見出し画像

【かくれ繊細さん】一見外向的だけど傷つきやすい「HSS型HSP」を知ってほしい。

関連書籍の大ヒットもあり、テレビなどの大手メディアで、「HSP」「繊細さん」という言葉をよく聞くようになりました。

人気タレントのロンブーの淳さんがHSPを公表、そこから一気に知れ渡ったように思います。

ただ、正直、「淳さんがHSP・・・?」と思ってしまったことも事実。私はロンハー世代なので、ガサ入れとかしていた淳さんが、内向的で繊細なHSPとはどうもしっくりきませんでした。

そこで、HSPについて調べたところ、HSPにも種類があり、なかでもHSS型HSPという、「一見外向的だが実は繊細」なHSPの方がいらっしゃることがわかったのです。

このHSS型HSPの方は、ご自身が、「実は繊細でちょっとしたことでクヨクヨしがちなこともわかっているが、そうは見られたくない!と頑張ってしまう」のだそう。ひとつの体に相反する気質を併せ持っているので、とても疲れやすく、生きづらさを抱えているのだとか。

これは、【かくれ繊細さん】と言っても過言ではない、と確信、ぜひ書籍にしたい!と思い、かくれ繊細さんについて書籍を書いてもらうにふさわしい方を探すことに。

すると、HSS型HSPについて研究し、自身もHSS型HSPである、HSS型HSP専門心理カウンセラーの時田ひさ子さんのホームページを発見。長年の研究結果が膨大な記事にまとめられていました。

そして、びっくりなことに、HSS型HSPっぽいな、と思い当たる友人に、HSS型HSPの話をしたところ、実は2年くらい前から時田さんのカウンセリングを受けていて、とても生きるのが楽になった、と言っていたのです。このなんとも奇遇なエピソードに、時田さんで間違いない!と確信を深めました。

時田さんによると、HSS型HSPの方は、たくさんの知られざる才能を持っているが、その内向的な気質から自身の才能を否定しがちである、とのこと。

時田さん初めての著書となる『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』では、かくれ繊細さんが、生きづらさの原因を知り、生きづらさから解放されるだけでなく、非繊細さんにはない、数々の才能を発揮して生きていけるようになるまでを書き下ろしていただきました。

今回は、『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』の「はじめに」を全文公開いたします。

ちなみに、つい1か月くらい前に、ロンブーの淳さんは「自分はHSPのなかでも特にHSS型HSPである」とYouTubeでお話しされました。

では早速、時田さんの熱がこもった、やや長文ぎみな「はじめに」をぜひお読みください!

はじめに

 最近、繊細さん(HSP、ハイリー・センシティブ・パーソン)という言葉をよく聞きますが、自分に当てはまりそうだけど、やっぱり違うかも、そこまで繊細じゃないかも……なんて思っている人はいませんか?
 そんなあなたは「かくれ繊細さん」である可能性が高いです。

 大胆なのに繊細。
 元気なのに傷つきやすい。

 外向的でテンションは高いのに、ちょっとした発言でクヨクヨ一人反省会。
 一人になるとどっと疲れて表情がなくなる。

 自虐ネタで笑いをとりにいくも、いじられすぎると傷つく。
 BBQや親睦会、女子会は企画するのに、日程が近づいてくるとプレッシャーに押しつぶされそうになる。

 アイディアマンでのめり込んだらやめられない。なのに、目標達成まであと一歩のところでやめてしまう。完璧主義なのにこれといった極めたものがない。

 一回やったことは、もうやりたくないのに、未知のものへの警戒心はめちゃくちゃ強い。

 いくつか同時進行してしまうので、やりかけのままとっちらかる。

 こんな表裏一体の特徴を持っているあなただったらきっと、世間話で結論のない話に付き合うのが苦手で早く帰りたいと思っているのに、楽しんでいないと見破られないように頑張って合わせたりして、一人になると「はぁぁ」と大きなため息をつきたくなる(実際は誰かに見られているところではため息つかないように気を付けると思いますが)のではないでしょうか?

