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【note限定】伝説の連載が1回限りの復活、幻の原稿を全文公開します。

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

先週日曜のnoteで、個人的にハマった雑誌連載に初めて出会ってから4年の歳月を経て、その連載著者の書籍企画を実現した話について触れました。

ダイジェスト的にざっとまとめます。

私がハマった雑誌連載の1つとは、月刊誌「サイゾー」2008年12月号からスタートした松尾知枝さん(当時:水谷舞さん)の連載「合コン四季報」。元JALのCAで「合コンアナリスト」の松尾さんが一流企業の男性陣たちとリアルに合コンを実施して、合コン中の男性陣の生態を観察しながら、ターゲットの会社を辛口ジャッジしていくもの。

サイゾー2008.12月号

▲「サイゾー」2008年12月号p.142 連載「合コン四季報」第1回


4年越しで実現した書籍は、『3年以内に成功する男、消える男』(松尾知枝・著)。それまでに500社以上と合コンし、3,000人以上の男性を見てきた松尾さんが“成功見込み"男に共通する習慣術をまとめた自己啓発本です。


そこで、同書の販促プロモーションの一環として、伝説の連載「合コン四季報」を1回限りで復活させ、その原稿PDFを、松尾さんの動画とともに、新刊購入者に無料プレゼントするキャンペーンを実施しました。

名付けて、「合コン四季報 リターンズ」

単にワード原稿をPDF化したものではおもしろくないので、かつての連載元「サイゾー」に正式許可をいただき、当時の連載デザインフォーマットを完全コピーしたPDF原稿にしました。

それが、こちら。

リターンズ①

リターンズ②

※この写真でも拡大すれば読めると思いますが、このnote記事の後半で全文公開します。内容にご興味のある方は、そちらでゆっくりお読みください。

当時の連載ページと見比べても、デザインが完コピであることがおわかりいただけると思います。デザインの完コピを快諾してくださった「サイゾー」のIさん、本当にありがとうございました。あらためて御礼申し上げます。

写真をご覧になってお察しの通り、今回の復活原稿は、松尾さんの筆が乗りに乗って、当時の連載が1ページだった文字量の倍以上、約2ページに及ぶボリュームとなりました。

たった1回の復活にふさわしい、特別なコンテンツ……(!)

当時の連載にハマっていた人間にとって、これほどエモいことはありません。まわりの反応をよそに、私一人で興奮しまくりであります。

特別なのは、それだけではありませんでした。

合コンアナリストの“実地調査”相手(ターゲット)に選ばれたのは、なんと我々フォレスト出版の独身社員3名! 松尾さん以外の3名の女性は現役CA軍団。既婚者の私は、男性側幹事兼オブザーバーとして参加が許されました。オブザーバーという名の現場潜入調査員です。

合コン(実地調査)後に松尾さんからあがってきた原稿も、毒を交えつつも決してストレートにディスるのではなく、どこかコミカルでやさしい愛で包み込む、当時の筆致は健在でした。

なお、原稿PDFをプレゼントした販促キャンペーンの期間は、1週間の期間限定だったということもあり、この原稿がネット上も含めて公開されておらず、幻の原稿といえる存在です。

今回はnote限定で、そんな伝説の連載「合コン四季報」1回きりの復活、幻の原稿の全文を公開します。

松尾さんご本人の許可をいただき、2012年当時の原稿そのままで掲載します。先ほど写真で掲載した実際のデザインと照らし合わせながらお読みいただくと、どこの部分の原稿かがわかるかと思います。


松尾知枝の「合コン四季報」リターンズ~某出版社のメンズ診断~

月刊「サイゾー」伝説の連載「合コン四季報」が今回特別に完全復活! 『3年以内に成功する男、消える男』の著者で、合コンでお相手した企業は500 社以上の「合コンアナリスト」松尾が、実地調査(=合コン)をベースにメンズを辛口ジャッジ!
協力:月刊「サイゾー」


【今回のターゲット】

某ビジネス系出版社のゴリゴリチーム

採用人数が少ない狭き門のため、文系の就職先として依然根強い人気がある出版業界。飯田橋に居を構えるF出版は、神田昌典氏の本などで大当たりしたビジネス・自己啓発ジャンルの本を得意とする出版社。紙不況もなんのその! 本以上にDVD教材を販売する草分け的存在として知られる同社。そんな彼らを合コンアナリストがスパッと斬ってみせます!


