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#380【ゲスト/営業】新時代の営業で「変わること」とは?

このnoteは2022年4月26日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

一部で蔓延する「営業不要論」に対する回答

土屋:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める土屋芳輝です。本日は編集部の森上さんと共にお伝えしていきます。森上さん、どうぞよろしくお願いいたします。

森上:よろしくお願いします。

土屋:今日も素敵なゲストをお招きしているということなんですけれども。

森上:そうなんです。もうご存じの方はご存じの超人気の営業コンサルタントの方で、今回、うちから本を出していただいた方です。本当にお忙しい中、貴重なお時間をいただいて光栄でございます。

土屋:ということで、さっそくご紹介したいと思います。今日のゲストはアタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長の横山信弘さんです。どうぞよろしくお願いします。

横山:よろしくお願いします。

森上:よろしくお願いします。

土屋:では、私から簡単に横山さんのプロフィールをご紹介させていただければと思います。株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られています。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできました。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持ちます。日経ビジネス、東洋経済、プレジデントなど各種ビジネス誌への寄稿、多数のメディアでの取材経験があります。メルマガ「草創花伝」は4万人超の企業経営者、管理者が購読しています。著書は「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの他、『空気で人を動かす』など多数。著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されています。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売りとなっております。
ということで、そんな横山さんなんですけれども、4月12日にフォレスト出版から『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』という新刊を出してくださったのですが、横山さんから簡単に今回の本につきましてご紹介いただけますでしょうか?

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横山:はい。ありがとうございます。今回、4月中旬に『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』という書籍をフォレスト出版さんから出させていただきました。
特徴は、大きく分けると2つあります。1つ目がランキング形式で書かれてあるということです。もう1つは、営業第一人者の方々に取材をして1冊にまとめたということです。
まず1つ目のランキング形式ということなんですけど、新しい時代になって営業はどう変わっていくのか、変えていかなきゃいけないのか、これを第1位から第10位まで発表という感じで書いています。そして、変わらないことも当然あります。「変わらないことっていったいなんだ?」ということで、これも第1位から第10位まで勝手にランキングして書いています。このランキング形式で書籍が書いてあると非常に読みやすく、おもしろく読めるんじゃないかなということが1つ目の特徴です。2つ目は私が勝手に考えたというよりも、営業第一人者、「この営業第一人者って誰?」っていうことなんですが、これは半分以上の方は書籍を出されていて、出すだけでなく、もちろん売れている。71冊も営業本を出してるっていう方もいらっしゃいますし、本は出してないが、若くてツイッターとかユーチューブとかでもインフルエンサーとして非常に知名度を上げているような、そういう方々に声をかけさせていただいて、まとめたというところが2つ目の特徴です。ぜひよろしくお願いします。

森上・土屋:ありがとうございます。

土屋:この本の中には「新時代の営業として、変わること、変わらないこと」が書いてあるということなんですけれども、今日は、「変わること」についてお話をお伺いしたいなと思っております。

森上:はい。横山さんに「変わること」のお話をお聞きする前に、聞きたいことがあるんですが、よろしいでしょうか?

横山:はい。

森上:今、コロナ禍とかデジタル技術の発展によって、一部ではあると思うんですが、「営業なんてもういらない」、いわゆる営業不要論みたいな、それを唱える声も聞こえてくるのですが、それについてどう考えるのか、率直なご意見をお伺いできればと思うんですけれども。

横山:はい。テクノロジーの進化によって、「人間がやらなくてもいいことは、ITとかAIとかロボットとか、そういったものに任せましょう」というのがこれからの流れなんですね。「やっぱり人間は人間にしかできないことに集中しましょう」ということなんですね。この流れは別に営業だけじゃなくて、どこでもそうなんです。そこで考えたときに、人間にしかできないことなんですよ、営業って(笑)。

森上:確かにそうですね。

横山:そうなんですよ。そこなんですよね。実はこの『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』の冒頭に書かせていただいたんですが、この営業不要論について、私だけじゃなくて、インタビューした営業第一人者の方も、みんな口を揃えておっしゃっていることがあるので、ここでも少しご紹介しましょうか。 

