こころの痛みを和らげる音楽のチカラ
フォレスト出版編集部の寺崎です。
昨日、俳優の竹内結子さんが亡くなったニュースが流れました。死因はうつ症状による自殺ではないかという噂が飛び交っていますが、三浦春馬さんの自殺もしかり、どんな理由であれ、誰かが自ら命を絶つことほど、悲しいニュースはありません。
私自身は「うつ」をはじめとするメンタル系の症状にかかったことがなく、想像することしかできませんが、苦しんでいる当のご本人に伺うと、ホントに心底苦しいそうです。
そうした苦しんでいる人が少しでも笑顔になれば・・・との思いで企画して刊行した書籍がありますので、今回はその内容をご紹介したいと思います。
『聴くだけうつぬけ』というタイトルです。
著者の橋本翔太さんはご自身もうつ症状で死ぬほど苦しんだ時期を経験され、回復する過程で自ら実際に試してきて効果があったことをベースに書かれています。
「どんなに強い意志力をもっても、どうしても朝が起きられない」
「自分だけ重力が人より10倍かかっているように体が重苦しい」
「今までできていたことができない絶望感」
「何もかもを悲観し、自分を責めてしまう」
「誰にもわかってもらえない孤独感」
「理解されずに人が離れていく悲しさ」
希望がなくなり、存在を消したくなるところまで追い詰められたボロボロの心。私はそんな絶望の谷底から生還してきたひとりです。
「うつ」は、本人以外には、その苦しみはわかりません。
でも、大丈夫。
どんなに苦しくても、うつ、心の不調はかならずよくなります。
当時の私は必死で助けを求め、西洋医療だけではなく、東洋医療、代替療法まで、数え切れないくらいの専門家のドアを叩きました。
本もたくさん読みました。
しかし、人によって言うことがまるで違うし、それぞれが批判しあっているので、混乱するばかりでした。治らないかもしれない絶望の中で、頼れる人が見つからず、情報ばかりが溢れて余計に苦しくなりました。
結局、誰ひとり、正解を教えてくれた人はいませんでした。そこで、自分自身を実験台にして、年単位でひとつひとつ、根気強くあらゆることを試していったのです。
回復する過程で、明らかとなってきたことがあります。
まず、長年取り組んできた音楽療法が、心と体の架け橋になり、心の不調をやわらげてくれる心強いサポーターになることを、改めて強く再認識したのでした。
目に見えない音楽には、同じく目に見えない心に働きかけて、あなたをサポートする力があるのです。
そして、心の回復には、体のアプローチ、心のアプローチの両方が大切で、多角的にバランスよく取り組めば、うつや心の不調から抜け出せる。
ついにそうわかったのは、自分の経験を通してでした。
心の不調が治らない人は、そのバランスが偏っているのです。
本書では、私が暗闇でもがきながら、症状を回復させていく中で見つけてきた、確かに効果のあった方法だけを、心と体の両方の側面からご紹介しています。そして付属音源「ピアノセラピー」が、今そばにわかってくれる人、頼れる人がいなくても、あなたに寄り添い、隣で支える伴走者になってくれます。
うつ、心の不調からの回復において、私はずいぶん遠回りをしました。
ただでさえ苦しいのに、遠回りによってさらに苦しむ時間が増えました。
みなさんには同じ思いをしてほしくありません。
本書を通して、回復のためのヒントを具体的に示します。
暗闇を照らし、あなたを出口へと導く目印になるよう、この本を作りました。
うつ・心の不調の渦中では、本を読むのもつらいものです。
最初は付属音源「ピアノセラピー」を聴くだけでOKです。音楽療法的視点から心の症状に合わせて私が作曲・演奏しており、聴くだけで心の不具合がやわらぎ、苦しみから一歩抜け出すためのサポートをしてくれます。
その上で、本文のヒントを少しずつ取り入れていきましょう。本文では図説やイラストを多用し、簡潔に、かつ気軽に読んでもらえるように工夫しました。付属音源「ピアノセラピー」を聴きながら、気楽に読み始めてみてください。
