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怒りが湧いたら、この呼吸をしたらいい

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

「現代人は、キレやすくなった」とよく言われます。

「キレる子どもや若者が増えた」
「キレる中高年」「キレる老人」

などなど、世代を問わず、幅広い層で怒りに我を失ってしまう人が増えているというニュースをよく見聞きすることからもわかるでしょう。

なぜ現代人は、昔の人よりキレやすくなったのか?

そんな疑問について、『呼吸で心を整える』(倉橋竜哉・著)の著者で、30年にわたって医療、禅、スピリチュアルなど、あらゆる呼吸法を学習、実践、「セルフコントロール」と「呼吸」の関係性を研究、これまで学んできた呼吸法を体系化し、「マイブレス式呼吸法」を開発した倉橋竜哉さんは、次のように語っています。

 コミュニケーションが手軽になった一方で、すぐに返信を求められるような現代的な生活では、だんだんと息が浅くなり、私たちから心の余裕を奪っていきます。
 1つひとつの要因は小さなことなので気づきづらいことです。それが積み重なり一定のラインを越えると、まるでコップの水があふれるようにある日突然キレたり、心や体に症状となって現われます。
(中略)
 現代的な生活が心と体に負担を強いている部分があるのも事実です。
 負担を無視して生活を続けると、やがてキレやすくなったり、怒りを溜めすぎて胃潰瘍やガンを患ったり、あるいは心が潰れてうつ病になったり、さまざまな弊害を生み出します。

――『呼吸で心を整える』(倉橋竜哉・著)より

そう指摘する倉橋さんは、こう断言しています。

【怒りの感情は、呼吸でコントロールできる】

それを知るためには、「そもそも怒りはなぜ生まれるのか?」について知っておく必要があると言います。

 頼んだことをやってもらえなかったとき、理不尽な仕打ちを受けたとき……。きっかけはいろいろありますが、怒りが生まれる理由は、「自分が軽く見られた(扱われた)」からです。
 頼んだことをやってもらえなくて腹が立つのは、やってもらえなくて困るから腹が立つのではなく、「この人は私のことを軽く見ているから、やってくれなかったんだ」と考えてしまうから、腹が立つのです。
 理不尽な仕打ちを受けて腹が立つのは、受けた仕打ちそのものよりも、「私のことをどうでもいいと思っているから、そんなことができるんだ」と心が傷つけられるから腹が立ちます。
 たとえば、悪口を言われても、自分のことを貶めようとして必死になっていることを知れば、「ああ、あの人はかわいそうな人だな」と哀れみの心で見ることができます。
 一方、同じ悪口を言われても、「私のことをどうでもいいと思っているから、言葉に気を使ってもらえないんだ」と思うと、自尊心が傷つけられて怒りの感情が湧いてくるわけです。
 怒りは、「2番目の感情」と言われています。
 何かをされたとき、いきなり怒りの感情が湧いてくることはありません。

◎頼んだことをやってもらえなくて困った、そして腹が立った。
◎理不尽な仕打ちを受けてビックリした、そして腹が立った。
◎悪口を言われて傷ついた、そして腹が立った。

 必ず先に「1番目の感情」があって、怒りという「2番目の感情」に続きます。
 1番目の感情は、突然に出てきてすぐに消えるので、コントロールするのは難しい感情です。
 しかし、長く続く2番目の感情は、呼吸法でコントロールすることができます。
 たとえば、怒りとは、頭の中が「誰か」に支配され続けている状態です。
「あの人が悪い、あの人が悪い、あの人が……」、ずっとその人のことを考え続けてしまいます。そして、繰り返して考えるたびに、怒りの炎がメラメラと燃え立ちます。
 頭の中で相手を罰し続けているつもりでも、実際に傷つけられているのは相手ではなく、自分の心です。
「考えるのを止めなければ……」と思っても、結局それを思い出してしまうので、火に油を注ぐ結果になります。
 意識の矛先がずっと相手に向かっている状態です。
 呼吸法を使うと、怒りの相手に向けられていた意識を、自分の呼吸に向けることができるようになります。

――『呼吸で心を整える』(倉橋竜哉・著)より

では、どうすれば意識の向きを変えることができるのか?