 どうですか?
 そんな特徴が当てはまるのだとしたら、あなたは「かくれ繊細さん」かもしれません。

 ロンドンブーツ1号2号の淳さん、ビジネス書でベストセラーを連発した女性作家さん、日本人なら誰でも知っている超大物芸人さん、明るいキャラで人気者の女性タレントさん……。
 最近、HSPや繊細さんという言葉がテレビ番組でも特集されるようになって「自分もそうかも」と思い当たるという方たちが増えていますが、先に挙げたような彼らが繊細さんだなんて違和感ですよね?
 だって、繊細さんってネガティブでこもりがちな印象なのに、あんなにキラキラした人たちが繊細さんなの? って。でも、あんなに外向的に見える方でも、繊細さんなんです。

 最近の芸能界でいえば、生きづらさを抱えてどうしようもなくなってしまったのかなぁと思う出来事も続けて起こりました。あくまでも憶測ではありますが、思いつめてしまったり、葛藤が深かったりするのは一般のかくれ繊細さんと同じなのに、光が当たる世界にいるだけに「本当の自分」とのギャップも大きくて、その扱い方に困ってしまいやすいのでは、と見ています。

 かつて芸能界に関わっていた方から聞いたのですが、芸能人の方は、人と違う部分を売りにすることで個性が出るわけですが、一方で、普通の人たちと同じように「常識」「モラル」を守りたいと思ってしまうのがかくれ繊細さんの繊細で奥ゆかしいところでもあります。
 それゆえに、両者のバランスが取れなくなるということも、ありそうです。
 また、光の当たる場所だからこそ、なにを言っても「贅沢な悩み」と打ち消されやすいのかもしれません。

 私は、「かくれ繊細さん」限定で、その生きづらさを克服するための研究をしています。自身も「かくれ繊細さん」です。アメリカから日本にこの概念が入ってきたのが2003年。心理学者のエレイン・アーロン博士が、自身の特性を研究して発見した概念で、日本では2019年頃から「繊細さん」と認識され広がり始めました。今では、SNSでも繊細さんのグループができて交流が行われていますし、繊細さん専門のカウンセリングや占い、整体をちらほら見かけるほどに広がってきました。

 その中でも、ただ繊細なだけではなく、「かくれ繊細さん」と呼ばれる人たちが存在しています。この人たちは、アーロン先生によると「繊細さん」全体の三割に該当し、全人口の六%程度存在していると言われています。
 この六%については、まだきちんと定義が固まっていないようなのですが、HSS型HSP、あるいは、HSEと呼ばれたりしています。
 繊細で傷つきやすく、共感能力の高いHSPという特性と、好奇心旺盛で新しい情報や刺激を求めて飽きやすいHSS(High Sensation Seeking、ハイ・センセーション・シーキング、新規刺激追求性)という特性の両方を持ち合わせているという意味です。
 HSEとは、「外向的(Extrovert)な特性を持ち合わせている繊細さん」という意味です。
 最初は、HSS型HSPという呼び方をされていたのですが、まだ歴史が浅いものですから、HSPという特性自体を内向的(introvert)であることと混同した研究が出てきたため、2019年頃から、外向的なHSPであることを強調するためにHSEという呼び方をする流れが出てきました。
 このあたりの分類は現在進行中で、まだ決着がついておらず、すっきりと決着するには少し時間がかかりそうですが、いずれにしてもこうした特性を持つ人たち(HSS型HSP、あるいはHSE)は、一見明るくて、外向的で人好きがする方が多いものの、内面は非常に悩み深く、悩んでいることさえ悟られないようにしていることが稀ではありません。悩みなんてないよ、という顔をしているのに、いったん理解者が現れると隠し持っていた悩みや疑問が、雪崩のようにどどどっと流れ出てくるようなことがとても多いのが、かくれ繊細さんを対象としたカウンセリングセッションでは普通です。
 それはそうです。
「かくれ繊細さん」(HSS型HSP、HSE)は、人口比率も低くマイノリティであるうえに、複雑で両極端な特性を個体に同時に持っているため、ご自身でさえ自分のことを理解することが難しい。それに、身近に同じタイプのモデルとなる人物がいないため、人と比べて自分はメンドクサイとか、複雑で理解しがたいと感じて、自分にダメ出しをしやすい境遇に仕方なく身を置いて生活していらっしゃいます。この特性を肯定的に受け止めつつ生かしている人を参考にすることができないうえ、この特性ゆえの悩みを人に話しても共感してもらえる確率は非常に低い。そのため、自分の悩みを外に出すことにさえ躊躇してしまうということがわかっています。結果、自分の悩みは話さなくなり、さらには自分でさえ「この悩み自体が間違いだから」と悩みの存在もろとも否定してしまう、などと、めちゃくちゃ複雑に巧妙に隠蔽してしまうのです。

