見出し画像

”はらわたが煮えくり返った”時にも使える怒りの鎮め方

こんにちは。フォレスト出版・編集部の美馬です。

私、とても怒りっぽいんです。小さなことでもものすごくイライラするし、よく顔に出るし、一日の半分くらいは眉間にしわが寄っているかもしれません。こんな性格だからでしょう、「人生が楽しい」って思ったことは一度もありません。なんだか自分がかわいそうに思えてきます(笑)。

最近担当したある本に、怒りの感情を鎮静化させるためのとっておきの方法が書かれています。この本では、一度怒ると感情がコントロールできなくなって、人を殺したくなってしまうくらい、はらわたが煮えくりかえってしょうがないという人が登場します。

そんな彼に、著者はとてもシンプルで、面白くて、効果的な感情と向き合うためのある方法(感情と向き合う=感情をコントロールする)を伝授しています。

それでは、新刊『私をやめたい。でも今日くらいは笑ってみる』から、その方法を一部抜粋・改編してご紹介していきます。

書影をクリックするとAmazonページに飛びます。

▼前回までの投稿はこちらから。

ある感情が芽生えたら「触れて」みる

著者の蔡康永氏には、いかにも「おばさん」って感じの友だちがいるそうです。笑い声も豪快で、サバサバしていて、歯に口紅が付いていても気にしないような人。食事が終わると、歯茎を舌でぐるっと回して、お掃除したり……。

そんな彼女には、ちょっと変わった買い物の習慣があります。コップでも鍋でも、気に入ったものは必ず、どんなに遠くに陳列されていても、直接手に取って商品に触れるのです。

 意を決して、彼女に聞いてみました。
「どうしてわざわざガラスのコップとかステンレスの鍋とか、素材がわかっているものを触るんですか? 服とかなら、着心地を確かめるために触るのはわかるんですけど」
 彼女は、さも当然というように、
「そんなの決まっているわ。熱くなり過ぎた気持ちをクールダウンさせるためよ」
 彼女は、ガラスのコップを指で丹念に触っていく。
 その仕草をじっと見ていると、
「こうやって、自分の気持ちをなぞっていくの。そうすると、気持ちがフラットになってくる。本当に買いたいのかどうか。買いたいのなら、どうやって値切ろうか考えるの」
 彼女の横顔が凛りんとしていて、僕は慌てて言ったんだ。
「ああ、なるほど! それは失礼しました」

これに著者はとても感心したと言います。湧き上がってくる感情を冷ましたい時は、「触れる」習慣があればいいんということです。

怒りがこみ上げてきたら「1、2、3、4……」とカウントしてみよう、なんてアドバイスもあるけれど、怒りというのは突発的にやってくるものです。たぶん、カウントする間もなく、気が付いたら怒っているのではないでしょうか?

その結果、心の内をさらけ出すことになって、怒りをぶつけられた相手はもちろん、自分も傷付きやすく壊れやすい状態になってしまいます。そういう悲しい状況を避けるためにも、彼女が実践していた「触れる」は、かなり
有効な手段かもしれません。

感情に「触れる」ための3つの問いかけ

この「触れる」を、感情を処理するのに応用しようと考えました。

 まず、身近にいる嫌いな人を一人、思い浮かべてみて。
 次に、その人の嫌なところを3つ挙げてみよう。
 その3つの嫌な点について、
 
 それは本当に嫌なのか?
 なぜ嫌だと感じるのか?
 
 と、自分の気持ちを深堀りしてから、
 
 客観的に見るとどうなのか?
 客観的に見てもそう言えるのか?
 
 と、自分に問いかけてみる。

 表面的なことではなく、根本的な感情の発生源を見つけるんだ。
 その人の何があなたを嫌な思いにさせるのか、あなたをイラつかせる原因に迫ってみよう。
 こうした問いかけをすると、たとえば、その人が「臭い」から嫌というより「清潔にしていない」ことが嫌だとわかったり、「仕事ができない」というより「責任逃れをする」のが嫌だとか、そういった答えが導き出される。

 そして、最後にその答えについて、
 
 それらは自分に悪影響があるのか?
 なぜ悪影響を与えるのか?
 
 繰り返し考えてみよう。
 たとえば、「責任逃れをする」その人の尻ぬぐいをさせられているなら、悪影響があるよね。
 悪影響があるなら、現実にどうすればいいのか? あなたができることを考えてみて、悪影響がなかったなら、はい、そこで終了。
 これが、感情に「触れる」ってこと。

これをすることで、嫌な人と心の中で距離をとることができます。あなたにとって、嫌な人という印象は変わらないかもしれません。ただ、心の中で近くにいられるより、遠くにいてもらうほうが、心はラクになりますよね。

「嫌悪感」や「怒り」だけではなく、「うれしい」と感じた時も、ぜひうれしさに「触れて」みてほしいのです。その「うれしさ」は、より深みのある「よろこび」に進化して、あなたの中に感謝の思いが生まれるようになると言います。

感情を操る最強の魔法の力

怒りっぽいことで有名な人がいました。

「怒ると爆ばく竹ちくみたいになる。耳鳴りはするし、目はチカチカするし、頭もカーッと熱くなる」
「僕も怒りを爆発させたくなる時はあるよ。でも、一度か二度爆発させてみてわかったんだ。後始末のほうが大変だってこと」
 彼は首を傾げた。
「後始末?」
「そう。爆竹を鳴らしたあとって、紙くずが一面に散らかるし、当たり所が悪いと植木鉢とか窓ガラスとか壊こわしちゃうだろう?」
「まあね」
「植木鉢とか窓ガラスを修理しなくちゃいけない。そんな感じで、人間関係のひびを修復するのって、かんたんじゃないよ」

(中略)

 一つだけ気になったことを彼に聞いてみた。
「君は、怒りを爆発させたあと、毎回『後悔』はするの?」
 彼は言った。
「そりゃ、もちろん。バカなことをしたなって思うよ」
「突発的に湧き上がる怒りって、長続きしないよね」
「俺の怒りって、湧いてくるスピードが速すぎるんだよ。ゆっくり深呼吸するとか、数をカウントするとか、冷静になるための方法なんか追いつかない」
「僕の場合は、氷を思い浮かべてるよ」
「え? 氷で怒りが抑えられるのか?」

星座やタロット占いなんかでは、水、火、土、風、といったエレメントがああります。ファンタジー小説や映画でも、水の精霊や火の精霊なんかが登場しますよね。

著者が好きなある映画にも、火を操る炎の使い手と、場を凍らせる氷の使い手が登場するそうです。彼がいいなと思っているのは、氷の使い手。火の力は制御不能になったり、火力を間違えたら跡形もなくなってしまうけれど、氷は、たんに一時停止させるだけで、解けさえすれば元通りになるから。

こういう火や氷の力を自分自身に置き換えてみてください。突発的に湧き上がった怒りを、ごうごうと燃える火にたとえて、怒りの火を凍らせたり、水や氷で冷やすイメージをするようにするのです。

子どもっぽい、とあなたは笑うでしょうか。でも、一度試しにやってみてほしいです。怒りが湧いたら、アニメの世界で出てくる魔法のように、その場面を凍らせるイメージをしてみてください。

怒りが芽生えたことに罪悪感を覚えるよりも、普段から、冷静にこの思いに
「触れて」みる。もちろん、あなた好みの方法を考えてみるのもおすすめです。

あなたは、どんな不思議な力が好きでしょうか? 身を隠す術? それとも瞬間移動? あなたが怒りの支配からどうやって抜け出すのか、ワクワクしながらイメージしてみるといいかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?