ。
それで、欽ちゃんに後々何十年後に、「なんでランキング10位の僕が呼ばれたんですか?」って聞いたら、欽ちゃんが「あれね、1位から電話したんだよ。で、1位の人が“医者になる夢がありますのですみません”、2位の人が“実家の酒屋を継ぐのですみません”、3位の人が“先生になりますのですみません”って、9人皆が断ってくれたんだよ」と。「だから、お前のところにお鉢が回ったんだ」と(笑)。

森上: 10番目(笑)。

鶴間:10番目なんですよ(笑)。

森上:いや、それもってますね。

鶴間:そういった意味で引きが強いですよね。みんながやめてくれたから(笑)。

放送作家集団「サラダ党」で才能を発揮

森上:まあ、それもご謙遜されているところが十二分にあると思うんですけど。鶴間さんの先輩にあたるパジャマ党の作家さんはすごい方ですよね。大岩さんとかそうですよね。

鶴間:大岩賞介さんですね。

森上:今も放送作家をバリバリ。

鶴間:バリバリですね。

森上:「踊る! さんま御殿!!」とか。

鶴間:やってますね。

森上:そこに3人くらいいらっしゃった?

鶴間:4人ですね。大岩賞介さん、詩村博史さん、永井準さん、鈴木しゅんじさんって言う。もうお二人亡くなっちゃったんですけどね。

森上:鶴間さんは後輩分として「サラダ党」っていうところの(グループに入った)。

鶴間:そうです。それで、サラダ党で考えたのが、「欽ドン!良い子悪い子普通の子」っていう、月9でやっていたやつですね。

森上:この(番組)タイトルは、鶴間さんが考えたってお聞きしたんですけど。

鶴間:タイトルは僕が。たまたまなんですけど。

森上:いやー、これが最後に「普通の子」って。

鶴間:欽ちゃんが「素人しかこのタイトルは思いつかない」って言うんですよ。どういうことかって言うと、「良い子 悪い子 普通の子」って……。普通は三段オチだと。「良い子 悪い子 マヌケな子」とかね。ドジな子とかね。普通は落とすって言うんですよ。「良い子 悪い子 普通の子」って落ちてもないと。なんで普通の子なんだと。これは、素人しか思いつかないと。だから、欽ちゃんは俺が思いつかない目線だと。これは何かあるかもしれないってピンときたらしいんですよ。

森上:そうなんですね。確かに「普通の子」って、いい意味で素人感覚の鶴間さんの発想が生きたタイトル。

鶴間:そうですね。要するに「普通の子」の長江健次くんって子がスターになったわけですよね。逆に言うと、ハードルを低くしたっていうことなんですよね。

森上:なるほど。

鶴間:それで、良い子と悪い子がオチになったわけですよね。タイトルの並びでは落ちてはいないんだけども。それで、欽ちゃんが言っていたのは「良い子 悪い子 普通の子」って語呂がいいって言うんですよ。

森上:確かに! 語呂が最高にいいですね。

鶴間:語呂の良さっていうのもやっぱりコピーですから、人の心をキャッチする何かがあったわけですよね。だから、「普通の子 良い子 悪い子」だと語呂が悪いんですよ。やっぱり日本人って七五調が好きだから、そこは僕もタイトルをつくるときに、そっちのタイトルで普通の子が最後になったと思うんですよね。感覚的には無意識ですけど。

森上:なるほどね。どうですか? 渡部さん、いろいろとお聞きしてきましたけど。

鶴間:何か聞いてくださいよ。

渡部:僕なんかもう、今日そもそもパーソナリティと名乗って、ここにいていいのかって。

鶴間・森上:(笑)。

渡部:本当に読んでいるだけなんですけども……。最初のほうの話になっちゃいますけど、サイコロトークとかも含めて、めちゃくちゃ緻密に考えられているんだなっていうのを、お聞いてて、感じましたね。

放送作家も編集者も人間事業

森上:本当ですよね。ちょっとお時間が迫ってきちゃってるんですけど、もう1つ質問させていただきたいのが、番組が立ち上がります。局の中で決まります。そしたら、スタッフはそこから集まるんですか?