【実地調査】
場所はF出版からほど近くにある神楽坂のお忍び系大人フレンチにて4対4でスタート! 男性陣は編集、営業、マーケティングからなるF社が誇る精鋭(うち1名は既婚者)。女性は松尾以外、全員現役のCA。ハイレベルな布陣を組みました。
男性陣は集合時間キッカリに集合。
雑誌系は1時間遅刻の猛者もザラにいるという中、さすがビジネス書を手掛けている出版社だけあります。他の女性陣が若干遅れているのでまずは松尾が先発登板へ。
「この前、本を読ませて頂きましたよ」
「おおー! これは『100いいね!』ぐらいの価値がありますね」
同社のマーケティング担当T氏。見るからに年上女性に溺愛されそうな典型的ジャニーズ顔の甘いマスクの持ち主です。
「今日のお店ってすっごく雰囲気が良くてステキですね! 最近の合コンは居酒屋さんばかりだったのでうれしいです♪」
すかさず2発目のジャブを投入。
すると出版業界歴十数年のベテラン編集M氏が「松尾さん、ワインが好きだっておっしゃっていたから、フランスの香りのするこのお店にしたんです」
事前にランチで下見までしたというM氏。他の独身者を差し置いて一番気合入りまくりです。それもそのはず、M氏は過去に、売れっ子作家の本をいくつも手掛けたやり手編集者なのであります。これぐらいの抜け目なさがないと、人々の度肝を抜く企画は生み出せないのでしょう。

と、そこへ残りの女性3名も登場。全員そろったところで自己紹介です!
「ビジネス系の出版社で書籍を編集しています。今、松尾さんの本を編集しております。好きな女性は背がスラっと高くて、ふくらはぎの細い人♪」
そう言うなりM氏は斜め向かいに座るJALの同期の顔をメガネの奥からガン見します。
若手編集者のS氏。元は旅行雑誌の編集畑らしく、仕事ではJALにいつもお世話になっています、のヨイショをしつつ、「僕はですね、顔!っていうとブーイングだろうと思って今日考えてきたんですけど、性格は向上心があって知的な人ですね。あ、ちなみに顔は宮崎あおいでお願いします」
結局、顔重視か! ツッコミどころ満載であります。

とまぁここまでは序の口。この先、度肝を抜く「フェチ」が飛び出すことに。
「僕の好きなタイプはアキレス腱がシュッとしている女性です!」
「……」
甘いマスクに似つかわしくないT氏のヲタ発言に、女性陣ドン引き!
「理想のアキレス腱なんて、どれも一緒でしょ」
「いや、違うんだよ。見てないなー」
松尾の冷ややかなツッコミなどもろともせず力説しまくるT氏。
今回、同社から刊行された松尾の本の新刊『3年以内に成功する男、消える男』の表紙帯の写真選定で、T氏から驚きの事実を聞かされることに!
「弊社の読者は8割が男性です。なので、お顔だけでなく美乳に見えるカットに徹底的にこだわりました! このバストのどの位置でトリミングするかが……(以下省略)」
なるほど、売れ行き絶好調のワケは、同社マーケティング部の計算尽くされたマニアックさ…、いや緻密さにあるようです。
美人CAが「私のフェチはピンクの似合う人♪」と答えるや否や、男性陣がニヤリと目を輝かせヒートアップ!
「ウチはつくっている本がピンクだもんね♪」
F社といえば、神田昌典氏の本に端を発したド派手な蛍光ピンクの装丁があまりに有名です。
すかさず蛍光ピンクの新書を配り出すベテラン編集のM氏! 抜け目ありません。

そんな1秒でもスキあらばゴリゴリ押しまくるF社チームですが、意外な一面もあるようで「好きな女性のタイプはがっつり天然。塩入れなきゃいけないのに砂糖入れて大失敗しちゃう女性にキュンときますね」
常に営業最前線でゴリゴリいっているK氏。クールで端正な顔立ちにグラっとくる女性は数知れず?
医者、経営者ほどドMの傾向があると言いますが、K氏も家に帰ったら女性の膝枕にゴロにゃんしたがるタイプでしょう。
さらにK氏は続けます。
「僕は究極のお尻フェチです。小ぶり過ぎでもダメ。触らなくても僕の理想のお尻かどうか一発で見抜けます!」
と言ってドヤ顔を決めるK氏。
「今回、男磨きの爪磨きって限定特典、僕が考えたんですよ。これです!」
と、すかさずヤスリを取り出すK氏。
自分の爪でゴシゴシこすり実践してみせる周到さは、さすがF社の若手営業マンNO1のスゴ技であります。