うつの回復には3つのアプローチが効く
「聴くだけ」といいながら、こういうことを書くと「タイトル詐欺」と呼ばれそうですが・・・本書で解説されるメソッドは「音楽を聴く」だけでなく、全部で3つのアプローチで「うつ」をやっつけます。
うつという心の不調のトンネルから抜け出すためには、心と体の両方から多角的に働きかけるのが一番の近道です。そのために、本書ではつぎの3つのアプローチを柱にご紹介していきます。
①音楽療法のアプローチ
②心理面のアプローチ
③栄養面のアプローチ
これらのアプローチで、私のクライエントの多くが心の不調から回復していきました。
本書が魔法のように一発でうつを消し去る解決方法にはならないかもしれません。しかし、あなたのうつをほぐし、やわらげ、隣で寄り添ってくれる、一緒に回復への道のりを歩むサポーターになってくれます。
さらに心の不調がよくなってきてからも、不調を再燃させないためにも役立ちます。
もともと音楽の教師を務め、音楽療法の専門家でもある著者の橋本さんは、心のエネルギーチャージに音楽が効くことが、理論的にも、体験としてもご存じです。みずからの体験ベースに語られている点に信頼感があるメソッドです。
「音楽」がうつを改善させる
音楽療法のアプローチでは、本書に収録したオリジナル音源「ピアノセラピー」を使って聴くだけで、うつ、心の不調をやわらげていく方法をお伝えします。
枯れ果てた心のエネルギーのチャージには、音楽がとても役に立ちます。私のピアノ音楽は過去15年間、おかげさまで多くの方にご利用いただき、その都度、作った本人もびっくりしてしまうような効果と感想をいただいてきました。
心理面の問題を解決するために、この音源を使った簡単なワークもご紹介します。
私自身、音楽がだいすきで、音楽で救われた経験は数知れず。No Music No Life。音楽が人のこころを救う作用があるのは、すごくリアルに想像できます。
回復段階によってアプローチが変わる
うつ状態を改善するためには、「心の不調のグラデーション」という考え方をするように著者は指導しています。
心の不調にはグラデーションがあります。
自分が今いる不調の段階に合わない情報は混乱と自責の原因になります。
心の不調の段階、エネルギーの状態を「マイナス」「ゼロ」「プラス」の三段階におおまかに分けるとしましょう。
回復段階に合わないアプローチは有害
「マイナス」段階の人は、まずは休養が第一です。人によっては入院や投薬も大切な選択肢になります。そこに加え、栄養療法です。栄養を取り入れて体と脳を回復させることが「マイナス」から抜け出すのに非常に役立ちます。
心理学で自分を見つめることも、取り組めばよいというものではありません。例えば認知行動療法は「マイナス」を抜けて「ゼロ」あたりに落ち着いた頃に、はじめるべきです。
人気のアドラー心理学が効果を発揮するのは「プラス」のあたりにまで回復した人です。スピリチュアル系や自己啓発本も、そこそこエネルギーが回復していないと、かえってできない自分を責める原因になる場合があります。
なお、音楽療法は、どの状態においても役立ちます。
一言にうつといっても、状態や回復には段階があり、その段階によって取り組んだ方がよいものが変わってきます。このことがあまり知られていないために、病の渦中にある方の混乱のもとになっています。
見極め方は、自分がそれをすると苦しくなるものはやめる、距離を置くということ。どんなに人気の本でも、読んでいて苦しくなるのなら、今は必要のない証拠です。
【マイナス状態のときに取り組むもの】
◎休養
◎栄養
(人によっては入院・投薬)
【ゼロ状態のときに取り組むもの】
◎認知行動療法
◎心理学的アプローチ
【プラス状態のときに取り組むもの】
◎自己啓発
◎アドラー心理学
◎スピリチュアル
「音楽」はすべての状態に効く万能薬なんですね。
うつの原因はあなたの性格ではない!
