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気になるニュース記事から書籍企画案を考えてみた。

フォレスト出版編集部の寺崎です。

フォレスト出版では伝統的な(?)企画アイデア出しの手法に「企画10本ノック」というものがあります。先日、古株社員に聞いたら、かつての長倉編集長時代に始めたそうです。

企画10本ノックとは、企画案を毎日10本考えるというシンプルな方法です。これを数週間~数か月続けます。最近では、毎日10本ではなく、週30本程度に緩和していますが。

1本ずつどんな要素を考えるのかというと・・・
要素①タイトル案
要素②キャッチコピー
要素③簡単な企画概要

・・・の3つです。

これを毎日10本やる「企画10本ノック」の狙いとは何か?

ずばり、頭の発想を「企画脳」にさせることを狙っています。

新聞を読んでいても、テレビを観ていても、電車に乗っていても、友人と会話していても、いつも「これって、もしかして企画ネタになるかも?」と、脳内をどこかで稼働させています。

この意識付けがめちゃくちゃ大事で、意識的にこれをやり続けていると、やがて「無意識にいつも企画ネタを探してる状態」になります。

こうなれば、しめたもの。けっこう、企画アイデアが日常的にどばどば放出されます。で、思いついたアイデアをひたすらメモして、熟成させて、いつか形になるのを待つ・・・という感じ。

というわけで、今日は個人的に気になったニュース記事から企画案を考えてみます。

オトコのコだって、キレイになりたい!

まずはこの11月25日の日経新聞朝刊で出ていた「男子の肌争奪戦(上)コーセー、メンズつくらず 羽生さん起用、先入観破る(ヒットのクスリ)」という記事です。

コーセーの主力化粧品「雪肌精」のCMにこれまでの新垣結衣さんと並び、イメージキャラクターとしてフィギュアスケーターの羽生結弦さんが起用され、話題を呼びました。

コーセーが羽生さんを起用した理由とは・・・もちろん「男性消費者」の獲得ですね。

化粧品における男女の壁を壊し、「男性が化粧品を買うなんて」という社会的認知の壁を取り払うべく、羽生さんに「雪肌精に男性用はありません」と言わせたCMはなかなか成功を収めたようで、雪肌精の従来モデルは今年7月に34カ月ぶりに前年比プラスに転じ、男性比率も上昇したそうです。

あえて男性向け化粧品を開発して勝負するのではなく、従来の女性向け化粧品を男性ターゲットに売ることになった背景には次の要素があったと記事にはあります。

◎コロナ下でリモートワークを通じて自らの顔と向き合う時間が増えた
◎巧みに化粧を施すBTSなどK―POPを動画で見る機会が増え、化粧への意識が高まった

私がこの記事でいちばんビックリしたのは「今や男性向け化粧品の伸び率が女性を上回る」という事実です!

つーか、BTSの影響、おそるべし。

ここで企画案を考えてみたいのですが・・・じつはこの「男性メイク」をテーマにした企画案を2021年6月の企画会議に提案したことがあります。

それがこんな感じです。

■タイトル案
オトコのメイク Men’s beauty Bible

■キャッチコピー
オトコのコだって、キレイになりたい!

■著者
こんどうようぢ
メイク男子。Youtuber。

■読者対象
◎ふつうにモテたい20~30代の男性
◎肌の老いを意識し始めた40代の男性

■企画趣旨
新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入する企業が増え、オンライン会議を日々の業務に取り入れる企業が増えている。こうしたオンラインでのコミュニケーションが増えたことで、男性の美意識に変化が生まれている。
また、アンケート調査によると「オンライン映え」のために最も多く投資していたのは20代男性で、「オンライン飲み会」などのあらゆる場面で、女性と比べて男性の方が、映りを気にしていることが分かった。都内の私立大学3年の男子学生は、「オンライン映え」は就活生にとってマストだと言い切る。
中性的なBTSが世界的に支持されるような背景もあり、「男性の美」が変容し始めている。そこで、男性向けのメイクを解説した企画を提案したい。

これ、当時は類書が売れていなかったため、企画会議で玉砕しましたが、いまならイケるんでしょうかね・・・?(また再提案してみようかな)

50歳からはじめる積み立て投資

次に気になった記事は・・・11月26日の日経朝刊の記事「50歳で始める積み立て投資 「一括」併用で資産上積みも(ネクストステージ)」です。

「自分も若い時期から積み立て投資を始めておくべきだった」。都内の出版社に勤務するA男さん(50)は、長期の積み立て投資で数千万円の資産を築いた人の紹介記事をマネー雑誌やネットで読むたびにこう悔やむ。

記事冒頭のこのくだりがドキッとします。

ホント、これ。まさに。

自分も「もっと早くから積立投資しておけばよかった」と心底後悔しているので、いきなり引き込まれました。

20年ほど前(もっと前かな?)に勝間和代さんが「積み立て投資(インデックス投資)がいいよ」と、あらゆる著作で薦めていたころ、勝間さんのアドバイスを素直に信じてインデックス投資を始めたひとは、いまでは余裕で資産1億円を皆さん超えているそうです。