 もしあなたが、このような特徴に思い当たるのであれば、この本はあなたについて解明するために役に立つと思います。かくれ繊細さんは、ご自身の扱いづらさゆえにさまざまな特徴について調べて当てはめようとしてこられてきたことが多く、だいたいの場合、「発達障がい」や「うつ病」「躁うつ病」「アダルトチルドレン」などのチェック項目を確認されてみています。でも、当てはまるところはあるものの、ドンピシャではなく、「グレー」なままだったのでは。また、「繊細さん」に関しても、当てはまるとは思いつつも、人付き合いが好きだったり、あれこれ好奇心があって試してみる行動力がある、どちらかというと外向的な面が強いと感じている、など、一部該当しないと感じられたかもしれません。
 そんなご自身を、「おかしい人」「変な人」「ズレた人」なのではなく、ただ「かくれ繊細さん」だったのだと気づくことができたなら。
 あなたがこれまでにしてきた「自分を変えるための努力」を、「生きやすくなるための努力」を、正しい方向に差し向けるきっかけになるかもしれません。
 自分のことを信用したい。
 もっと肩の力を抜いて楽しく暮らしたい。
 その権利がかくれ繊細さんにもあるはずだと思いませんか?
 かくれ繊細さんは、その能力をもともとお持ちです。
 でも、周囲にその思いが「通じない」「わかってもらえない」ばかりに、自分がダメなんだとがっかりし、自分から能力を引っ込めてしまっています。
 それはかくれ繊細さんの先読みする予測の力、想像するイメージの力が並外れているためで、「だって、わかってもらえないでしょう?」と予測し、先に否定してしまう。それが「石橋をたたいてもわたらない人」だとか「やる気がない人」だとか、あるいは「熱意が空回りしている人」という評価になってしまっている。
 実にもったいない話です。
 あなたがあなたのことをよく知り、ご自身への理解が深まれば、あなた自身が自分を信頼してシンプルに生きることができるかもしれません。

 正しく生きやすくなるための努力をしたら、生きやすくなります。
 かくれ繊細さんがご自身の特性を正しく知り、意味のある努力をしていただきたくてこれまでのカウンセリングからわかっていることを詳らかにお伝えしようと思います。