鶴間:番組のつくり方って2つか3つくらいありまして、「ごきげんよう」の場合は、ライオンさんのスポンサーありきだったので、「何をやってもいいよ」っていう太っ腹だったんで、そういうふうに企画を自由に考えられたっていうことが、いい環境だったということですね。現在のテレビのつくり方は、コアターゲット、若い10代、20代、30代までを目指した番組を作ってくださいっていう。今は番組のつくり方がちょっと変わってきちゃったんですよね。だから、本来なら「これがおもしろい」と思って番組をつくったのが結果、コアターゲットにも響いたっていうのが理想系なんですけども、でも、今はもうそういうことよりも、視聴率がそんなに取れなくても、スポンサーが販売したいターゲットの層にめがけて番組をつくってください、っていうつくり方にと変わってきてますね。

森上:なるほどね。例えば、国民的番組の「SMAP×SMAP」ってあったじゃないですか。あれって、初期のときから鶴間さんも企画を。

鶴間:はい。僕は(前身の)「夢がMORI MORI」っていう番組からやってましたんで。

森上:なるほど。そこでもうスタッフとして、名前が挙がっていたわけですね。

鶴間:同じスタッフで、今度はSMAPが1時間番組にグレードアップして、ゴールデン、 夜10時台ですけど、進出するっていうことで、また企画を練ったわけです。

森上:なるほど。それでいろいろなコーナーの企画を放送作家として考えていくと。

鶴間:はい。

森上:放送作家のお仕事は、本当に企画をどんどん立てていくお仕事だっていうことですね。

鶴間:基本的には「自分がおもしろいなっていうものを考える」っていうのがベースですよね。演者がいて、仕組みを考えるっていうことですよね。で、マネじゃないということですね。

森上:なるほど。いろいろな企画を立てるお仕事にかかわっている方がリスナーの方にもいらっしゃいますけど、我々もそういう仕事なんですけども。

鶴間:基本的に、作家も出版も接客じゃないですか。テレビは見ているほうが直接は見えないけども、接客ですよね。リピート力ですよ。また来週も見ていただくってことです。だから、食堂だったら、ラーメン屋さんだったら、「また、来週も食べに来てください」っていう、「また、来週も食べたいな」っていうのと、同じなんですよね。「また来週もテレビ見たいな」っていうのと。サービス業としては、お客さんの心理をどうキャッチするかっていうことだと思います。

森上:一発で終わらないっていうことですね。

鶴間:そうですね。継続させるっていう。

森上:なるほど。「企画の立て方」とか、そのための「発想法」とか、いろいろ聞きたいんですが、渡部さん、ちょっとお時間が……。

渡部:そうですね。今日の放送では鶴間さんがどのような放送作家人生を歩んでこられたのか、放送作家っていうのはどんなお仕事なのかっていうのをおうかがいしました。実は明日もご登場いただけるということですので、明日は、具体的に「企画のネタの見つけ方」だったり、「企画の立て方」、そのあたりを詳しくおうかがいしたいと思います。
Voicyのリスナーの皆さんだと、エンタメだとか、コンテンツビジネス、教育ビジネスに興味がある方も大勢いらっしゃると思います。あらゆるビジネスに役立つお話になると思いますので、ぜひ明日もお聞きいただければと思います。鶴間さん、森上さん、本日はどうもありがとうございました。

鶴間:ありがとうございました。

森上:ありがとうございました。

渡部:森上さん、明日はサイコロを用意しておかないといけませんね。

森上:サイコロトーク(笑)。そうですね!

渡部:僕も「なさばなー」って言いたいです。

鶴間:サイコロの表面に「企画の立て方」とか、いろいろ項目を書いておいてください(笑)。「企画の発想法」とか。

森上:それを渡部君が転がすということで。

渡部:そうですね。ありがとうございます。それでは、また明日もぜひ楽しみにを聞いていただけければと思います。ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?