編集→マーケティング→営業。F社チームの見事なまでに完成されたゴリ押し連携プレー!
合コンだということを忘れ、完全に新刊販促会と化しています。
と甘く見くびっていたら……。
「16日見本で、19日発売ですね。皆さんにはご自宅に送りますので♪」
そう言いながらメルアドのみならず、自宅住所のリストまでちゃっかり聞き出すM氏の抜け目なさ。
合コン終盤戦。ビジネス書編集者が喜びそうな質問をサービス。
「最近、JALは稲盛体制に変わったでしょ? 社風とか変わった?」
「お、それ聞きたいですねー。編集者的には」
「やっぱり、サンマークの『生き方』とか必読書なんですよね」
専門畑のボールを投げられ舌が滑らかになるF社男性陣。
「『ザ・シークレット』とか自己啓発書を結構読んでます。ちなみにF社って、どんな本をつくってるんですか?」
前のめりな男性陣に引きつりながら、やさしいパスを投げるCAのA子。
「やっぱ今売れている『怒らない技術』ですね。僕がとっておきの本を選んで送ります。いや…、届けに行きますよ。ご自宅まで」
アマゾンより早く届けると、超肉食発言をしたT氏。
F社チームの暴走はとどまるところを知りません。
「今日、皆さんにお土産があるんです」と言って恭しく紙袋を差し出すM氏。
中には同社の近刊が数冊。松尾の本の無料小冊子も1人5部ずつ入っているという用意周到さ!
押しの一手のF社。合コンだろうと決してPRを忘れません。
「1部はご自分に。4部は周りのお友達に配ってくださいね。動画も来月にオープンしますんで」
M氏は、もはや編集者の域を超えています。
「ちなみに甘いものって好きですか? 原宿にすごい美味しいパンケーキ屋ができたんです。今度行きましょう」
先輩陣が必死の新刊アピール合戦を繰り広げている間、スイーツで女子の警戒心を解き、次の約束を取り付けるT氏。さすが、顧客心理を掌握しています!

最後に、F社にいる名物営業マンの噂について直撃です!
「あぁ、競馬大好き課長ですね。あの人はすごい。6000部の本を10万部に持っていっちゃうぐらいの。そういう数字をしっかりつくっちゃう人です」
営業のK氏が解説。噂は本当だったようです。
「でも、K君は競馬大好き課長と違ってもっとスマート。おしゃれゴリゴリだよね」とM氏がフォロー。
でも僕はその競馬大好き課長に育てられたんですと言って、噂の人物に畏敬の念を抱いているK氏。
ここから、ゴリゴリ論に話は発展。
「ある意味、ウチのゴリゴリ体質は彼が築いたと言ってもいいぐらい」
「スマートなほうがいいですけど、目立たないと始まらない。嫌われてでも結果を取りに行くっていう哲学なのかも」
「まぁ……、僕の恋愛も一緒ですよ」
比較的、物静かだった若手編集S氏が口を開いたので一同シーン!
「スルーされるぐらいだったら、嫌われてでもいいから好きな女性には自分を覚えてもらいたいですね」
なるほど。ビジネスマンの心を掌握するベストセラーを次々生み出すF社。
熱帯雨林気候ばりの暑苦しいゴリゴリ体質が続く限り、誰にも勢いは止められない!?


【合コンメンズ判定】

★★★★☆

お店のセレクトは◎でしたが、ハッキリ言って、新刊発表合コンでした。戦術は押しの一手爪磨きや新書……。出るわ、出るわ、F社の怒涛のセールス手裏剣! 交際後、毎月のように新刊が郵送され、本棚が蛍光ピンク色に染まるのは時間の問題でしょう。
とは言うものの、書籍編集者にありがちな文学シャイは皆無。新刊アピールのときは、挙党一致体制で見事な連携プレーを見せつけました。
出版不況もなんのその! F社の未来は、ゴリ押し文化がある限り健全でしょう。それを物語るのが、既婚率の高いF社編集チーム。未婚率増加をセーブするなら、F社のゴリ押し精神以外にない?
でも、大手商社メンズのような洗練された口説きフレーズもあれば、もっと良かったのにぃ……。惜しい!
というわけで、今回は栄えある4つ星を進呈しま~す♪


【今回の合コン必勝服】
ゴリ押し系出版社のメンズも女性の前ではゴロにゃん甘えモードへ豹変! 知的クールな白シャツ&スカーフでツンデレに攻めてあげて♪


伝説の連載の幻の原稿、いかがでしたでしょうか?

