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人の本質を見抜くには「4つの階層」に分解すればいい

フォレスト出版編集部の寺崎です。

本日より発売開始された『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』(小野壮彦・著)は、タイトルの通り「人を選ぶ」という局面における考え方、メソッドをまとめたものです。

「人を選ぶ」ときに必要となるのが、「人を見る目」。

この「人を見る目」という代物は持って生まれたセンスでしょうか?

応えは「NO」。

本書では「人を見る目は鍛えられる」と明言しており、その方法論をまとめたのが『人を選ぶ技術』というわけです。

ただし、やみくもに実戦で鍛えてもダメなのは、誰の目にも明らかでしょう。そこには「人を見るための思考の枠組みとなるフレームワーク」がありります。

今日は『人を選ぶ技術』の中核となる、このフレームワークについて解説します。それでは、該当部分を抜粋していきます。

人は「4つの階層」で構成されている

 人と会うとき、相手を見抜こうとするとき、ぼくらはどうすればよいのだろうか。
 どうやって「人を見る」という力を磨くのか。鍛えるのか。
 これまで述べてきたように、ほとんどの方は、この分野において、きちんと教育・トレーニングを受けていないはずだ。そのような場合、やみくもに動いても結果はついてこないだろう。
 そこで、まずはある程度の「型」を体に入れておくことが近道となる
 空手や剣道などの武術と似ているかもしれないが、最初に「フレームワーク(骨格、枠組みであり、構造)」を自分の中に取り込んでしまうのである。
 人を見るための思考の枠組みとなるフレームワークを持ってはじめて、なりゆき任せではない、意志を込めた試行錯誤が可能となり、習得が進むのである。
 スポーツ経験者ならわかるだろう。
 筋肉トレーニングも、やみくもに回数をこなすだけでは効果が出ない。正しいフォームと適切な負荷で、どの部位の筋肉を動かすかを意識し、意志を込めたルーティンをコツコツとやり切ることがコツだ。
 日々のトレーニングにセンスは要らない。
 全くそれと同じだと考えていただきたい。

 さて、ここからは、世界最先端のトップファームで磨かれてきた秘伝の知恵を初公開する。ひとつひとつ丁寧にみなさんに紹介していきたい。
 人を見るためのフレームワーク。
 それは次の通りだ。

小野壮彦『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』78ページより

 いかがだろうか。人を見るにあたっては、人間を建築物のように、階層として捉えてみてほしい。イメージは地下深くにつくられた建物だ。
 地上1階が「経験・知識・スキル」、地下1階が「コンピテンシー」、地下2階が「ポテンシャル」、そしてもっとも最下層の地下3階が「ソース・オブ・エナジー」だ。
 1階が表に出ていて、地下1階、地下2階、地下3階へと深く掘り下がっていく。
 そんな建物はなかなか世の中に存在しないと思うが、想像力を働かせていただきたい。ぼくのイメージはパリのルーブル博物館にある、ルーブル・ピラミッド。表は三面のガラスのピラミッドだが、実は地下には広大なスペースが広がっている。
 もう少し近いイメージがないものか調べてみたら、メキシコの建築家エステバン・スアレス氏が2011年にデザインした、逆ピラミッド型の超深層ビル「アース・スクレイパー」というクレイジーなコンセプト・プランを発見した。地下65 階建てはさすがにやりすぎだが、こういう逆さビルをイメージしていただけるとありがたい。

小野壮彦『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』80ページより
画像提供:Bunker Arquitentura

 浅いほう、つまり地上に出ているものほど他人から見えやすく、わかりやすく、そして変わりやすい。一方、地下に潜れば潜るほど見えにくく、わかりにくく、変わりにくい。
 ちなみに「人は変われるのか?」という、非常に大きな命題があるが、変わりやすい部分と、変わりにくい部分の両方があるというのが現時点での識者のコンセンサスだ。
 こうした建造物のように人の内面を捉えると、人を見ることが非常に楽になる。論理的に整理しやすいからだ。
 このフレームワークを覚え、意識を込めた試行錯誤を経られれば、人間の内面が設計図のように目の前に浮かび上がるようになる。
 興味をそそられただろうか。
 では、順を追って各階層に〝ダイブ・イン〟していこう。