それは、
【怒りを「抑え込む」のではなく、「受け流す」ことだ】
と言います。

受け流すと言っても、どうすれば受け流すことができるのか?

怒りをはじめとする情動を受け流す呼吸法として、倉橋さんが開発した「マイブレス式呼吸法」の1つ「鎮める呼吸」があります。そのやり方は次のとおりです。

怒りやイライラを消し去る「鎮める呼吸」のやり方

 情動を受け流す「鎮める呼吸」は、別名「うかいのなわ(鵜飼いの縄)」と言われている呼吸法です。
 岐阜県の長良川で行なわれている「鵜飼い」という漁があります。首に縄をかけられた鵜という黒い水鳥が、鮎を捕まえます。
 その鵜が「情動」だと考えてください。放っておくと、あっちこっちに勝手に飛び回って、勝手に鮎を食べ散らかしてしまいます。そうさせないために、その鵜(情動)の首に縄をかけてコントロールしているイメージです。
 この「う・か・い・の・な・わ」には、それぞれの文字に意味があり、それがやり方になります。

①「う」……上を向きます
 人はマイナスのことを考えているときはたいてい下を向いていますが、顔を上に向けるとイヤなことは考えづらくなります。

②「か」……感じます
 先ほどもお伝えしましたが、情動が起こったときは、必ず体のどこかに反応が出ています。おなかが痛くなったり、奥歯を噛みしめていたり、体に意識を向けると頭の中のイライラから、意識をそらすことができます。

③「い」……息をします
 ゆっくりと深い呼吸を2、3回繰り返して、心に落ち着きを取り戻しましょう。

④「の」……特に意味はない
 特に意味はありません。楽譜の休符のようなものだと思ってください。

⑤「な」……何%か計ります
 上を向いて、感じて、息をすることでどれくらい怒りやイライラが軽減したのか、%で計ります。感覚でなく、数値で考えることで理性を取り戻しやすくなります。

⑥「わ」……輪っかをくぐって感謝します
 目の前に大きな輪っかをイメージしてそれをくぐります。怒りに我を忘れそうになった自分を置いて、新しい世界に入る感覚です。最後に「ありがとうございました」と感謝の気持ちで締めくくります。

――『呼吸で心を整える』(倉橋竜哉・著)より

鎮める呼吸_図版(p.219)

『呼吸で心を整える』(倉橋竜哉・著)p.219ページより

 この「うかいのなわ」を実際にやろうとすると、少しめんどくさいと感じる人もいるでしょう。
「『う』って何だっけ? あ、そうそう、上を向くだった!」というように、最初はイチイチ思い出すのに苦労するかもしれません。
 しかし、この「めんどくさいことをわざわざやってみる」ことも、怒りやイライラを受け流すことにプラスになるそうです。
 実際にやってみると1分もかかりませんので、めんどくささを味わいつつ、チャレンジしてみてください。メラメラと燃えていた怒りの炎が消えて、穏やかな気持ちになっていることを実感できるはずですよ。

いかがでしたか?

倉橋さんの著書『呼吸で心を整える』では、今回ご紹介した「鎮める呼吸」以外にも、

◎ゆるめる呼吸・・・緊張感を和らげる
◎歩く呼吸・・・イヤな気持ちをリセットする
◎声を出す呼吸・・・頭の中に浮かんだ雑念を吐き出す
◎数える呼吸・・・集中力と自制心を高める

呼吸と心が深く関連しているメカニズムを説き明かしながら、それぞれの情動に合わせた呼吸法をわかりやすく解説しています。興味がありましたら、チェックしてみてください。

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