 それでは一緒に、かくれ繊細さんの中身を紐解いてみることにしましょう。

「私は繊細(HSP)さんですか? 」

 自分が繊細さんであるかどうかを知りたい、というご質問をいただくことがあります。
 繊細さんの特徴のいくつかがご自身に当てはまる。だから自分も繊細さんではないか? そう疑問に思われるのだと思います。
 現時点では、脳や遺伝子を検査して、確実に繊細さんやかくれ繊細さんを診断できる方法はありません。心理学者の研究から、後述する四つの要件(DOES、本書34ページ)をすべて満たす場合は繊細さんであると言えると思う、としか言いようがないのが現状です。今後、HSPあぶりだし検査ができれば客観的な判断をすることはできるようになるかもしれません。ですが、現時点で言えるのは、繊細さん、かくれ繊細さんは、「物事への内的な反応のしかたが、繊細さんと非繊細さんでは異なる」ということです。
 たとえば、公共の場所(電車の車内など)で誰かがモラルの低い行動をとったとします。総じて繊細さん、かくれ繊細さんの反応は複雑です。まず、そのアンモラルな人に注目し、目が離せなくなります。そしてその人を心の中で糾弾し、糾弾した自分を「人として間違っている」と否定し、「でもあの人の態度はやはり目に余る」とまた注目をし、「なんとかモラルがないとわからせる方法はないだろうか」と考えあぐね、見ず知らずの人にそこまでイライラしている自分はやっぱりおかしいんだろうか、と疑問に思う……といったように上に上に折り重なるように感情、思い、記憶がつながり、考え続けて疲れてしまいます。
 えー、そんなに面倒なこと考えるかなぁ……と思われた方は、繊細さんではないのかもしれませんね。

「繊細さん」と「かくれ繊細さん」の違い

 繊細さん、かくれ繊細さんのどちらにも共通する特徴は、

 ・いったん立ち止まって確認する
 ・何度も考える
 ・深くて複雑な内面世界を持っている
 ・とても内省的である
 ・誰かと深くつながることで活力を得る
 ・刺激を消化するために誰にも見られない一人の時間が必要である
 ・一人になって過剰な刺激から回復するのに時間を必要とする
 ・少数の親しい、誠実な、本物の友情だけでも満たされる
 ・優しく穏やかである
 ・共感力がある
 ・創造的である
 ・先見性、予測力がある
 ・熱心で洞察力が鋭い
 ・深い意味を感じさせる関係に関心を持つ
 ・意義深い人生の探求をする
 ・好きなことをしているときの集中力がすさまじい
 ・仕事に情熱を持つ傾向がある
 ・物事の理由、因果関係に関心を持つ
 ・精神的なプラスを、現金収入よりも大事に感じる傾向が強い
 ・一対多で話すのが苦手である

 といったことが挙げられます。

 では、かくれ繊細さんだけにある特徴はなにかというと、「周囲にどう見られるかを強く意識する」ことと、「外部の刺激をほしがる」ことです。

 ・周囲の目を強く気にする(自分の外見にも気を遣う人が多い)
 ・話すスピードが早い
 ・言ったそばから忘れてしまう
 ・外部からの情報を必要とする欲求度が高い
 ・内向きの活動をしすぎると、活力が失われ、イライラし始め、やる気がなくなるといった抑うつ傾向が強くなる
 ・他者とコミュニケーションしたいと望む
 ・友好的、社交的で、表情が豊かでオープンである
 ・人がしていないことをしたがる
 ・飽きっぽいところがある
 ・思いが通じ合う人たちと、自分のアイデアを共有したがる
 ・現状を改良したがる
 ・仕事以外のところ(たとえば人間関係)で違和感を感じて、仕事そのものに嫌気がさす
 ・人と共感しあい協力的であるとき、最大の力を発揮する
 ・誤解されている、疎外されている、あるいは否定されていると感じるとき、猜疑心や違和感が生まれてうまく自分を機能させられなくなる
 ・SNSが苦手、ただし信頼できる人たちに対するシェアは躊躇しない

 行動的なかくれ繊細さんもいますし、研究することに好奇心が旺盛なかくれ繊細さんもいます。あなたは、どんなかくれ繊細さんでしょうか?
 この本は、かくれ繊細さんと呼ばれるHSS型HSPのことに特化して書いております。繊細さんかもしれないけど、少し違うなぁと思っている方や、そばにいるかくれ繊細さんにどう対応すればよいのかわからない、という方のお役に立てることでしょう。

                                                 HSS型HSP専門心理カウンセラー 時田ひさ子

※本稿は『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』(時田ひさ子 著)より抜粋したものです
※イラスト/カシワイ

(編集部 杉浦)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?