「『うつ』なんて、ただ怠けてるだけじゃないか」とか、「うつ病って、それウソでしょ?」と、症状に理解がない人がいたりします。そんな境遇に陥る人に著者はエールを送っています。
うつになりやすい性格チェックなどはあてになりません。
私は家庭環境といじめで子供の頃から苦しんできたことを機に心に関心を持ち、心理学を学びました。しかし自分がうつ、不安神経症などの症状を抱えてしまったときには、この道のプロなのに情けない、心や性格が弱いからだと自分を責めました。
心の病は、本当に誰がなってもおかしくありません。
うつとは無縁そうな、豪快でポジティブで、「自殺なんて迷惑だ」「死ぬなら迷惑をかけるな!」などと力説し、成功しているように見えていた人が、ある日カクンとうつになって死を選んでしまうことが実際あります。
これだけがん罹患率が急上昇している今の時代に「私は絶対にがんになどならない」と断言できる人はいませんよね。
それと同じことなのに、うつに関してはみなさん態度が変わります。
あなたの性格があなた自身を助けてきたことを忘れないで
日本でもうつに対する偏見があります。うつは性格や根性の問題ではないのに、「うつは弱い人がなるものだ」「うつは甘えだ」という偏見を持っている人は(声に出さなくても)まだまだいます。
うつが相手にわからないのは、心の不調は外から見てわかりづらいのも理由のひとつだと私は思っています。怪我をして足を引きずっているわけでもないし、出血もしていません。心疾患やガンのように、病気としてのわかりやすさがありません。
そもそも誰かに言われなくても、うつになると、とにかく自分を責め続けます。
でも、「精神的に弱いから、必要以上に繊細すぎるから、だからうつになったのだ」などと自分の性格を責めたりしないでください。その性格気質が、あなたの人生を助けてきたことを忘れないでください。
私自身、子供の頃から神経質で繊細すぎるとよく言われました。人混みが苦手で、相手の感情に影響を受けやすく、必要以上に情報をくみとってしまうため、非常に疲れます。考えすぎて動けなくなることもあります。
しかしこの繊細さのおかげで、季節の風の移り変わりから感じた切なさを音として紡ぎだして曲にしたり、相手の些細な悲しみを感じ取って声をかけたりすることができます。考えすぎは思慮深さとなり、観察力を得て文章を書くときに役立ちます。利点もたくさんあり、それは自分の人生を豊かにし、大いに自分を助けてもくれました。
あなたも同じです。
自分の性格のおかげで沢山メリットがあったのを今は忘れているだけです。あなたの性格を責めるのはやめましょう。
うつの理解がない人からはしっかりと距離を置き、自分を守ってください。
何か理由があるから死にたいのではない
うつ状態の最悪の結末は「死」です。最愛の人、友人、仲間をそんな形で絶対に失いたくないですよね。では、なぜ、うつ症状が原因で自殺を引き起こしてしまうのか、わかりますか。じつは、その原因は脳のプログラムの誤作動だったのです。
うつや心の病でつらいのは、苦しいだけではなく、死にたい気持ちが湧いてきてしまうことです。
死にたい気持ちは「脳の不具合」から起きています。
そもそも、生き物は生きようとするプログラミングがされています。ところが真逆の「死にたい」という気持ちが湧いてきているのですから、これは脳のプログラムが狂ってしまっている証拠です。
あなたが弱いから脳のプログラムが狂ってしまったわけでもありません。
心理カウンセラーの下園壮太氏は『自殺の危機とカウンセリング』の中で次のように述べています。
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まず、カウンセラーがどうしても理解しておかなければならないことがあります。
借金があるから、恋人に振られたから、職を失ったから……、自殺の動機にはさまざまなものがあります。落ち込んで死にたいという原因があるのなら、その原因を取り除くことで、死にたくなくなるはずだ。このように考えるのが普通です。