当時の連載では、「合コンメンズ判定」で5つの★を獲得したターゲットは1社もなかったと記憶しています。今回は、松尾さんの本をこれから出す出版社という関係なので、ある程度の忖度がはたらいていることは想像に難くないですが、★4つという評価は、当時の連載にターゲットとして登場した同業他社「小学館」と同じだったので、ちょっと安心した次第です。

合コンと言えば、最後に気になることが1つ。

今の若者が異性に出会うきっかけとして、合コンはすっかり減り、出会いの主流はマッチングアプリだといいます。「合コンなどに比べて、コスパがいいから」が理由の1つだそう。合コンは、基本的に人づてでの出会いになるので、その幹事の人間関係に大きく左右されるためコスパが悪い……。なるほど。それは一理あるかもしれませんね。

私は使ったことがないのであまり変なことは言えないのですが、マッチングアプリは、顔写真と簡単なプロフィール、設定条件から自分の理想に近い人を最初からピンポイントで選べるという点において、たしかにとても便利なツールに思えます。こんなことを言ったら怒られてしまうかもしれませんが、昭和~90年代半ばの出会い系の代名詞「テレクラ」をもっと上品に進化させたものと考えればいいのでしょうか。少数かもしれませんが、オンラインで会って、実際に会わないまま結婚を決めるカップルもいるとか、いないとか。結婚といわずとも、若い人の間では、直接会って告白するのではなく、LINEを通じて相手に気持ちを伝えることが多くなっていると聞いたことがあります。

このような出会いのツールの発達、選択肢の豊富さに加え、withコロナ時代、新しい生活様式が求められる中、 恋愛や結婚相手の探し方も今後変わっていくのかもしれません。

ただ、四十を過ぎたオジサンは、ちょっと気になってしまうんです。

あくまで個人的な見解なのですが、人は実際に会ってみないと、本当のところはわからないものだと思うのです。会って直接の会話を通して得られる、相手の表情やしぐさ、ふるまい、話し方、やりとりの間(ま)、その人をまとう空気感などの非言語データは、相手の人となりを見抜くうえで大切な情報です。特に、相手の心の機微を察したり、感じたりするのは、リアルでないと相当難しいと思われます。

編集者という仕事柄、著者をはじめ、さまざまな業界の多くの方とお目にかかる機会に恵まれますが、実際にお会いしてコミュニケーションをとるほうが、話の内容も充実し、信頼関係も築きやすく、なにより相手の人となりがよくわかるという、私なりの経験知が少なからずあります。また、リアルで会っているほうが、相手がどう感じているのか、何を考えているのかといった想像力や、相手の心の機微を察する力も働きやすくなります。

私たち人間に「第六感」という能力が備わっているとしたら、リアルに会うほうがその能力が発揮されるような気がするんです。

先に触れた告白も、LINEだと「相当高い文章力がないと、相手に本当の気持ちは伝えられないのではないか」と、仕事で文章にかかわる端くれとして思ってしまうわけでして……。あの緊張した空気感、お互いの息遣い、表情、声色、アドリブ、やりとりの間といったものが、LINEでは伝えることも、受け取ることもできないのではないか、と。「LINEでの告白のほうが、たとえふられても傷つくのが最小限で済むからいい」とも聞きますが、傷つくことで得られるものがあると思ってしまうのも、四十を過ぎたオジサンの戯言なのでしょうか。

合コンは、初対面のほどよい緊張感の中で、話の切り出し方にはじまり、会話のもって行き方、発言の内容、ベクトルの向き(自分のことばかり話すのか、相手のことに興味を持つのか)、相手への気遣い、仲間との人間関係、集団・個人へのふるまい、他者の心を想像する力など、あらゆる点において参加者全員の人となりが、2時間という短い時間でもそれなりに見えてくる貴重な機会だと思うのです。中長期的にみれば、コスパがいいのではないかとも思えてきます。

長々と書いてきたのですが、結局、私が言いたいことは次の通りです。

「合コンは、人間力を鍛えたり、人を見抜く力、人の心の機微を察する力を磨くうえで絶好の機会なのに、合コンをあまりやらない今の若い人はもったいないな~」

皆さんは、どう思われますか?


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