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【マネジメント】結果を出すチームは、なぜ「できる人」よりも「場の空気」を優先するのか?

こんにちは。
フォレスト出版の森上です。
 
結果を出す会社や組織、チームには、どんな共通点があるのか?
 
マネジメントする立場にある人にとっては、気になる問いですよね。
 
いくつか共通点があり、要素があるのですが、その重要な要素の1つに、チームを編成するメンバーの一人ひとりの意識にあると語るのは、現場に入って、目標を絶対達成させる超人気コンサルタントとして知られる、アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長の横山信弘さんです。
 
どんなに結果を出す人物、いわゆる「できる人」だとしても、「場の空気」を乱す人間なら外すべき。重視すべきは、「できる人」より「場の空気」だと言います。
 
その理由とは何か?
 
横山さんが著書『「空気」で人を動かす』の中で、その理由について詳しく解説しています。今回は、その該当箇所を一部編集して公開します。

場の空気を左右する「可燃人」

 空気を複雑にする要素が、これら以外にさらにあります。
 それが、人の「意識レベル」です。
 第1章で、〝ものまね〞細胞「脳のミラーニューロン」によって、「人」は「人」から影響を受けてしまう生き物だと書きました。しかし、人の「意識レベル」によっては影響を受けやすい事柄と、受けにくい事柄があることを知ってほしいと思います。
 このレベル感を「組織論2・6・2の法則」を使って解説していきます。
「組織論2・6・2の法則」とは、組織は「20%のできる人」「60%の普通の人」「20%の物足りない人」に構成されやすいとした法則です。これは人間のみならず、アリ等でも同様に「働くアリ」「働くふりをするアリ」「働かないアリ」の3種類に分けられ、この配分も「2・6・2」になると言われています。
 私は現場に入って組織改革をするコンサルタントですから、この「組織論2・6・2の法則」を何度も目の当たりにしています。採用で「できる人」ばかり集めても、組織が「できる人」ばかりにはなりませんし、「物足りない人」を集めたとしても、それなりにリーダーシップを発揮する人がそのチームから現れてくるものです。
 この「2・6・2」を意識レベルで分解し、わかりやすく表現してみます。
 
 ◉自燃人(じねんじん)……自分で勝手に燃えている人
 ◉可燃人(かねんじん)……火をつけられると燃えることができる人
 ◉不燃人(ふねんじん)……なかなか燃えない人
 
 燃えにくい人を「難燃人」、他人の火を消す人を「消燃人」などと、巷ではいろいろと呼び名があるようですが、本書ではわかりやすくするため、「自燃人」「可燃人」「不燃人」の3つのフレーズを使って解説します。
「脳のミラーニューロン」の影響があるので、近くに「自燃人」がいれば、レベルの差はあろうと、なんとなく燃えてきます。感化されると意識は高揚し、チャレンジ精神が湧いてきます。
 反対に、まわりに「不燃人」が多ければ、影響を受けて、意識レベルが低くなりやすいと言えるでしょう。
「自燃人」「不燃人」は、あまり周囲に感化されません。
 ポイントは「可燃人」です。チーム多数派の「可燃人」が意識を高めるかどうかによって、「場の空気」が左右されるのです。
 チーム構成員の全員を「燃える集団」にするのは、あまり現実的ではありません。チームに6割以上は存在する「可燃人」をどのように変えるかがリーダーの腕の見せ所です。