森上:ぜひぜひお願いします。

横山:2つポイントがあると思うんですね。1つ目が「お客さんは商材に対して調べるのか」っていうこと、2つ目が「合意形成」なんですね。合意形成は特に営業がいないと非常に難しい、営業にかかわってくることなんです。で、1つ目の「調べる」っていうことなんですけど、たぶん皆さん、多くの方が営業という言葉を大きく誤解してると思うんです。例えば、フォレスト出版さんが出されている本もいろんなものがあると思うんですね。ビジネスならビジネス書。でも、ビジネス書って言っても、めっちゃいろいろあると思うんですよね。ですから、「ビジネス書って意味ないよね」って言われて、「どのビジネス書の話?」っていうことになるんですよ。「確かにこの感じの話ってビジネス書じゃなくてもいいかもしれないけど、こっちのカテゴリーはやっぱりこういう本のような形態になっていないと難しいよね」とかあると思うんですね。で、営業ってめちゃくちゃ広範囲なんですよ、今。特にこれは「変わることランキング」で話をすると思うんですけど、営業の仕事ってめちゃくちゃ広がっちゃっているんですね。ですから、不要どころか営業にかかわる人たちの人口は絶対増えていく感じなんですよ。なので、営業不要論を唱えている人は、営業のことをわかってないと思うんです。お客様として必要なことはまず調べるか、気づいているかっていうことがあるじゃないですか。例えばこの書籍も本当は読んだほうがいい人っていっぱいいると思うんですよ。ですけど、これを誰かが紹介したり、「絶対読んだほうがいいって!」ってグッと言われないと読まないですよね。ですから、常に本に興味があって、書店に足を運んだりとか、例えば私だったら読書会とかに参加していますので、そういうところに参加して誰かが発表していたりすると「あっ!」と思うんですよ。でも、そういうのがなければ気づかないんですよね。

森上:なるほど。

横山:気づいたとしても、「まあ、いっか」って思う人もいると思うんです。なので、まずお客様として何らかの問題があったときに、その問題を正しく発見して調べるっていうことが出来るならいいんですけど、調べない人が圧倒的に多いんですよ。

森上:なるほど。

横山:一般消費者だったら違いますよ。チョコレート食べたいとか、掃除機買いたいとかだったら、それは営業はいらないかもしれないですけど、経済活動全般を考えたときに、何らかの製造メーカーをやっていたとして、こういった素材を仕入れて、社内で加工して販売してます。じゃあ、その素材の仕入れ元って本当にそれで正しいのかってあるんですよね。いちいち調べている暇なんてないんです。営業が足繁く通って、「お宅はどういうものをお使いになっているんですか?」って。「いやいや、間に合っています」って、だいたい言われるんですけど(笑)。ですけど、何度も何度も足繁く通って、「何なの?」って言われると、「いや。うちは素材メーカーで、こういうことをやっていて、御社はこういうものを作られていると思うんですけど、うちの方はこういう条件でさせていただきます」って言ったときに、「え、そうなの?」っていう。「うちはずっと何十年も取引しているところがあって」って、「それもよろしいと思うんですけど、今技術革新でこういうのがあって、今こういった素材が市場で非常にうけているんですよ。ぜひ、プレゼンテーションをさせていただけませんか?」って言われて、「全然知らなかったよ」みたいな話ってあるわけですよ。「それだったら、プレゼンして」ってなるまでには結構時間がかかるんですけど(笑)。

森上:なるほどね。そういうことですよね。

横山:1回言って、「じゃあ提案して」ってならないので、何カ月も通って、「じゃあ……」って言われて、「いいじゃん!」みたいな。
ですから、本当に必要な物とか、いらないものは絶対買っちゃいけないですけど、特に企業活動をする上で本当に必要なものって何だろうって。例えばうちに必要な人材って、どういう人材なんだろうっていっても、そんなことを調べてられないんですよ。目先のことで大変ですから。ですから、営業がわざわざやってきて、「こんなお困りごとはありませんか?」って。「ないない」って言われるんですけど、たまに気づくんですよ。「でも、やっぱりそれってうちは困っているかも。」って。そうすると、「一度お話を聞かせて」って。ここって絶対に感覚的なところなんですよね。
結局、営業が人間である理由はなぜかというと、感覚がやっぱり重要なんですよね。意思決定する人が結局人間であるから、ラストワンマイルは結局人間になっちゃうんですよ。決めるのは人間。もちろん比率はちょっとずつ減っているかもしれないんですけど、大半は結局は……。マッチングサイトってあるんですけど、おもしろいことに何十年も前からマッチングサイトであっても、BtoBだと結局は電話かかってきて、「ちょっと営業よこせ」っていう話になっちゃう(笑)。

