見出し画像

意見が対立したときの必殺技!「アウフヘーベン」とは?

フォレスト出版編集部の山田です。

本記事では、『すっきりわかる!超訳「哲学用語」事典』(小川仁志 著、PHP研究所)と『哲学は武器になる』(山口周 著、KADOKAWA)から意見が対立した際に役立つ「アウフヘーベン」という考え方についてご紹介させていただきます。

アウフヘーベンとは、ドイツの哲学者・ヘーゲルが弁証法で提唱した概念のことです。ヘーゲル(ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル)は、19世紀前半にかけて活躍していた人物で、近代哲学を完成させたと言われるほどの大哲学者になります。そして、弁証法はヘーゲルが確立した代表的な思想の1つです。

そんなヘーゲルが弁証法の中で用いたアウフヘーベンとはどんな考え方なのでしょうか。
アウフヘーベンについて、哲学者の小川さんは下記のように解説しています。

アウフヘーベンとは、ヘーゲルの弁証法の用語で、「止揚」、「揚棄」などと訳されます。
ヘーゲルの弁証法においては、ある問題=テーゼに対して、矛盾=アンチテーゼが生じた時に、その矛盾を切り捨てることなく、両者を総合しようとします。この総合する行為がアウフヘーベンなのです。

つまり、アウフヘーベンとは「矛盾を統合して解決すること」と言えます。

続けて、もう少し理解を深めるためにアウフヘーベンが用いられた弁証法について見ていきたいと思います。

著者・山口さんは、弁証法とは「真理に至るための方法論の名前」であると述べています。どんな方法論なのかというと、対立する考えをぶつけ合わせ、闘争させることで、アイデアを発展させるというやり方だそうです。この弁証法は、次のようなプロセスで説明されると著者は言っています。

①まず命題(テーゼ)Aが提示される(正)
②次にAと矛盾する反命題(アンチテーゼ)Bが提示される(反)
③最後にAとBの矛盾を解決する統合された命題(ジンテーゼ)Cが提示される(合)

そして、この第3のステップのことをアウフヘーベンというそうです。

例えば、AさんとBさんがあるものを見てそれぞれの意見を述べます。

Aさんは「丸いものが見える」と言います。それに対して、Bさんは「いや、どう考えても四角でしょ」というわけです。しかし、Aさんにとってはどっからどうみても丸だと信じているので、「いやいやいや、何を言ってるんだい。あれは丸だよ」と反論します。それに対して、またBさんが反論し返して2人の間で意見が対立します。

では、こんなとき弁証法ではどうやって対立を解消するのでしょうか。

「まぁまぁ、お互い意見が違うときもあるよね~」

とその場を丸くおさめるのが妥当なのでしょうか。

弁証論では、むしろ対立を恐れずに意見を徹底的に戦わせて議論する方がいいとされています。なぜなら、それによって全く新しいアイデアが生まれるからです。

「いやいやだからさっ!!あれ、ちょっと待って、これって円柱じゃない・・・!?」
「あ、ホントだ!!これなら丸にも四角にも見えるわけだね!」

こんなふうに、議論を闘わせてAとBをアウフヘーベンすることで、対立を解消させる別の新しい考え方が得られるそうです。

以上、ヘーゲルが弁証法の中で提唱したアウフヘーベンについてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

アウフヘーベンとは、相反する2つの考えを統合的に成立させるような高い視点で物事を捉えようとする考え方ということでした。もし誰かと意見が対立してしまった時は、一旦冷静になって二人の考えをアウフヘーベンするとどうなるかな?と考えるようにすると楽しく新しい解決策を見つけていけるかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?