「自燃人」と「不燃人」の扱い方

 チームが上昇気流に乗るための、正しい価値観、規律に対して、「自燃人」は前向きに受け止めます。
 チームに「締まった空気」が満ちているとき「自燃人」は居心地がいいと感じ、反対に「緩んだ空気」が広まりつつある時期は、ストレスを覚えます。
「もっとしっかりやれよ」
「なんで監督は、ちゃんと言わないんだ」
「社長は責任逃れしてほしくない」
 などと、熱い気持ちを吐露します。
 それでも空気が緩みっぱなしの場合、いずれチームが崩壊するのではないかと敏感に察知します。意識が高いですから、なんとかチームの立て直しを図ろうとするでしょう。
 ところが、いろいろな事情で自分の思いが通じないとわかると、たとえチームに愛着があっても、離れていく可能性があります。業績悪化とともに「できる人」が離職していくことで、企業はますます窮地に立たされていくケースがあります。
 反対に「不燃人」はチームにしがみつこうとします。
「不燃人」は「締まった空気」がチーム内にあると、しっくりきません。居心地が悪いのです。
 例えば、私たちのようなコンサルタントが組織改革をしようとすると、「できない理由」「やらない理由」を次から次へと持ち出して徹底抗戦してきます。
「現状は現状のままにしたい」という心理欲求「現状維持バイアス」にかかっているため、なかなか行動を変えられない、というのは理解できます。
 しかし、私たちコンサルタントは頑として主張を変えません。後述する「多数派工作」などを仕掛けて外堀を埋めていきます。
 しかし、「不燃人」は一向に態度を変えません。チームの8割の意識や行動が変わっているのにもかかわらず、
「やってもやらなくても一緒じゃないか」
「そんなに一所懸命やったって意味ないって」
「ムリなものはムリ」
 などと、不満を口にします。まさに「水を差す」という行為です。
 スキルや能力、才能など関係のないこと、つまり、やればいいだけのことであっても、理不尽な抵抗を続けるのです。頑なに自分を変えません。
 しかし、どんなに抗っても「場の空気」は、もう元には戻りません。新しい空気を受け入れることのできない「不燃人」は、これまでに意味の偽造――「作話」を繰り返し続けたためか、論理的に物事を受け止めることができず、強いストレスを感じます。そのせいでチームを離れていく可能性があります。
 したがって、空気の良いチームは、ますます意識の高い人がパフォーマンスを発揮し、空気の悪いチームは、よりいっそう意識の低い人の根城になっていくということです。

「できる人」よりも「場の空気」を優先する

「自燃人」「可燃人」「不燃人」について解説しました。
 しかし、リーダーの頭を悩ませるのは、この順に「成績」が比例しないことです。チームへの貢献度が、意識や情熱レベルの高低と似た曲線を描かないところが、チーム改革の複雑な部分です。
 つまり「不燃人」だからといって、チームへ貢献していないかというと、そうでなかったりするのです。組織の方針に従わないし、後ろ向きなことばかり言っていても、ちゃっかり結果を出す人はいます。
 方針に従わなくても、結果ぐらい出せる、「場の空気」なんて関係がない、という人です。
 私はコンサルタントとして、このような人を何人も見てきました。
 ここでリーダーが、「結果を出している人は、同じ価値観を共有しなくてもいい」とブレるのは良くありません。相当な葛藤があることはわかります。もしもその人がチームを離れてしまったら、成績が下降線をたどり始めることもあり得るからです。
 しかし、本当にできる人は、独りよがりにはならないものです。ビジネスでもスポーツの世界でも同じだと思います。自分さえ良ければいい、他人のパフォーマンスなど関係ないという人は、チームプレーを正しく理解できていない人です。リーダーは、結果を出す人よりも、「場の空気」を優先させましょう。

いかがでしたか?
 
いくら結果を出すといえ、チームや組織の目標や規律を軽視するメンバーは、そのチームにとっては害となる――。自分が所属しているチームや組織の看板やブランドの恩恵を少なからず受けていることを、その当人は自覚していないのかもしれません。チームや組織の看板やブランドがなくても結果を出せるなら、そのチームや組織から抜け出して独立すればいいわけです。所属している限りは、そのチームや組織の「場の空気」を大事にする責任があると言えるでしょう。と同時に、マネジメントする側は、その優先度を明確にする必要があるわけですね。
 
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