『お金は寝かせて増やしなさい』の水瀬ケンイチさんも資産1億円を超えています。

「でも、50歳からはじめても遅いのでは?」

こんな声が聞こえてきそうですが、ノーノ―です。詳しくは上記の日経の記事を読んでいただければ、50歳からでもただ貯金するよりもレバレッジを効かせた資産構築ができることがわかると思います(記事にはけっこう詳しい試算シミュレーションが掲載されています)。

50歳から20年間運用するとどれくらいの資産が見込めるかを試算しよう。
全世界株のインデックス型投信と一部債券に投資し、運用利回りは年3%と想定する。89年末以降の全世界株の通算利回りは年約7%だったが、リスクを抑えることを考慮した。
まず月3万円ずつ積み立てをすると、資産額は985万円と元本720万円の約4割増となる。一方、元本720万円を50歳で一括投資すれば資産額は約1300万円で、積み立てを約8割上回る。ただ株式などリスク資産への投資では当面使う予定のない余裕資金を充てるのが基本。中高年では余裕資金を預貯金で眠らせたままのことも多いが、50歳で720万円を一括投資するほど余力のある人は限られそうだ。

そこで選択肢となるのが積み立て投資と可能な額での一括投資を併用する方法だ。例えば余裕資金が300万円あり一括投資で年3%で運用できれば、20年後に約540万円になる。月3万円の積み立ての資産と合わせると約1525万円で、50歳で720万円を一括投資するより多くなる。手元に多額の資金がなくても、積み立てと組み合わせた20年後の元本が1020万円と大きくなるためだ。

日本経済新聞11月26日朝刊
「50歳で始める積み立て投資 「一括」併用で資産上積みも(ネクストステージ)」より

「いやいや、でもやっぱり投資はギャンブルだから……」

こういう方には、このnoteでも再三ご紹介している『お金は寝かせて増やしなさい』のグラフを再掲します。

水瀬ケンイチ『お金は寝かせて増やしなさい』152ページより

 ここで質問です。
 米国で1801年に株に投資した1ドルは、200年後に実際いくらになったと思いますか?

「10倍? 100倍?」

 いいえ、約700000倍です。
 70倍ではなく、70万倍です。
 図15は、各資産クラスごとに、200年前に投資した1ドルが、200年後にいくらになっているかを示しています。しかも、名目リターンからインフレ率を引いた「実質トータルリターン」です。
 この200年の間には、最悪の世界戦争(第一次世界大戦・第二次世界大)や、史上最大規模の世界的株価大暴落であるブラックマンデーなどが起こっています。日々、新聞やニュースで取り沙汰されている諸問題とは比較にならない大嵐を乗り越えて、この結果です。
 株式という「仕組み」が持っている力を思い知らされます。
 債券についても、株式ほどではないにしても、長期国債で1778倍、短期国債で281倍となかなかの上昇っぷりです。
 一方で、キャッシュ(米ドル)は、200年間で20分の1に減ってしまいました。主にインフレのせいですが、株式のリスクを恐れるあまり、キャッシュを長期で貯めこんでいるとどうなるのか、考えさせられます。
 天の邪鬼な方から、「どうせ米国だけの成功事例だろ?」という疑問が聞こえてきそうです。
 では、次のページの図16を見てください。
 各国の株式と国債の利回りを表しています。米国だけでなく、日本株、ドイツ株、英国株いずれも長期では右肩上がりで推移してきましたことがわかると思います。

水瀬ケンイチ『お金は寝かせて増やしなさい』より

 ただし、ドイツと日本の国債だけはひどく落ち込んでいます。
 これは、ドイツは両世界大戦の敗戦国、日本は第二次世界大戦の敗戦国で、国債が紙切れ同然になってしまったことが原因だと思われます。戦争に負けるような事態になると、国債は右肩上がりを続けられません。
 それでも、株式はドイツも日本も右肩上がりです。やはり、株式という
「仕組み」が持っている力を思い知らされます。
 過去の出来事がそのまま未来に続くわけではありませんが、「愚者は経験
に学び、賢者は歴史に学ぶ」(ビスマルク)という言葉のとおり、長期的な歴史を知っておくことは大事なことだと思います。

水瀬ケンイチ『お金は寝かせて増やしなさい』より

というわけで・・・今回の日経記事から企画案を考えるとなると、ここは素直に『50歳からはじめる積み立て投資』という書籍企画がよさそうだなぁと考えました。いま、ざっとアマゾンで検索したところ、「50歳」×「積み立て投資」の組み合わせの書籍はなさそうでした。

著者は・・・いろいろ有力な候補がいそうです。

さて、企画10本ノックならぬ、2本ノックで終わってしまいましたが、今日はここまで。

お付き合いいただき、ありがとうございました。


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