森上:(笑)。

横山:せっかくマッチングサイトをつくって、ここで取引してもらおうと思って、そしたらめちゃめちゃ取引コストが下がると思ったにもかかわらず、結局「営業に来てもらわないとようわからん」みたいな。「サイトにいっぱい書いてあるじゃない」って。

森上:(笑)。

横山:「ようわからん」って(笑)。

森上:だから、結局はそこなんですよね。されているのはね。

横山:「見ればわかるじゃん」ってなっても、そうなんですよ。でも、結局そういうお客さんの方がちゃんとお金を払うので。いいお客さんのほうがだいたいそうなんですよ。

森上:なるほどね。

やっぱり営業が必要な理由

横山:そう。結局、お客様が自分で能動的に調べて、ベストチョイスなんかしないというのが1つのポイントで。もう1つはさっき合意形成って言いましたけど、これ本当にBtoB……。家庭内もあるかもしれないですけど、結局、意思決定って自分1人で買うもの、個人がチョコレートを買うっていうなら、別に営業はいらないですよね。買うっていうのはほとんどその間に営業する人間なんていらないんですけど、大きなお買い物する、家を買うとかもそうだし、社内で「こういった情報システムを導入します」「いくらかかるんですか?」「3500万円かかります」って言ったら、「じゃあ買う」って言えるのはたぶん社長ぐらいであって。

森上:それはそうですよね(笑)。

横山:現場の部長さんとか課長さんも「それは稟議を通さないといけないよね」って。当然会社のルールがあるわけですよね。そうすると社内の中でいろいろと揉むわけなんですけど、結局、そこって全部感覚的な話なんですよね。

森上:そうですよね。

横山:今まで取引している素材メーカーがあるのに、新しいところと悩んでいるって話になると、新しいほうがやっぱり機能的にもメリットがあるし、長く取引させていただくと、コスト的なメリットもあるとか。例えば、「うちの加工プロセスにおいても非常に恩恵がある」っていうようなことを、社内で言わなきゃいけないですよね。そうすると、担当者もだんだんめんどくさくなってくるんですよ。「まあ、いいか」みたいな感じになってくる。決裁者だとなんとかなるんですよ、組織になると。なので、営業がいて、「あの件はどうなりましたか?」と言うと、担当者は「おー。今はどこで止まっているかな? 部長から本部長に行ったと思うんだけどね」「そこをなんとかぜひ。もし私が必要であれば本部長に直々にお話をさせていただきます」って営業が言うことによって、「社内で進めなきゃな」っていうことになるんですよね。

森上:なるほどね。

横山:なので、その素材メーカーからすると、「営業がいなくなったらどうやって売るの?」っていう話になりますよね。

森上:いやー、ほんとですね。

横山:知ってもらうのに、「じゃあ、ネットを使えば知ってもらえるんですか?」っていうことと、ネットに詳しく素晴らしい機能の話とか、コストの話を書いておけば合理形成がうまくいくかっていうと、うまくいかないんですよ。

森上:そうですよね。

横山:何度も何度も足繁く通って、「そこはぜひ前に進めていただけませんか?」っていうことで、「まあ、やるか」ってなって、結局でも最終的には「よかったよかった」ってならなきゃいけないですよね。「御社と取引させてもらってよかったよ」と。「うちの人間も結構喜んでいるよ」みたいな感じになるんですけど、そのプロセスって結構めんどくさいんですよね。

