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「人生のバイブル」の作家の企画展に行ってきた

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
昨年11月下旬より、「行きたい」「行かなきゃ」と思っていた企画展がありました。

世田谷美術館で2022年11月26日から本日2023年1月29日まで開催されていた、藤原新也さんの企画展「祈り」です。昨日(1/28)、会期ギリギリすべりこみセーフで、足を運ぶことができました。
 
高校時代に『メメント・モリ』に出会って以来、藤原新也さんは私にとっては憧れの人であり、『メメント・モリ』は、社会人になってからもふとしたときに開いてしまう1冊、人生のバイブルでもあります。
 
『メメント・モリ』の魅力と個人的な思いは、以前、このnoteでも書かせていただいたのでそちらに譲りますが、

今回の企画展は、「写真」のみならず、「書」「絵画」など、初期作から最新作まで展示されており、まさに、藤原さんの表現活動を通して、藤原さんの思想や行動を強く感じ取れるものでした。
 
それは、「祈り」という1本の映画を観たような感覚に陥ったというのが、正直な感想です。
 
いや、映画よりもリアリティな感覚だったかもしれません。入口を過ぎると、藤原ワールドのメタバースの中に入ったような体感覚だったと言ったほうが正しいかもしれません。
 
※この展示会は一部の作品を除いて撮影可だったため、以降、私がスマホで撮影したものをいくつか掲載します。

まず目に飛び込んでくるのは、入口から最初の展示会場中央に配された、一輪の蓮の花の写真。

『メメント・モリ』の中で、藤原さんがこの写真とは違う写真に据えた言葉に、
 
「植物は偉大な催眠術師だと思う。」
 
というものがあるのですが、私はこの大画面写真を見た瞬間、
 
「この写真も偉大な催眠術師ですよ、藤原さん」
 
と思うぐらい、私の頭の中が催眠にかかったような感覚に陥ってしまいました。
 
そんな感覚のまま、歩みを進めて飛び込んできたのは……。

恥ずかしながら、私の涙腺は勝手に崩壊していました。四十後半のおっさんが涙している姿なんて、環境破壊レベルでひどいものです。涙していることをまわりの来場者に悟られまいと、なんとか涙を拭きとり、先に足を進めたことは言うまでもありません。
 
「死を想え(メメント・モリ)」のパートで、やはりというべきか、多くの来場者が足を止めていた場所がこちら。

この写真と添えられた言葉「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ。」は、いつ見ても、生へのエネルギーが沸々と湧き出てきます。
 
「死を想え(メメント・モリ)」のパートに続くのが、「生を想え(メメント・ヴィータ)」。

この写真と言葉も『メメント・モリ』の中に掲載されているものですが、以前、私がアメリカの知人(ネイティブアメリカン)に同書をプレゼントしたところ、「この写真と言葉が好きだ」と言っていたことを思い出します。
 
以降、藤原ワールドのメタバースの中にいる感覚で目撃した作品をいくつか掲載します。

藤原さんの強い思いが観る者すべてに伝わるであろう、激しい筆致のこの書は、「文字からエネルギーが伝わってくる」という言葉の典型例だと思うのは私だけでしょうか。

ベッドに臥せる日が続く瀬戸内寂聴さんに贈った言葉の書。「祈り」というキーワードを意識して読んでみると、また涙が出てきてしまいました……。

藤原さんが東京藝大(油画科)学生時代に描いたもので、唯一残っているタブローも展示されていました。今回の展示のために手を加えたとのこと。馬の口元の「マスク」も、ファン垂涎の表現で刺激的でした。

会場出口に掲げられた藤原さんのメッセージ


今回の企画展は、250点以上の作品を通じて、藤原新也という表現者の活動を一挙に俯瞰してみることができる貴重な機会だったことは間違いありません。
 
またこのような大規模な形で開催されることがあるのだろうか。また違う形でもいいので、ぜひ体験したいと願うばかりです。
 
最後に1つ。
 
会場を出たグッズ売り場に、なんと藤原さんご本人が来場されていたのです。「最終日の前日なので、もしかしたら今日はいないかも……」と期待していなかっただけに喜びはひとしお。本企画展の図録『祈り』にサインをいただけました。


やっぱり、行けてよかった。

書影をクリックすると、図録の詳細がわかります。

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