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【人気放送作家が断言】「常識」を知らずして、新しいものは生み出せない

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

新たな企画やコンテンツを生み出そうとするとき、あなたはどんなことを意識しますか?

「今までになかった、新しいもの生み出したい」
「世の中をワッと驚かせるものにしたい」
「唯一無二のものを生み出したい」
「他人が思いつかないような突き抜けたものを!」

といったことを考えてしまうことはありませんか?

「いや、自分はそんなことはない」という方もいるかもしれませんが、「ブランディング構築」「キャラづくり」はもとより、「USP(Unique Selling Proposition)」を考えるときなどに置き換えてみてください。はたまた、自分のオンラインサロンを立ち上げたい、人気インフルエンサーになりたい、YouTuberとしてマネタイズしたい……など、自らのビジネスを立ち上げることになったことを想像してみてもいいでしょう。

そう考えてみると、先に挙げたような考え方に向かう人は意外と多いのではないでしょうか?

「笑っていいとも!」「ごきげんよう」「オレたちひょうきん族」「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」「SMAP×SMAP」「王様のブランチ」など、国民的番組の構成を担い、今も「超逆境クイズバトル! 99人の壁」などの人気番組の構成を担当する人気放送作家・鶴間政行さんは、

「私たち凡人が新たなものを生み出そうとするとき、見落としがち、おざなりにしがちな、大事なことがある」

と言います。

それは、「常識」です。

凡人ほど「常識」を疎かにして(ロクに学びもせずに)、とにかく「新しいもの」「唯一無二のもの」を追い求めてしまう。私たち凡人がなにか新たなものを生み出そうとするとき、よっぽど天才的な人間でない限り、「常識」を疎かにしてはいけない。「常識」を知らずして、新しいものなんて生まれない。

全国から才能が集まり、せめぎ合う最高峰の世界「芸能界」。「売れる」のはひと握り。さらにずっと業界に生き残っていけるタレントや芸人はほんのわずか。残念ながら結果が出ずにこの世界から身を引いていく人たちを、放送作家として45年以上にわたって多く見てきた鶴間さんだからこそ言えることであり、説得力があります。

「常識」を知らずして、新しいものなんて生まれない――。その理由と、「常識」の大切さについて、鶴間さんは、元・浅井企画専務取締役・川岸咨鴻さんとの共著『芸能界で学んだ人の才能の見つけ方、育て方、伸ばし方』の中で語っています。

今回は、同書の中から該当部分を公開します。

 私は、「98対2の法則がある」とつくづく思っています。
 98はテレビを見ている人、2はテレビに出ている人。あるいは、歌手だったら98は観客席の人、2はステージに立っている人です。
 漫然と何も考えていない人は、98のなかにいます。
 私はテレビ番組をつくる側にいるので、2のほうにいます。しかし、98のなかにも行けるわけです。自由に行き来できるけど、98のほうの人は、2には来られません。
 だけど、98は2に対していろいろ教えてくれます。2のなかだけで考えていると、単なる異質なものでしかない場合もあります。
 そこで求められるのが、まず「常識をわきまえる」ことです。
 98のなかの人の多くは常識とルールのなかで生きている。でも、2のなかの人は、そこから常識から外れたことも考えなければいけません。
「お笑い」がその典型です。お笑いは常識を少しズラしたところに生まれます。
 常識は、いわゆるベタな感じで、正直おもしろいものではありません。お笑いは、その常識を破ることにあります。常識から少しズラしたところに「お笑い」が生まれるので、常識を知らなければ、そもそもズラすこともできません。
 欽ちゃんは、ルールや常識をよく知っていて、そこから少しズラしてお笑いを生み出しています。
 昔、欽ちゃんのテレビ番組で「欽ちゃんのドンとやってみよう!」(フジテレビ系)という番組があり、前身の「欽ちゃんのドンといってみよう!」(ニッポン放送系)のラジオ番組がありました。
 視聴者がつくったハガキのネタで成り立っている番組ですが、そこで採用される投稿は、みんな「ズラし」から生まれる笑いなんです。

(中略)

 単なるズラしで最も簡単なのが、ダジャレです。
 しかし、欽ちゃんのお笑いの辞書のなかに、ダジャレと下ネタはありません。
 これは、師匠の東MAXのお父さん東八郎さんが、浅草でよく言っていたことなんだそうです。
「下ネタとダジャレは、素人にあげたものだ。だから、プロがやるべきではない」
 つまり、98の人にもできることだから、2のほうのプロがやるべきじゃない、と。
 これは東さんの理論であって、別に笑いが取れれば下ネタでもダジャレでもいいわけです、やってはいけないというルールはありませんから。欽ちゃんは、ただ東さんの教えに賛同して、頑なに守り通しているだけです。そのほうが、人と違う自分の笑いが見つけられると思ったのかもしれません。
 何はともあれ、時代を問わず、常識を知らない人に、笑いを生むことはできません。常識を打ち破ることで、笑いが生まれるのですから。
 クリエイターだって同じです。常識がベースにあっての新しい創造です。

今回紹介した書籍『芸能界で学んだ人の才能の見つけ方、育て方、伸ばし方』(川岸咨鴻、鶴間政行・著)は、芸能マネージャー歴60年超の「芸能界の重鎮」&伝説の人気「放送作家」という最強タッグが「人の才能を見つけ、育て、伸ばす」ための思考法&実践法を公開しています。部下や子どもの才能を見抜いて、磨きあげるヒントが詰まった1冊になっています。興味にある方はチェックしてみてください。

著者プロフィールは、次のとおりです。

川岸咨鴻(かわぎし・ことひろ)
元・浅井企画専務取締役。株式会社ICH名誉会長。1940年生まれ。栃木県出身。藤圭子の初代マネージャーを経て、芸能マネージャーとして数々の才能を世に送り出す。コント55号の萩本欽一、坂上二郎をはじめ、小堺一機、関根勤、キャイ~ン、ずんなど数々の一流お笑いタレントを生んだ芸能プロダクション「浅井企画」の専務取締役を45年間務める。2018年4月に株式会社ICHの名誉会長に就任。芸能マネージャー歴60年超の芸能界の重鎮。
鶴間政行(つるま・まさゆき)
放送作家。1954年埼玉県熊谷市生まれ。1976年東洋大学在学中に放送作家を志して欽ちゃん(萩本欽一)に師事する。5年間の居候を経てデビュー。以後、「欽ドン! 良い子悪い子普通の子」「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」「笑っていいとも!」「オレたちひょうきん族」「SMAP×SMAP」「王様のブランチ」など、多くの人気テレビ、ラジオ番組を構成。現在は、「超逆境クイズバトル!99人の壁」「キニナル金曜日」を構成。長寿番組「ごきげんよう」のサイコロトークの発案者としても、業界では名高い。

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