森上:確かに、確かに。そこの部分を効率化するっていうことを含めて、信頼関係とか、そういうところはどうしても営業というのが必要になってくるというところですかね。

横山:そうですね。どのお客さんにどの商材、そしてどのような価格帯で提案すればいいかっていうのは、これまで人間が考えてきたんですけど、実はそこはテクノロジーの進化によって人間じゃなくて、テクノロジーのほうがうまく類推できるかもしれないというのは変わってきたことなんですけど。でも、先ほど言ったラストワンマイルですね。最後のところはやっぱり人間が決めることなので、そこには紙の媒体とか、ネットでは決まらないことが多いんです。

多様化する「購買意思決定プロセス」

森上:そういうことですよね。なるほど。本当にありがとうございます。そして、今回の本の中で「変わることのベスト10」を挙げていただいていますが、どれをお話いただくのがいいですかね? やっぱり第1位ですかね?

横山:そうですね。これは「はじめに」に書いたと思うんですけど、これからの時代でいったい何が変わるのかといった時に、エッセンスは2つあるんですね。1つはさっきもちらっと言ったように、「テクノロジーの進化」。テクノロジーの進化によって営業のやり方が変わってきた。もう1つは、「顧客購買プロセス」です。
それが変わるというより、多様化してしまうっていうことですね。ですので、お客様がどのようなプロセスでその商材に出会うのかというのが、「昔はだいたいこのプロセスだったね」と言えたのが、そうじゃなくて、いろんなところから最終的に辿り着くっていう。昔は銀行からご紹介いただいて、取引が開始したとか、飛び込み訪問、テレアポ、チラシを配って、展示会を開いて、セミナーとか勉強会をやってそこに来ていただいてとか、そういうものに加えて当然ホームページにお問い合わせがあるとか。本にも書きましたけど、営業のインフルエンサーって増えちゃっているんですよね。

森上:いやー、すごいですね。

横山:そうなんです。皆さんご存じでしょうかっていうことですけど、本当に会社よりも有名な営業とかがいるわけですね。昔では考えられないです。個人がメディアを持ってしまっているっていう。だからラジオのDJみたいなことやっている、1人の営業ですよ、1人の営業が。それは自分のためじゃなくて、会社のためにやっているっていう若い人とかがいて、そこ経由でその商材を知ったとか、ものすごく多様化しているんですね。もちろんSNS経由も多いし。ですので、その購買意思決定プロセスが多様化してしまっている。それって営業はちゃんとキャッチアップできているか?

森上:なるほど。

横山:キャッチアップができていないのであれば、当然昔と同じような数字はつくれないということですよね。

どんどん進む「営業」の専門性・分業化

森上:そうすると、今回のご本の「変わること」の中で示されているものに……、第何位なのかは本でご確認いただきたいのですが、「求められる営業の専門性」なんていうものがありますが、営業の役割もいろいろと変わったってことで、分業化してきたというか。

横山:そうなんですよ。この書籍にも書いたんですけど、いろんな調査結果も載せていまして、パーソルキャリアの調べによりますと、この2年半、2年半ですから、ちょうどウィズコロナと被ってる感じですね。コロナが始まるちょっと前からの調べなんですけど、インサイドセールスとカスタマーサクセスと呼ばれる新しい時代の営業があるんですが、この求人はなんと7.4倍に増えているんですね。

森上:うぉー。

横山:求人が7.4倍ってすごくないですか?

森上:すごいですよね(笑)。

横山:元々が少なかったのかというと、そうかもしれないですけど、でもこれすごい数ですよ。

森上:インサイドセールスというところだけで、もう募集がかかっているということですね。

横山:そうなんです。だから、ここに付いていけない人はまずくてですね。だから、「お医者さんを募集しています」っていうのか、それとも「歯医者さんを募集しています」っていうのかですよね。「お医者さん」って言われても、「どの医者?」ってなっちゃうじゃないですか。町医者だったら、だいたい何でもできますよっていうのはあるかもですが、歯医者というならば、「一応歯科大学を出ています」とか、「そういうの経験があります」っていう。なので、営業っていっても、営業を一括りにしちゃう人がいまだにいますけど。私はシステムエンジニアだったんですけど、システムエンジニアも本当にいろんな種類がありまして、ですから、営業も実はそうやってインサイドセールス、カスタマーサクセスとか、いろんな専門的な営業というのが今出てきていて、求人もそうやって書いてあるんですね。