そこでカウンセラーは希死念慮に至る経緯を聞き、「そんなに辛いことがあるなら、死にたいと思うことは、しょうがない」と思うか、逆に、「そんなことで、死にたいと思うことはないではないか」と考えてしまいます。
前者の思考を取るカウンセラーは、クライエントのストレス源(例えば、借金、仕事上の問題、夫婦問題など)を改善することを考えます。後者の思考を取るカウンセラーは「そんなに思いつめることはないではないか。人生は考え方一つだ」と、思考を変えるための説得を始めます。
しかし、大概の場合、どちらもうまくいきません。クライエントが「死にたい」と思っている、その原因がたまたまうまく解消したとしても、今度は別の理由で死にたくなることが多いのです。
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「死にたい」原因は脳のプログラムの誤作動
この後、具体例が続くのですが、借金と離婚問題を理由に自殺未遂をした人で、一命を取りとめ、2か月病院に入院して「うつ状態」に対する治療を受けた方がいたそうです。
すると本人は自殺を図った頃の「死ぬしかない」という切羽詰まった思いが消え、退院するころには死にたいとは思わなくなっていたそうです。借金と離婚問題は何の進展もなく、むしろ入院中にさらに悪化しているにもかかわらず、です。
苦しみと自殺企図の原因であると思っていた理由(このケースでは離婚と借金)が直接「死にたい」という気持ちに結びついていたわけではなかったのです。
では、原因は何だったのか。
下園氏は、脳の神経伝達物質が乱れることによる、脳のプログラムの誤作動であるとしています。よって「表面的理由」に対処してもほとんど効果はないのです。
何か原因があって死にたくなるのではありません。
「死にたい気持ち、脳と心の状態」が先にあって、脳がその死にたい気持ちを理由づけるために、外側から、もっともらしい事実を見つけて、本人にそれが死にたい理由だと思わせてしまう、ということが起きているのです。
実際、ひどく体調が悪いと、天気が悪いだけで、世の中に責められているような気持ちになり、コーヒーをこぼしただけで、自分は無能だと感じて、死にたくなることもあります。
さきほどの事例の患者さんの脳のプログラムの故障につながったきっかけは、借金と離婚だったかもしれません。しかし、脳の誤作動によって「死にたい気持ち」が発動してしまった後は、仮に借金と離婚問題が解決しても、今度は自分の健康問題に絶望したり、仕事の取引先とうまくいかないことで絶望したり、なんだかんだと、脳が死にたい気持ちを正当化するための理由を外側から見つけてこようとするのです。
逆に脳のプログラムが正常になってくると、前向きで、明るい発想が自然とできるようになっていきます。視野が広くなり、問題の解決方法はたくさんあることに気づけるようになります。
「死にたい原因」「死にたい理由」があって、死を選ぶわけではないという話。わたしはこの話を知って衝撃を受けました。まず、その事実に驚いたのと同時に「だったら、自殺を止めることはできない」と思ったからです。
でも、だいじょうぶ。
本書で紹介する「音楽」「心理」「栄養」の3つのアプローチを実践することで気持ちが上向き、「心の痛み」はやわらぎます。
いままさに「死にたい」と思っている人がいたら、以下の著者・橋本翔太さんのメッセージを読んでほしいです。
「生きるため」に「死にたい」と願う矛盾
たとえ脳の不具合で死にたいと思っているのだとしても、「死にたい」と口にすると、「絶対そんなのダメだ!」「まだこの先の人生どうなるかわからないだろ!」などの感情的な反応が返ってくることが多いかもしれません(相手もどう返したらよいのかわからず混乱してしまっているのです)。
うつの苦しみ、人生の苦しみの中にいる人にとって「死」とは、この苦しみを終わらせるためのボタンです。そしてこのボタンが手元にあることが、逆にもう少しだけ生きてみようと思える理由にもなります。
矛盾しているように感じますか?