朝倉祐介さんのVoicyチャンネル「論語と算盤と私とVoicy」にゲストとして著者の小野さんが登場していたとき、この「人間を4つの階層に分解する」という考え方を初めて聴いて目からウロコが落ちたのが・・・じつは本書の企画の発端でした。

※興味を持たれた方は下記リンクを聴いてみてください。

【小野壮彦1】経営と人のプロが教える「人を見る目」の鍛え方
https://voicy.jp/channel/621/298550

【小野壮彦2】人を見る目を養うための実践的なフレームワーク
https://voicy.jp/channel/621/298551

【小野壮彦3】人間のポテンシャルを見抜くための4つの観点
https://voicy.jp/channel/621/298553

【小野壮彦4】人のエネルギーの源泉は劣等感と使命感
https://voicy.jp/channel/621/298556

さて、4階層それぞれ、どういうことなのか、見ていきます。まずは地上1階、そして地下1階です。

誰でも見抜ける地上階
「経験」「知識」「スキル」

 地上1階にはとても見やすく、わかりやすく、そして変わりやすいものが格納されている。それは、その人の「経験」「知識」「スキル」だ。
 これらは、相対的には表面的なものであり、履歴書から簡単に読み解くことができる。誰が見ても、誰が聞き出しても、比較的見間違わないものであり、ファクトとして伝えられやすい。間違えにくくて、わかりやすいものなので、人を見る初心者でも自信を持って是非を判断しやすい。
 それもあって、残念ながらほとんどの面接は、この階層を触るだけで終わってしまっている。履歴書に羅列されている経験、知識、スキルと、自社が求めるものとのマッチングを確認して、あとはちょこっと人柄をチェック。
 最後にはやる気を確認して一丁上がり……という面接が実に多い。
 建物の1階だけを見て、全体を見た気になってしまっているのだ。

自分も採用面談の面接官の経験がありますが、たしかにこの地上1階部分の「経験」「知識」「スキル」しか見ていなかった気がします。この部分は「変わりやすく」「見えやすい」ために、どんなに人を見る目がない人でも容易に見抜ける部分です。

では、さらに地下に潜っていきます。
次は地下1階の「コンピテンシー」です。

地下1階の「コンピテンシー」とは?

 もう少しちゃんとした見極めをしたい。そのためには、より相手の「地下」に潜っていかなければならない。さて、地下1階には何が広がっているだろうか。
 それは「コンピテンシー」だ。
 コンピテンシーとは人事業界などでよく使われる概念・手法で、「好業績者の行動特性」と訳されている。1980年代後半にアメリカの人材活用の場で使われるようになった。
 これは1970年代にハーバード大学心理学科のマクレランド教授が、国務省のオーダーで、学歴や資格、スキル、知能レベルなど(地上1階部分)が同等の外交官に、業績の差がなぜ出るのかを研究したことがきっかけとして生まれたものだ。
 
 コンピテンシーとは、その人が〝どんなシチュエーションで、どういうアクションを取りがちか〞という、固有の行動のパターンだと理解していただきたい。
 相手のコンピテンシーがわかると何がいいかというと、相手の「将来の行動を予測」するのに使えるということだ。人間は似たようなシチュエーションで同じ行動を繰り返しがちであるという研究結果がその下敷きとなっている。

コンピテンシーとはつまり――
ある現象に対してその人が過去にとった行動から、その人の「行動特性」を見極めます。

「過去にとった行動」にはウソがないため、これから起こる似たような現象に対しても同じ行動をとる可能性が非常に高いわけです。

本書『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』では、このコンピテンシーを見抜くためのインタビューのテクニックも解説しています。

そのテクニックとは、一言でいうと「相手のエピソードを引き出す」のがポイントなのですが、このあたりは本書でご確認いただければ幸いです。

ここまでは著者の小野さん曰く「人を見る目がある会社はやっている」そうです。ところが、本書のキモであり、最先端の部分が地下2階の「ポテンシャル」。

少し記事が長くなりましたので、この4階層の地下2階以降の部分の紹介はまた改めて別の記事に書きたいと思います。

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