森上:なるほど。最初から細分化して募集してくるわけですね。

横山:そうです、そうです。最初から「営業職を募集」じゃなくて、「当社はインサイドセールスを募集しています」で、インサイドセールスのさらにマネージャーとか、スーパーバイザーとか、インサイドセールスプラス、さらに専門性みたいな。

森上:なるほど、なるほど。

横山:あとは一般的なフィールドセールスと呼ばれる営業ですね。オンライン対応できない人、デジタル対応できない人はお断りとか。ズームで商談の経験が2年以上とか。そうすると、「一般的営業しかやっていません」っていう人は、転職は難しい。

新しい営業の形「カスタマーサクセス」

森上:そうですね。そういった形で細分化された、分業化された形での専門性が求められるという時代になっているってことですね。

横山:そうなんです。ですから、本当に付いていくのに必死で、ツイッターとかでもインサイドセールスとか、カスタマーサクセスって、自分の名前のところに書いてあるんですね。

森上:もうスペックとして、「自分はこういう専門性を持っています」「こういう営業です」ということなんですね。

横山:そうなんです。あれって、昔では考えられないですね。

森上:確かに。

横山:どっちかっていうと営業って隠したりしますもんね。クールな職種ではない感じがしますよね。

森上:はいはい。

横山:昔だったら私はSEだったので、「SEです」って言うと、「あ! SEなんだ」みたいな感じだったんですけど、「営業です」って言うと、合コンとかでも「営業なんだ……」みたいな感じで言われる。「あー、大変ね」みたいな感じだったんですけど、今は「インサイドセールスです」みたいな感じで、ドヤ顔で。「まあ、カスタマーサクセスなんだけど」みたいな(笑)。カスタマーサクセスだと、今は年収700万とか800万ですからね。そのくらいやらないと人が集まらないくらい。

森上:貴重な存在というか。カスタマーサクセスに関しては、かなり新しいものというか、昔は全部をやっていたけど、手に負えなくなるぐらいやることが増えた感じなんですかね? カスタマーサクセスになってくると、クライアントさんを成功に導くために伴走していく営業さんということになるでしょうか。ざっくり言うと。

横山:そうです、そうです。結局、ビジネスモデルが変わってきているんですね。これも正しく理解しなくちゃいけなくて、今、一番わかりやすいのがネットフリックスとか、アマゾンプライムとか。

森上:サブスク!

横山:サブスク。もうそのサブスクというのは、昔だったら物をドーンっと買って、所有欲を満たすということをやっていたんですけど、今は所有する時代からシェアする時代というか、そういう時代になってきているんですね。まあ、使う時代というか。昔は所有する喜びがあったわけですけど、所有なんかしない。家は所有しないし、車も所有しないっていう。「いつかはああいう車に乗りたい」、「ああいう家に住んでみたい」とかじゃなくて、「そんなのはシェアすればいい」とか、「借りればいい」。「時代と共にまた変えていけばいい」みたいな。そうなっていくと、サブスクのサービスをずっと使い続けていただくっていうことがとても重要になってくる。ライフタイムバリューですね。一社あたり、一顧客に生涯どれぐらいお金をいただくか。昔は「車を300万円で売りたいです」とか、そんな話だったんですけど、「いや、そうじゃなくて、このお客様から生涯で1000万ぐらいいただきたい」っていうことは、車何台かじゃなくて、うちの車のサブスクサービスを何年使っていただくかという話になるんですね。そうすると、そのお客様にまずご購入いただくというか、サービスを利用していただくまでのプロセスはフィールドセールスが担当なんですけど、その後に受け継ぐのがカスタマーサクセスなんですね。なので、そのお客様のお困りごとであったり、趣味嗜好によって「だったら、今度はこういう車に乗ったらいいじゃないですか?」とか、「今度はこういうふうにされた方がよろしいですよ」って、こっちの利益のためじゃなくて、相手のために。とにかくずっと使っていただくことが重要なので。