うつの渦中にいると、この苦しみが永遠にこの先もずっと続くように思え、自分では苦しみをコントロールできず、とても耐えられないと何度も思います。
しかしこの苦しみを終わらせるための「死」だけは、自分でコントロールできる部分であり、いつでも死ねると思えることに、安心感を感じることができるのです。
学生時代のマラソンを思い出してください。
走り出したものの、10キロなんてとても走れない、お腹も痛い、もうやめたいと思ったことでしょう。それでも、「次の電柱までは走ろう」、そうやって、次の電柱まで、次の電柱までと、ちょっとずつ走り続けたことはありませんか。
死にたい人の気持ちも同じ感覚です。大きな苦しみを抱えながら、見えないゴールに向かって走り続けるのは絶望そのものです。
「あと一年生きたらやめていいよ」
「次の誕生日まで生きたら人生のレースから降りていいよ」
そうやって自分を励まして走ろうとしているのです。
死という選択肢から生まれる、「いつでもこの苦しみから脱出できる」という安心感のおかげで、もう少し生きてみようと逆に頑張ることができるのです。
死にたいという人は、死にたい気持ちも本当なのだけれど、それでもなんとかして生きたい、この苦しみから脱出したいという気持ちも本当で、むしろなんとかしてでも生きたいと心の深いところで本当は叫んでいます。
「生きるために死にたい」
死にたいという思いは、なんとかしてでも生きたい、という自分への励ましです。そのことを忘れないでください。
音楽のエネルギーは心と感情に作用する
最後に、本書のメインテーマである「音楽」がうつ症状に効く理由をご紹介したいと思います。
音楽は理屈なしで心にダイレクトに作用します。わざわざ音楽療法と言わなくても、音楽で心が元気になったり、音楽でグッときて涙ぐんでしまった経験をしたことが、あなたにもあるはずです。
音楽のない映画を想像してみてください。悲しみの場面も、緊迫した場面も、だいぶ薄まってしまいます。逆に音楽により、あらゆるシーンがよりドラマチックになり、気持ちを高め、感動が増幅されます。結婚式でも曲選びのセンスがいいと、思わず感極まって泣いてしまったりしますよね。
音楽はエネルギーそのものであり、目には見えませんが、このエネルギーは私たちの心に直接働きかける力を持っているのです。
実際、音には力があります。高周波を聴くと脳が活性化して元気になる。風力発電の風車から出る低周波により周囲の住民が頭痛など体調不良を訴える。これらも音にエネルギーがあるがゆえの現象で、音は人に影響を及ぼします。
感情も心も目には見えませんが、私たちは確かにそれを感じます。怒りも悲しみも喜びも全てエネルギーです。音楽も感情も目に見えないもの同士、強く反応しあうので、音楽は感情、心のコンディションに作用しやすいのです。
目に見えない「音楽」は目に見えない「うつ」と相性がいい
目には見えないけれど確かに存在する音楽は、同じく目には見えない心の不調に優しく浸透して、不安や悲しみ、怒りといった心のマイナスを緩和することができるのです。
その力はみなさんが思っているよりもずっと強力です。
ただ注意点がひとつだけあります。
音楽療法の基本に 「同質の原理」 という考え方があります。そのときの感情に近い音楽を活用するという法則で、悲しいときには静かで落ち着いた音楽を、怒りなどで興奮しているときにはアップテンポの音楽を聴くのがよいという考え方です。
気持ちが落ち込んでいるときは、ダンスミュージックのような、元気で激しい曲が気持ちを盛り上げてくれそうな気がしますが、これは間違いです。
気持ちが音楽についていけず、同調できずにかえって落ち込みが強くなってしまうことがあるからです。
うつのときに、元気でポジティブな友人に会って、やたらと元気よく接してこられても、こちらは委縮してしまいますよね。こちらの沈んだ状態に静かに寄り添ってもらえてはじめて「つらいんだ」と心を開いて痛みを分かち合えます。
同様に、音楽があなたの心に寄り添ってくれると、その感情は消化されはじめ、エネルギーが回復します。
誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になるのと同じで、あなたに寄り添ってくれる音楽は、それだけであなたのうつや心の不調をやわらげてくれます。
私自身、気持ちが落ち込んだり、疲れたときによく聴く音楽に矢野顕子の『ピアノナイトリィ』というアルバムがあるのですが、これは「同質の原理」にかなっていたというわけです。
本書『聴くだけうつぬけ』には著者・橋本翔太さんが15年以上にわたり研究を重ねた音楽療法の効果の詰まった音源を収録したCDも付属しています。タイトル通り、本文を読まなくても、付録CDを聴くだけでも効果があります。もし、あなたがいま苦しい渦中にあるなら、ぜひ試してみてほしいです。「どんな曲なのかな?」と気になったひとは、以下リンクの特設サイトで試聴できます。
著者・橋本翔太さんからのメッセージはこちら↓
※生演奏が観れます
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