森上:はいはい。

横山:それは冒頭にお話したとおり、感覚的なものが重要なので、機能的な側面ではなく、人間と人間で対面のときもあれば、電話のときとかあるので、なかなか解約できないという(笑)。

森上:そういうことですね。人間関係がちゃんとできあがっちゃっていますからね。そういう意味でも、カスタマーサクセスっていうのはライフタイムバリューでの継続性といった部分で言うと、そのビジネスモデルを含めて新しい営業の形というか、本当に大事な役割を持っているわけですね。

横山:そうなんです。今、製造メーカーとか、例えば工作機械とかを作っている会社も、工場の設備を作っている会社も、サブスクをやり始めているんですね。なぜかと言いますと、いろんなパターンがあるんですが、例えば私どもが支援している先ですと、その機械ってものすごく高いんですけど、性能がよすぎて3、40年買い替えてくれないんですね(笑)。そうするとその営業ってもう退職しちゃっているんですよ(笑)。

森上:そっかそっか(笑)。

横山:ですから、何年に1個しか売れないとか、そうするとその会社って維持できないんですよね。ですから、そのすごい機械を売らないんですよ。

森上:なるほど。リースというか。

横山:はい。昔は売っていたんですけど、毎月とか、毎年こうだみたいな。その代わりメンテナンスとか、そういうのは全部こちらがやる。なので、常に定期的にお伺いして、常にメンテナンス。それをやりつつ、さらに他にも何かをご購入いただくことは当然やるんですけど。

「BizDev」(ビジデブ)の価値向上

森上:なるほどなるほど。そういう意味でも、求められる営業の専門性ということで、第何位かは言いませんが、ベスト10の中には入っていますからね。そういう意味ではもう完全に変わってきているという感じですよね。
営業さんの界隈では、よく目にするようになった「ビズデブ」なんていうのも、かなり今はトピック的に、ちょっとこれを知らないとまずいよっていう時代にはなっていますよね。

横山:そうなんですよね。今はスタートアップって、資金が集まりやすいらしいですよね。

森上:ほうほう。

横山:ちょっと前までやっぱり起業ってなかなか難しかったんですけど、意識高いような、そういった方が会社を立ち上げようとした時に、資金が集まりやすくなってきた。お金があってもその事業が成長しないと意味がないので、その事業を成長させるためには、やっぱり営業の力が必要。そこで、新しい事業を立ち上げる、専門のビズデブ(Business Development)、事業開発なんですね。これは相当難しいと思います。これは年収2、3千万出さないといけないと、私は思ったりしますね。ですから、本当にベンチャー企業の社長ぐらい、社長と同等ぐらいのレベルの経営視点とかがないと、なかなか難しい。そして、もちろん営業の力、営業マインドがないといけない。だから、M&Aの主導までやっちゃうっていう。そういう仕事ですね、ビズデブっていうのは。ですから、本当に営業の力がある人っていうのはビズデブとかによって、いろんな会社に行けばいいと思うんですよ。で、立ち上げたら「さよなら」みたいな(笑)。

森上:そういうことですね。

横山:そうです。3年ぐらいかけて、ある程度、営業組織を5人、10人つくって、「じゃあ、さよなら」みたいな。そして、また別のところで。

森上:新規事業を立ち上げるということですね。いやいや、本当に営業の世界っていうのはどんどんやることが増えたっていうのは、まさにおっしゃるとおりで、今お話を伺っただけでわかるんですが、ちょっとすみません。お時間が来てしまいました。

土屋:そうですね。はい。

森上:詳しくは本で読んでもらいたいという感じですね。 

土屋:そうですね。ということで、まだまだお聞きしたいことがあるんですが、お時間がなくなってきましたので、今回ご紹介した横山さんの最新刊『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』のURLをこのチャプターに貼っておきますので、ぜひチェックしてみてください。明日も横山さんにお越しいただけるということで、明日はこの新刊の『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』から、「変わらないこと」について詳しくお聞きたいと思います。ということで、本日は横山さん、森上さん、ありがとうございました。

書影画像をクリックすると、Amazonページに飛びます。

横山:ありがとうございました。

森上:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)

 

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